好きな曲について語る さだまさし-つゆのあとさき

 音楽知識なんて全くないけど、いいと思った曲は共有したい!そんな試みです。
 この試みの1つ目として、僕が大好きな音楽家の一人であるさだまさしのつゆのあとさきを紹介したいと思います。さだまさしの曲といえば関白宣言など、ゆるやかで聞き入るようなメロディーやキャッチーな言い回しが印象的な人が多いと思います。しかし、僕がさだまさしの曲に惹かれる一番の理由は歌詞にあります。初めて聴いたさだまさしの曲は極光(たぶん)でしたが、それを聴いたとき、ここまで美しく言葉を紡げる人がいるのかと驚愕しました。その巧みな心情描写や美しくて生々しい風景描写は、さだまさしがいかに歌というものと、世界というものと真剣に、真摯に向き合ってきたかを証明しています。
 さだまさしについての所感はこんなところで、つゆのあとさきについての紹介をしていきます。
 場面は卒業式、どうやら恋仲だった主人公とその相手も、進路を別にしてしまうようです。別れる前にイチャイチャする二人。そのさまを「僕の掌に指で君が描いた記念写真」と表現します。今この瞬間が形のない記念写真の一枚みたいだとか、写真として形に残らないような淡く儚い恋だったねとか、そんなありきたりな解釈は何個も浮かびますが、決して正解が決まってないのがさださんの曲のいいところ!自分なりにそれで納得してしまえばそれが自分だけの正解になります。この作業が楽しくてたまらないんですよね。
 掌に目を向けたあと、彼女の手のマニキュアに気付きます。細い指先に似合わないマニキュア。マニキュアなんてなくても十分君は美しいよなんて思う反面、マニキュアをするという、大人への階段を登る(自分が手をかけずとも勝手に変化していく)工程を少し寂しい気持ちで見ている主人公の心情が伝わってきます。ここからサビです。
 「めぐりあうときは花びらの中 他のだれよりもきれいだったよ 別れゆくときも花びらの中 君は最後まで優しかった」
 人と出逢えば、必ず別れがあります。主人公にとって、出逢いも別れも、同じ花びらの中のような甘いひとときだったのでしょう。出逢いと別れ、感情としては全くの反対に位置しそうな者同士を同じ「花びらの中」と表現していますが、ここから、寂しい別れのときとワクワクするような出逢いのときとを同じ人生の大切な一瞬のうちの一つのであると捉えている主人公の感性の豊かさが伺えます。時間的な奥行きの中で変わることと変わらないこと、変わることといえばお互いが大人になっていくこと、変わらないことといえば時を同じくした空間の尊さと君の優しさ、それぞれが歌い始めからサビまでを使って対比の関係で描かれています。構成がとても美しいですね。
 「梅雨のあとさきの トパーズ色の風は 遠ざかる 君のあとを駆け抜ける」
 メロディはここで一番の盛り上がりを迎えます。さださんの美しい声色が心と体に染み渡ります😭トパーズ色の風ってなんですか!きっと爽やかだけどどこか寂しい感じ、その感情はわかるけどもそれをトパーズ色と形容する、さださんのセンスの良さに圧倒されるばかりです…。トパーズは様々な色を持つ鉱石として知られていますが、甘くて苦い以上に色々な味のする青春のひとときをトパーズ色とたとえる、さださんの感性に感服しました。別れゆく主人公と彼女、二人のあいだに爽やかなトパーズ色の風が駆け抜けるそのさまが情景としてハッキリと思い浮かんで、この曲は終わりを迎えます。
 2番では、将来の不安に震える彼女がリアルに描かれています。そんな年頃ですよね〜。思春期の美化された記憶の美しさと、子供でも大人でもない時期の不安定さがまじまじと伝わってきます。ここからアイデンティティが確立して、色々なことを知って、二人は大人になるのですね。 
 以上、さだまさしのつゆのあとさきについて、拙い文章ながらに紹介してみました。さださんの魅力が1ミリでも伝わっていれば幸いです。他にもさださんは素晴らしい曲をたくさん作っているので、興味が出たら色々聴いてみてくださいね。では😭


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?