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『Rusted Moss (ラスティッド・モス)』レビュー

Rusted Moss (ラスティッド・モス)』は、銃を手にグラップリングフックを操って飛び回る、2Dアクションゲームだ。足場から足場へと障害を乗り越えて進んでいく、いわゆるプラットフォームゲームと言い換えてもいい。

主人公は人間の女性ファーンと、彼女の影となり付き従う謎の存在パックだ。本作の舞台は妖精によって滅亡の危機に瀕している世界。人類は彼らの魔法を盗み魔女へと与えて最後の抵抗を試みたが、密かに妖精側から送り込まれていたファーンによって阻まれることになる。

言わば裏切りから始まるストーリーは、なかなか惹き込まれるのではないだろうか。

開発:faxdoc, happysquared, sunnydaze
販売:PLAYISM
配信日:2023年4月12日 / 日本語サポート有
Steamにも同レビューを公開中:Link

ゲームシステム

本作の目的は、広大なマップを探索して魔女たちを倒し、盗まれた妖精の力の源「ティターニアのかけら」を集めることだ。

マップ構成は大小多数の「部屋」が縦横に繋がっているものとなっていて、ロケーションによってその雰囲気も変わる。リリース直前に開発者から伝えられたところによると、最終的には800部屋以上になったということなのでその広大さがわかるだろう。

シームレスにつながっているわけではなく、部屋と部屋は画面の切り替えが発生するもののローディングは一瞬。チュートリアルを終えるとすぐにファストトラベルも解禁されるので、移動にストレスはないはずだ。

ただし、本作の特徴としてほぼすべてのマップが簡単には移動できないようになっていて、足場が離れていたり、高い位置にあったり、ダメージゾーンに阻まれていたりとひと筋縄ではいかない。

そこで移動手段のメインとなるのが「グラップリングフック」だ。

グラップリングフック

最初のチュートリアルボスを倒したところですぐ解禁されることになるのが、相棒パックが変化する「グラップリングフック」だ。

天井・壁・床などの草が生えているような部分にフックを投げ、バンジーコードのように伸び縮みする動きを利用して移動していくことができる。

ただし、その挙動が独特で、まず自在に動けるようになるまでが最大の難関となっている。

マップの一部には特殊なアクションを習得してからでないと到達できない場所はあるものの、基本敵にグラップリングフックさえあれば最初からどこへでも行ける。目的地に行けない時は、単純に「プレイヤー自身の技術が足りない」というゲームなのだ。

また、戦闘にも応用することができる、と言うよりも応用が必須になってくるので、総じて難易度を引き上げる要因でもあることは理解しておきたい。

マスターするまではとにかくトライアル&エラーを繰り返すことになるので、その点では万人向けではなく、プレイヤーを選ぶゲームシステムと言ってしまっていいだろう。

この挙動は実際に操作してはじめてわかるので、ぜひ購入前にはデモ版をプレイしてみてほしい。ただ、どうしてもクリアできないプレイヤーのために「無敵」や「飛行」といった、言わばチートオプションもあるのでその点は安心してほしい。

攻撃手段

ボスとしての魔女や、探索中には人類が残した機械兵器と戦うことになる。

主人公の攻撃手段は「銃器」で、ピストルやショットガン、スナイパーライフルなど探索中に発見することで種類が増えていく。弾薬の概念はないので弾切れは心配しなくていい。

すべての銃器にノーマルショットとチャージショットの概念があり、前者は安定してDPSが稼げて、後者はハマれば強いという印象だ。

また、「トリンケット」というアクセサリに相当するものを拾うこともでき、武器の威力や射程のアップ、敵の攻撃性能を低下させるといった効果を装備することで得られる。

装備可能なリソースには限りがあるので、シーンに応じて付け替えていくことで戦闘や探索を有利に進めていくといいだろう。

日本語サポート

UI/テキストが日本語に対応。

パブリッシング、および、ローカライズサポートはPLAYISM。翻訳は柴田泰正氏 (Twitter) が担当されている。

本作では主人公とパックの会話以外にも、探索中に出会うNPCや、魔女とのボス戦前後などでも会話シーンが発生する。安定の翻訳品質で、それぞれのキャラクターには個性が感じられ、また主人公の立ち位置の複雑さもあるのでより楽しめるはずだ。

気になるポイント

本作では足場から落ちたり、トラップでミスしても体力を一定ポイント失って少し手前の位置からリスタートできるが、戦闘を含めて体力をすべて失うとゲームオーバーとなってセーブポイントからのリスタートとなる。

この際、ゲームオーバー時の状態を引き継いで再開できるわけではなく、あくまでセーブした時点での状態なのだ。

つまり例えば、そこまでに何かイベントやアイテムを発見していてもすべてセーブした時点まで戻ってしまう。オートセーブはなく、手動で実行する必要があるので、充分注意してほしい。

総評

とにかくなによりも「グラップリングフック」をマスターすることがすべてと言い切ってしまっても過言ではないので、その点でどうしてもプレイヤーを選ぶゲームだ。

ストーリーが魅力的なのでそれがモチベーションとなってくれるが、向き不向きというものはあるので、デモ版でプレイフィールを確かめてから手に取ることをおすすめしたい。

RTAモードも用意されており、アクションをマスターして自在に動けるようになれば最高のプレイが待っているので、ぜひ挑戦してみてほしい。


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