買った品物にテープを貼るな!

スーパーなんかでモノを買って、袋を断ると、店員がすかさずテープを貼ってくる。以前からある、得体の知れない風習だよね。それが近ごろ、レジ袋の有料化もあってなのか、やたら貼りまくるようになった気がする。不思議なことに、たくさんモノを買ってレジ袋を断っても貼らない。なのに、ひとつ2つだけ買ったりしたときは、ほぼ間違いなく貼ってくる。白菜一つ買った時なんか、胴体に巻かれているテープの上にテープを貼ってきた。

あの、テープを貼られるのが私は嫌いだ。

いつから始まった風習なのか知らない。どっかの店が始めて、それが次第に広がって、なんとなく定着したんだろう。果たして、あのテープ貼りに意味=効果はあるのか? そもそも、いったい何のためのテープ貼りなのだ?

去年のこと。レジ袋を断ったらテープを貼ろうとするので「やめてくれ」というと、レジの兄ちゃんが「万引きと間違えられますよ」と露骨に言われたことがある。こっちにはレシートもある。なので「レシートとテープと、どっちが証拠能力が高いですか?」と言い返したら、「テープならひと目で分かります」と来た。そうか? 商品を裸でもってて警備員に質問され、「ほら、テープが貼ってありますよ」って見せて疑いを晴らした人は、全国に何人いるんだ? 統計があるなら教えて欲しい。

だいたい、いまどきのスーパーに万引きを見張るような警備員・店員の姿なんか、見当たらない。町の小さな店で、裸で商品を持っていても、問いただされたことなんてないぞ。多くがそうやって、カゴにも入れずにレジにもって行くだろ。裸で商品持ち歩きの客に目を光らせている店があるんだったら、教えて欲しい。

そもそも多くの人は買ったモノをカバンやポケット、マイバッグ、持参のレジ袋に放り込んでしまう。ペットボトルひとつ買って、裸のまま店を出たとしても、それで警備員が追ってくるようなことは、フツーはない。だいたい、テープが貼ってあれば万引きと間違えない、というけれど、テープが貼ってあるのを、遠目で確認できるのかね。絶対にできないと思う。そうやって目を光らせて、毎日、テープ確認している警備員・店員が存在するのだったら、教えて欲しい。フツーのスーパーに、そんな係はいないと思う。

たとえ店内で商品を裸で持ち歩く、あるいは店を出ようとする人がいたとしても、レシートをもっていれば、買った証明になるではないか。テープが「買った証明になる」というのなら、万引き常習犯はテープを集めておいて、咎められたとき「ほら、テープが貼ってあるもん!」で切り抜けられてしまう。万引き犯にとって、テープほどありがたい存在はない、となるのではないの?

「テープなんて気にする方がおかしい」という人もいる。いやいや、おかしいのはテープを貼る行為でしょ。テープを貼るのは、客を万引き犯と間違えないため? いやむしろ、万引き犯に役立っているのではないの? 一般客を万引き犯と間違えないため? いやいや、そのなことの役には立ってないでしょ。なにも考えず、なんとなく風習だから貼っているんでしょ? なら、やめればいいじゃない。しつこくテープ貼りにこだわる理由は、なんなのか、教えて欲しい。

テープを貼られるのが嫌いなのは、商品を傷物にされる可能性があるから、ってのもある。はるか昔のことだけど、池袋西武の地下にあった大きな書店で、薄っぺらい月刊誌を買って、「袋は要らない」というと、店員のおっさんがいきなり雑誌の表紙にテープを貼ろうとしたことがあった。ぎゃ! なんてことするのだ。こっちは雑誌を大切に扱い、長く保存する人種なのだ。なんてコトをしやがる。貼られる前に咎めたのか、雑誌を交換したのか覚えてないけど、こういう本・雑誌に対する愛のない人間のいる書店はつぶれてしまえ、と思ったものだ。でもたしか、リブロといった書店はほどなくなくなったような気がする。

なことをいうと、「本はそうかも知れないけど、お菓子のパッケージなんかどうせ捨てるんだから、どうでもいいじゃない」という人がいる。いや、パッケージだって、人によっては大事なモノなんだよ。たとえ捨てるモノだとしても、テープなんかにその存在を汚されたくない。そう思っている人もいるのだ。

近ごろでは、「テープを貼らないで」というと「あ、あ…」と途中でやめて、貼らないでくれるレジのおばちゃんもいて心強い。何が何でも貼る、というレジ係は大幅に減っている。当たり前だ。テープの効用なんて、ないことが分かっているからだろう。たんに、風習だからやっているだけのことなのだから。

風習なら、さっさとやめるのがいい。だいたい、環境対策を叫ぶのなら、テープのムダ使いをやめるに越したことはない。意味のないことを、なんとなくつづけるなんて、意味がないではないか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?