1.企業を対象としたコンディショニングサービス(月刊トレーニング・ジャーナル2021年6月号 特集/スポーツ医科学の背景が活きる仕事)


竹内修平・コンディショニングカンパニー代表、JSPO-AT、NASM-PES

札幌を拠点として、企業に出向いてコンディショニングを行い、健康の維持・増進に向けてサービスを提供している竹内氏にお聞きした。

産業アスレティックトレーナーとして

 私は現在法人様と契約して、企業に出向いて経営者や社員の皆さまのコンディショニング指導の仕事をしています。仕事の形態としては、1つの企業の専属ではなく複数の中小企業様と契約してサービスの提供を行っています。スポーツ現場ではトレーナーが週1回や月1回チームに出向き、複数のチームの掛け持ちをしていることもあると思いますが、それの企業版と考えて頂けたらイメージしやすいと思います。会社へうかがう頻度は2週間に1回が多く、会社を訪問した際には一日中会社にいることもあります。1回のセッションで私1人に対して15名から20名の方へのグループ指導のときもあれば、1対1のときもあります。組織として全体でコンディショニングをやりたいという企業様にはワークショップを行うこともあります。50名以上の会社の場合は産業医がいると思いますが、それのアスレティックトレーナー版です。

実際のセッション

 その方の生活や仕事を理解していないと話が始まらないので、まず身体で悩んでいることや日常の業務のことを質問します。以前「普段、仕事で重たい物を持っています」と言われたことがあり、私のイメージだと10〜20kgかなと思っていたら「60kgです」と言われ、私のイメージとギャップがありました。トレーナーの憶測で話を進めると正確な状況を把握することができないので、まずはこのように話をクリアにすることでコミュニケーションがより取れるようになると思います。

 現在、企業専門の活動をして3年目になります。前職はR-body proj­ectで一般の方への運動指導を行っていた経験が活きていると思います。専門用語ばかりを使って指導をすると受け入れてもらえないので、その方が使う言葉の中から言葉を選んで話すように心がけています。ただでさえ忙しい方々を指導させていただくので、コンディショニングを行う理由を理解してもらうことが必要だと思っています。そのためにはロジックで伝わるように骨格模型を見せたり、カルテを作ったりなどツールを用いて頭でも理解してもらいます。

 コンディショニングは全身の機能評価をした上で行います。具体的には、肩の痛みがある人の肩だけを評価するのではなく肩関節を含めた全身の評価を行います。評価の頻度は半年に1回くらいですが、毎回のセッション前にヒアリングをし、エクササイズ中にも動作を目で確認しながら評価をしています。それらをもとに種目を変更したりします。私は従業員の方のリフレッシュの目的での指導だけではなく、業務で生じてくる不定愁訴を改善するお手伝いをしているので機能改善のエクササイズを行います。具体的にはセルフストレッチやアクティブストレッチ、自体重のエクササイズになります。

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