成年後見制度ってなんだろう?
「一人暮らしが長いけど、年もとってきたし、そろそろ、預貯金の管理をひとりでするのは不安になってきたなぁ。」
「おじいちゃんが、勧められるままによく分からない金融商品を買ってしまったらしい。悪い人もいるから、今後こういったことがないように、予防したいな。」
「息子を新しい障害者施設に入所させたいが、息子は知的障害のため自分では契約が結べそうにない。」
成年後見制度とは、こういった認知症や知的障害、精神障害等の理由で判断能力が低下してしまった方々に対し、手助けしてくれる人(成年後見人等)をつけ、代わりに財産管理をしたり、生活や医療等に関する手続きや契約を行ったりできるようにすることで、判断能力が低下してしまった方々の権利、生活を守る制度です。
例えば、判断能力が低下してしまったAさんが、高額なマンションを購入させられてしまったとします。このような場合に、成年後見制度によってBさんという成年後見人をつけていれば、Aさんにとって不利益なマンション購入という法律行為を取り消すことが出来ます。また、このマンションの購入がAさんにとって不利益ではない場合は、Bさんはこれを追認して有効な法律行為とすることもできます。
成年後見制度の実情
便利に思える成年後見制度ですが、利用は思うように進んではいません。
平成28年9月における内閣府の発表によると、平成27年末での成年後見制度利用者は約19万人。一方で、平成27年の認知症有病者数の推計は約517万人ですので、利用率はわずか約3.7%ということになります。
こうした背景には、成年後見制度によってご本人の行為に制限が加わることで、実際の生活がしづらくなったり、ご本人の意思の反映がスムーズにいかなくなったりすることへの不安もあるのではないかと思います。
成年後見制度の中でも後見、保佐、補助といったように、その判断能力の程度によって、ご本人の行為の制限度合には差があります。これらをうまく区別して、ご本人の判断能力に合わせた制度を利用することで、ご本人の意思を出来る限り反映させた無理のない生活が可能になると思います。
次回は、それら後見制度の種類についてご説明いたします。
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