序盤って面白くしてる?
何度も送ったのに落ちてしまう。評価シートでも点数が上がらない。
そんな方々の陥っている状態の一つに、『序盤が下手』、『説明が下手』というものがあります。
物語の序盤とは作品において、最も重要な部分です。
ここが微妙な出来になると、読者は先を読む気が薄くなってしまい、最悪読むのをやめてしまいます。
あるいは、読み進めたとしても読者のテンションが上がらないため、作者が想定してよりずっと低い感動などを味わうことになります。
「きちんとキャラやストーリーは書けているはずなのに落ちる」
「センスも誤字脱字も問題ないはずなのにまた落ちた」
そんな、書き手からすると上手くいっていると思っていても、駄目な烙印を押されるパターンもあると思います。
その一つが、『序盤が下手』な場合です。
そもそも序盤って、以外と手を抜きがちだと思います。
早く自分の書きたいシーンを出したい、見せたいシーンを出したい、そんな気持ちのあまり、作者のリソース(あるいはエネルギー)がそちらに行って、他が疎かになることはよくあります。
私の場合も、戦闘シーンばかりに意識が行って、ほかが疎かになったという失敗はありました。
つまり、自分が書きたい部分だけに力を入れても、それはスロースタートや自己満足になり、作品の見どころがわかる前に読者は離れていきます。
ですので、『序盤は読者の目を離させない』ようにすることを第一に考えましょう。
ここからは、どうやったら序盤で読者を惹きつけられるか、ということを重点的に述べていきます。
■中学生でも判る出だしにするべき
作品の1ページ目で読むのをやめてしまう読者もいます。
厳しい場合は、はじめの1行でやめてしまう人も。
こういったケースでは、
・説明文が長すぎる。
・「ぎゃああああああああああ!」など、人によっては幼稚な表現
・グロすぎる、鬱っぽい展開が読める
・自分の好きな文章とかけ離れている
などがあると思います。
上記のいずれかの場合、読み進めてくれる読者はほとんどいないでしょう。
そもそも、作品の序盤の時点では、読者はその作品のことを何も知りません。
例えば「主人公がどんな性格か」、「どんな過去を送ってきたか」などは、何もわからないのです。
その作品がどんな舞台か、どんな歴史があるのか、文化は?
過去の大きな出来事はあったか? など、『物語において最低限の知識』すら知りません。
なので、序文は出来るだけとっつきやすい文章にする。
例えば『告白』のシーンだったり。
「急げ! 早く逃げるんだ!」など危機に陥っている場面だったり。
あるいは読んでいて「なんだ!?」と思わせるような出来事が起こっている、など。
最初から『何か普通ではないシーン』が書かれている場合です。
そうすることで読者の『興味』を引き出すことが出来ます。
この『興味』を引き出す、ということが序盤では何より大切なんですね。
まあ、当たり前と言えば当たり前の話ですよね。
読者はその作品に初めて触れます。
作者から概要を聞かされていた場合は別ですが、基本的に読者は『その作品を何も知らないのが普通』です。
本当に真っ白な状態で物語に入り込むわけです。
なので、序盤で『興味』が引けるかどうかが、一つの重点になります。
けれど作者は、『好きなシーン』を優先してしまうことが多いです。
読者が必ずしも興味があるとは限らない文章で入って、興味を失わせる。あるいは「退屈だな」と思わせてしまう。それでテンションを下げてしまい、読者を逃してしまう。
これは作者の、習性みたいなものですね。
作者は予め主人公の性格や過去を知っていて、物語の舞台や大まかな歴史も知っている。だからこそ、好きなシーンを優先してしまい、説明が疎かになる。そして読者への説明不足に繋がることが多々あります。
例えばファンタジー。
主人公は冒険者だとします。剣や魔法を使って迷宮に潜り、宝や魔物の素材を得ることを日常としている。
故郷には幼なじみの少女がいて、いつも帰りを待ってくれている。
そしてあと一ヶ月で結婚するという約束をしているが、ある日幼なじみが、盗賊にさらわれてしまう。
そういう作品があった場合、この記事を読んでいる方々なら、どのような描写で主人公を説明するでしょうか?
文章でそういったことを説明する?
セリフをたくさん並べてどんな人物か説明する?
誰かが主人公たちの噂をして、間接的に説明する?
説明文で始めるのはNGです。特に独自用語や人の名前が次から次へと出てくる序文はよほど活字好きでなければ受け入れません。
なので、『序文はなるべく簡潔に、かつ濃く描写する』ことです。
例えば、上記では主人公は冒険者としました。
冒険者と言っても、色々あると思います。
エリート。底辺からの成り上がり。まだ初心者。あるいは以前は強かったが、今は何らかの理由で弱体化している。
他にも、一昔前に流行った、追放されて冒険者になった、というパターンもあると思います。あとは家が代々、冒険者だったなど。
種類は多岐に渡ると思います。
それらを上手く説明してください。
ポイントは小出し。それと簡潔に。
一度にたくさんの情報は出さない。出すにしてもわかりやすい言葉や比喩を用いて伝えやすくする、など。
例としては、
『メロスは激怒した』
言うまでもなく『走れメロス』の序文ですね。
簡潔、かつ興味を引く始まり方となっています。
人名が出て、激怒したとある。そこで大半の読者は「なんで?」と思うでしょう。
その後、理由が説明され、メロスの大まかな背景が説明されるのですが、ライトノベルも、というよりほとんどの娯楽作品はこれが基本だと思います。
『まず簡単な描写で興味を引かせる』
ライトノベルを例にして挙げるなら、
ファンタジ文庫の『王様のプロポーズ』という作品は、
『――初恋の人は、死体だった』
という一文で始まります。
また、電撃文庫の『ソードアート・オンライン』では、
「ぬおっ……とりゃっ……うひええっ……!」
という台詞から始まります。
どちらも非常にシンプルです。
それでいて、『何かが起こっている』ということを一瞬で読者に伝えている一文です。
おそらくほとんどの読者はこの一文で、何が起こっているかを知るため、二行目を見るでしょう。
そしてその後の三行目、四行目……と続き、面白そうと感じたら最後まで読み進めると思います。
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