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身体の動きを学んでみる3;筋力について(2)

前回から筋力について考えています。
筋肉が収縮することで関節に力が伝わり、
それが出力となって発揮される。
その筋収縮には神経の指令が必要。

ここまでが前回のお話でした。
ではもう少しそのメカニズムについて
詳しく話してみましょう。

神経ー筋のユニットを、
モーターユニット(motor unit)と呼びます。
具体的なイメージは下図のようになります。

モーターユニット

上図は簡略化して、
一つの神経細胞が支配する筋繊維を表しています。
比較的大きな筋肉(太ももやふくらはぎなど)は、
このような複数の筋繊維への神経支配が一般的です。
手指の筋などの小さな筋肉では、
一つの神経細胞が支配する筋繊維は少なくなります。
さらに、

多くのモーターユニット

上図のように実際には、
一つの筋肉内にある多くの筋繊維を、
多くの神経細胞が支配しています。

であれば、
多くの神経細胞が活動(発火という)すればするほど
多くの筋繊維が収縮し、結果として多くの出力が得られます。
つまり、筋力が大きくなります。

さて、
みなさんは筋トレをし始めたら、
筋出力が比較的早期にアップした経験がありませんか?
また、
筋肉が太いことこそ出力が大きなるとイメージしませんか?

どちらも正しいのですが、
じゃぁ筋トレ早期に筋繊維自体が太くなる(筋肥大といいます)のか?
といえばそうではありません。

ではなぜ早期から筋出力がアップするのでしょうか?
それがまさに、
筋トレは神経トレーニングだということを
説明している現象なのです。

モーターユニット活動数との筋出力関係

上図をご覧ください。
これは同じ太さの筋繊維で、
活動するモーターユニットの数と筋出力の関係を見たグラフです。
モーターユニット活動数が多くなれば、
それに応じて筋出力はアップしていきます。

もう一つ図を提示します。

筋肉(筋繊維)の太さと筋出力の関係
(同じ数のモーターユニット活動の場合)

これは、
筋肉(筋繊維)の太さと筋出力を、
同数のモーターユニット活動数で比較した概念図です。

この場合は、
太い筋肉ほど出力が大きなることがわかります。

前述の話に戻ります。
最初に挙げたグラフから、
筋トレ当初の筋力アップの原因がわかります。
それは活動するモーターユニットの数が増えたからです。
ということは、活動する神経細胞の数が増えたということ。

2番目のグラフから、
同じだけモーターユニットが活動すれば、
太い筋肉の方が強い力を出すことができるということです。
太い筋肉ほど力強いということが、
必ずしも間違ってはいないことを示しています。

ちなみに、
筋トレを始めて3週間くらいは、
活動するモーターユニットの数の増加によって筋力がアップし、
それ以降からようやく筋繊維自体が太くなっていく/筋肥大が起こる
と言われています。

もっと早くから筋肉は太くなったと感じた方は、
きっと血流の増大にともなう(パンプアップと言うそうです)ものだと
考えられます(参考1)。
また、3ヶ月くらいしてようやく太くなったと感じるという方は、
目に見える形で、誰が見てもわかる変化という意味での肥大
だと思われます(参考2)。

筋力・筋トレに関しては本当に多くのことが関連してくるので、
書き始めたら終わらないくらいなのですが、今回はこれくらいにします。
次回は、もう少し俯瞰的に身体全体から見た神経活動と筋出力の意味
について考えてみたいと思います。ではまた。

参考サイト
1 https://www.oricon.co.jp/special/58322/

2 https://valx.jp/column/10560/


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