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サイゼリヤで西方アジアを思う

 サイゼリヤの新メニュー、羊肉の串焼きを食べた。独特の臭みと脂の味わいがあり、つけあわせのスパイスも最高で、まだ訪れたことのない西方アジアへのあこがれが増してしまった。

もしサイゼリヤで初めて羊串を食べ気に入った人がいたら、ぜひ高田馬場にあるモンゴル料理の店「馬記 蒙古肉餅」に行ってバター茶を頼んでほしい。ぼくは初めてこの店を訪れたとき、これを飲んで悠久の大地を感じたのだ。
興味があるけど住んでる場所が遠い、近くにモンゴル料理専門店がない、などの理由で確認できない人のために、バター茶について書こう。

高田馬場のモンゴル料理店「馬記 蒙古肉餅」でバター茶を頼むと何が起こるか。まず茶と書いてあるからお茶が来ると思うだろう、これが大きな間違いなのだ。
まず、君のテーブルには大きなヤカンが置かれる。急須ではない、ヤカンだ。そのヤカンから、大きめの茶碗に中身の液体が注がれる。白くて脂の浮いたそれは、一見するところチャイのようなミルク分多めのお茶だ。だが一口飲めばその違いがわかる。
ミルクでも、茶でもない、これは湯に溶いた脂なのだ。出汁の味がほのかに香り、奥底に茶が潜んでる気もする。だがその大部分は脂だ。
これがヤカンたっぷりだ。おそらく寒さの厳しいモンゴルの夜に、ゲルの中で汲みかわされるエネルギー飲料なのだろう。体の心からあたたまり、脂が染み渡るのを感じる。
もちろん、一人で飲みきれるわけもなく、ぼくは敗北感と共に高田馬場をあとにした。

ところが、だ。今回のNoteを書くにあたって検索をしてみると、ヤカンじゃなくてオシャレな急須が出てくる。感想もミルクと茶のものだ。あのときぼくが飲まされたものは、いったい何だったのだろうか。確かめるためにも、もう一度あの店に行ってみなければ。
サイゼリヤは、ぼくの頭の中からそんな記憶を引きずり出す羊串を提供してくれた。

ちなみに羊串についてくるスパイスはドリアにふりかけると最高のモンゴルドリアになるのでおすすめだ。

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