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列車の床に寝転がってウルムチからハミへ 1987.9

ウルムチからさらに西に行くことも考えたが、予算的に厳しそう。ここから東に転進して、天山南路(新疆ウイグル自治区)と河西回廊(甘粛省)のオアシス沿いに西安(陝西省)を目指すことにした。

まずはウルムチ始発の鉄道・蘭新線で新疆ウイグル自治区の東の町・ハミ(哈密)へ。当時の時刻表を確認すると、ウルムチを夜遅めに出発する列車は、22時4分発の西安行き急行と23時発の北京行き特急がある。ハミ到着は西安行き急行が翌朝11時7分、北京行き特急が10時9分。どちらに乗ったかは覚えていない。

列車が出る1時間前、21時か22時にはウルムチ駅に出た。待合室(というより広間)の天井は高かったが、照明が薄暗かったことを覚えている。夜の人民たちの倦怠感に包まれていた。

ウルムチ(というより西北の大都市)は治安が今ひとつだった。駅に向かう市バスにフレームザックを立てて乗っていると、隣の男性がじっとこちらを目で確認しながら、密かにフレームザックのポケットのジッパーを開けようとした。日本語で「こら」と声を出したら、慌てて手を引っ込めた。

そんなこともあったので、待合室では1人、フレームザックを抱えて待つしかなかった。

深夜、ようやく特急に乗ったものの、とても疲れていた。硬い座席に座ることができただけましだったが、眠りにくくて、座席の下、車両の床に足を伸ばして寝転がった。石炭のすえたにおいがした。

お湯やら果物の汁が流れてきそうだったが、とにかく横になりたい気持ちが勝ってしまった。上海に上陸して数週間が経過。人民的旅行スタイルにもすっかり慣れた。

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