私になるまで46

MRIの予約した日、娘に「終わったらそのまま帰るよ。」と言うと、ベッドの布団の中から顔を覗かせ、「まだ、居たかったら居てもいいよ。」意外な返事が返ってくる。

私が大学生の時は、おやが2日もいたら鬱陶しい!って思ってたのに。本音なのかどうかはさておき、優しい娘に育ったものだ。

さて、電車を乗り継いで北摂の病院へ向かった。

MRIの結果は異常なしだった。が、やはり前の筋肉の突っ張りが気になる。その場で先生がうちに電話する。出たのは父だったらしく、一言で終わる。「あっさりしたもんやなぁ。分かりましたで終わったで。」結論から言うと、前の筋肉の筋を切って少しでも筋肉の緊張をやわらげ、首の傾きを無くす。するとちょっとは楽になる。つまり、一週間ほど入院して首の筋肉を切る手術を受けることになった。

病棟に案内され師長さんに挨拶する。「また来ました。」超苦笑いされた。先生はすぐ退院っていう話だった。が、ついでに歩行の練習もしてと、リハビリまでくっついてきた。が、ココは急性期病棟で30分程度。ストレッチと歩行練習だけ。先生も若くて可愛い男の先生。別にリハビリはなくても大丈夫と言ったけど結局退院まで2週間続けるはめになった。リハビリ室に行くと、鬼コーチが「何してるんですか。」と笑う。他の先生達も、「また手術?」「帰って羽目外して遊んだでしょ!」言いたい放題言われる。まぁ歩き回ってたのは事実だった。

さておき、手術の日母が飛んできた。

部分麻酔であっという間に終わったけれど、待つ母はすごく長く感じたらしい。

その後から3ヶ月に1度、ボトックス注射のために通い続けている。こうして、今も先生にお世話になっているが、前の筋肉の切除したものの、時々後頭部にぎゅっと突くような痛みは続いた。また薬の量が増え始める。一時的に収まるので、やめられない。

何とかうちで正月を迎えた。その年は、ゆずデビュー20周年だった。記念ライブは5月末。「絶対行く!」そう思い、その日までは元気に居ようと心に決める。

しかし、心と裏腹に腕に痺れがではじめていた。どうか元気の源ゆずに会えますように。

チケットはFCで簡単に取れた。宝くじは当たらないが、チケットはいつも当たる。運が全部ゆずにいってるようだ。

これが最後のライブかもしれない。そう思い、すごく立派なホテルに泊まる。娘は元気いっぱいの女子高生になった。「こんなに豪華なとこに泊まって大丈夫?」と、心配された。

会場は京セラドーム。だったが、着席指定席だったので、座ったままでゆっくり見れた。これが最後と思ったはず。終わると、また行くぞ!と元気になる。が、この時はもう首の骨が潰れる寸前だったと思われる。

今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。