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NASAとハリウッドが勧める 「農」のスキル

映画「オデッセイ(原題:The Martian)」を見た農耕関係者、もしくは今後農耕を志そうとしている人たちは「やっぱり農業だよ!自分が食べていくものを自分で作る。これこそが生き残るために必要なんだよ」と、歓喜したのでしょうか。

確かに、ひとり火星に取り残された主人公は自前の食料が底を尽くことを懸念、食料の中にあったじゃがいもを増やすことを試みます。これぞまさしく農耕。火星の土を屋内に持込み、自前のshitを肥料にハウス栽培です。この栽培はうまく行き、彼は命を繋ぐことに成功します。

とは言え、主人公が延々と火星でのじゃがいも作りに精を出すかと言うと、そうではありません。これは火星で農耕をする映画ではないのです。生きていくためには、他にもすることが沢山あります。食料生産はあくまでも生き残る術のうちのひとつ。もし、主人公が救い出された際、最終的に地球で農耕を志すなら、やはり農業が大事なのだ、というメッセージになるのかも知れませんが、果たしてどうでしょうか。

ただ、自前で食料を生産するノウハウは「まったくないよりはあったほうがいい」と言えるでしょう。第二次大戦中、日本では庭や空き地、道端においても、食料確保のため芋が植えられました。芋は比較的栽培しやすい作物です。昔の東京ならばまだ空き地はあったでしょう。でも、今の時代、芋を植える土地が東京にあるでしょうか。

それに、野菜の種類によりますが、種を植えてから収穫するまで早くて40日ほど、遅いと150日以上かかったりもします。もちろん、植えれば必ずうまい具合に育つ、というわけではありません。むしろ、現在の品種は昔と比べて肥料が必要だったり、虫や病気に弱かったりするので、育てるにも技術、農薬や肥料といった資材も必要になってきます。

もし、なんらかの食料危機になった時、そんな非常時に果たして農薬や肥料が手に入るでしょうか。技術がすぐ身に付くでしょうか。

ある人が言いました。「徴兵制は困るけど、徴農制というのはやったほうがいい」。ひとりひとりが何らかの農耕にたずさわって、食料を作ることをちょっとでもインプットできれば、何か非常事態になったとしても、食料の輸入が困難になったとしても、この映画のように生き残っていく術を得られるのかな、とは思います。

別に業として、農に取り組まなくてもいいけど、少しの知識のある、なしが生存の確率大いに左右することが示唆されてます。何もない状態で、いかに作物を作ることができるのか、というのは面白い場面で、生のshitが使われた時には「おいおい~!そのままだとじゃがいも腐っちゃうって!生はアカン!微生物で発酵させないと!!」と、客席で私が騒いだのは言うまでもありません。アレやな、宇宙に行くときはEMと糠を持ってったほうがいいかもね。

あと、余談ですが、宇宙飛行士はリタイアした後に農耕をする人も多い、というのは本当の話です。何も空へ飛び立たなくても、小さな地面の中にも宇宙が広がっているよなぁ、と、私もいつも思っています。

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