朝日祭

         (2018、9、17)

 高校3年生の孫娘の体育祭、今まで行ったことがなかったが、これが最後なので出かけることにした。3年生は恒例の仮装大会があり、夏休み中から勉強そっちのけで準備しているらしい。特に孫娘はダンス部なので、中心になってやらなければならない立場のようだ。
 9月になって大きな台風が来たり、天候が不順で気温の変化も激しく、この一週間は曇りがちの天気だったが、その日は何とか晴れた。
 仮装合戦は1時から、朝日高校の中に入るのは初めてだ。
大きな作りものが立てかけてあり、奇妙な衣装をつけた生徒が行きかっている。
運動場に出て見ると、さすがに広い。
テントがいくつも並んでいて、観客が折り重なっている。お嫁さんにラインで、着いたことを知らせたけれど、とても探せそうにない。いくらか前が見えそうなテントに入ってスタンバイした。
 
 各組の持ち時間は入退場を含めてきっかり5分。時計係の先生のピストルの合図で全速力で入ってくる。
 最初のクラスは、バカでかい作りもの、頭部と上体と足部分の三つの横向きのものを大勢で運んでくる。その前で生徒たちが踊っていたが、何を意味しているのかよく分からなかった。
 次のクラスは縦横3メートルもあろうかという巨大な絵本と足場を持ち込んできた。
本の大好きな子供たちがページをめくりながら、お話の中のネバーランドへ誘ってくれる。すると本の中から、ピーターパンやウエンディや海賊たちや大きな鰐が出てきて、戦ったり踊ったり。
 絵本のページは大きく揺れながらもちゃんとめくれて、それぞれにきれいな絵が描いてある。ここからは遠くて見ずらかったのが残念。
これが孫娘のクラスのものだった。

 桃太郎と温羅(うら 岡山特別の鬼です)を登場させて最後はウラジャ踊りで締めくくるモノ、家族が悪の帝王と闘うモノ、中国風の衣装と踊りを込めたモノ。なかなかバラエティーに富んでいる。
なぜか「ワルモノ」と「イイモノ」が戦って「イイモノ」が勝ち、最後はみんなで仲良く踊ろうというパターンが多い。これもマンガブームの影響なのだろうか。
 印象に残ったのは「博物館モノ」。真夜中の博物館、展示されている像たちが楽しく踊っている中、このたび最高の展示物としてツタンカーメン王の像が加わり、皆は怖気づくが、最後は皆仲良く、という作品。
先生たちも一員として参加していて、生徒に合わせて無理な扮装をし、ぶきっちょな演技をしている。退場場面も全力疾走だ。

 この学校は生徒の自主性を重んじる校風で、見ていてなかなか見ごたえがあった。
 構想を練り、役割を決め、脚本を仕上げ、工作物を作り、絵を描き、衣裳を縫い上げ、音楽やセリフを考え、ダンスの練習をし・・・
これだけのものを短時間のうちに作り上げるのは、並大抵のことではない。

 「今どきの若者は・・・」と我々は言いがちであるが、いやいや大したものだ。
これからはAIが発達して、膨大なデータの処理をロボットがやってのけ、人は追いつけなくなるかもしれない。
でも、新しいことをデザインし、構想して、実行して、人を感動させることは、きっと人にしかできないと思う。
 朝日祭の仮装大会、一見ばかげていて、実は壮大な教育実験の場なのかもしれない。

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