見出し画像

スティーブン・キング ノート1

先日スティーヴン・キング原作の映画「グリーン・マイル」を久しぶりに観た。三時間を超える大作だが、長さを全く感じさせない良作でもある。原作も大変な長編で、読み応えがある。
同じく刑務所を舞台とした映画「ショーシャンクの空に」の原作者でもあるキングだが、人知を超えた力という要素が柱になっていた前作とは違い、リアルなヒューマンドラマに仕上がっている。キングを「エグいホラーを書くひと」と認識している方でも安心して観られる傑作である。むしろ知らずに観て、エンドロールにも控えめにしか出てこないキングの名前にも気づかないままの方もいるだろう。(※訂正
「ショーシャンクの空に」は恐怖の四季という中編集に夏編として収録されている「刑務所のリタ・ヘイワーズ」という作品がベースになっている。キングが大好きだが、長編を読み切る気力が無い時などよく読み返した作品である。残念なことに電子書籍にはなっていないので、最近は読めていない。
映画では語り手の人物設定が変わっていたり、ラストシーンが追加されたりしていたが、ストーリー自体はおおよそ原作通りだった。追加されたラストシーンも、観客の心に寄り添うものとして素晴らしかった。しかし私は原作のラスト、語り手レッドの心情を細やかに書き綴っているところに大変感動した。確かに映画向きではないかもしれないが、原作者としてのキングの素晴らしさはここ極まっているとさえ思う。
「恐怖の四季」にはまた「スタンド・バイ・ミー(原題:ザ・ボディ)」が秋編として含まれていて、これも原作・映画とも傑作である。冬編の「マンハッタンの奇譚倶楽部」も印象に残る佳作で、初読後はしばらく頭から離れなかった。キングらしい、ホラー味も感じられる一編。夏編の「ゴールデン・ボーイ」については読み込んでいないため、語るのは止めておこうと思う。
しかしこの中編集、長編を書き終わったキングがガス抜きとして短期間に書き上げたものだそうで、凡人はただその才能に恐れ入り、ひれ伏すのみなのである。

※訂正:後で確認したところ、導入部でしっかりキングの名前と原作タイトルが出ていた。エンドロールには「スペシャルサンクス」として謝意が表してあった。誤情報をお詫びします。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?