「ちゃんとした投資勉強会」では何が学べるのか(①企業様のプレゼン編)

※勉強会のレポートは全文無料で読めますが、面白かったら投げ銭くださいm(__)m


5月29日に実施された「プレミアグループ IRセミナー」のレポです。

細かい内容は上のツイートにある資料を見ていただきたいのですが

ここでは「実際に事業を営んでいる企業の責任者が、どういった観点から自社の事業を評価しているか」という視点を紹介します。

実際に投資家として企業を見る際にも非常に重要な観点となります。



①マーケットの市場規模

「現在の自社の事業ドメインはどこか。どの程度成長のチャンスがあるか」という部分ですね。

②競合との関係

自社の事業と競合している企業はどこか。そしてそれに対して自社は今何番手か。競合の存在は、特に「利益率」や「成長限界」を予測するうえでとても重要です。
競合が全くいなければ利益率は高くても成り立ちます。また競合の強さ次第で、市場シェアの何パーセントを目指せるかも変わってきます。

極論すれば、将来的に
・市場の規模がどれだけで
・そのうちシェアの何パーセントが獲得可能で
・売り上げに対して何パーセントの利益が取れるか

まで全部わかっていれば、チャートや現在の時価総額は関係ありません。そのくらい市場規模と競合の二つは大事です。

③競争優位性

競合に対してどのような優位性(バフェットのいうところの「堀」)があるのかの部分です。これが明確に言える会社は強みがあります。

実際、今回ご説明をいただいたプレミアグループ様は、「オートクレジット(自動車ローン)」事業というドメインにおいて、明確に3つの強みを持つことを示しており、シェアの7割を確保していました。


④人材戦略

財務系の資料だけ読んでいると見えにくいところですが、四季報や企業HPできちんと載っている項目です。

・給与・福祉だけでなく特に教育コストの問題
・離職率や平均年齢
などがチェック対象となります。

⑤成長戦略(横軸)

将来の事業規模や事業範囲についてどのように考えているかという話です。

・現在の事業ドメイン内での成長戦略と
・新規事業分野での成長戦略

の2つがあります。前者では、どのようなKPIを設置しているかをしっかりと確認する必要がありますし、後者をどう評価するかが投資家の腕の見せ所となるでしょう。

⑥成長戦略(縦軸)

事業の生産性や競争優位性を高めるような施策の部分です。

今回のセミナーでは
・シナジーのある企業のM&Aによる競争力強化
・DX強化
・財務改善
・コスト管理
などについて説明がありました。


⑦中長期ビジョン

⑥まででも「現在の企業価値」や「直近の業績」はある程度予測可能でしょうが、これだけだと長期投資の判断はできません。

さらに

・中長期的なビジョンを持っているか。
・そのビジョンについてどの程度具体的に数字を積み増しできているか
・数字目標に対するコミットはどうなっているか

という点で「経営者への期待・信頼」が問われます。

この経営者への信頼というのはある意味最強ステータスであり、ここが強い企業はそのビジョンへの前提が崩れない限り持ちっぱなしにできるし、そうでない企業はどこまでいっても投機ゲームの対象になってしまいます。

プレミアグループ様の場合は
・「その他金融」から脱却して「中古自動車販売市場」におけるプラットフォーマー(会員制ビジネス。BtoBからBtoCへの拡大)を目指したい
・金融後進国を中心に海外展開を積極的に行っていく

という2点を強調されていました。

⑧最後に投資家おなじみの経営指標目標

・経営者側としてどの数字に注目して経営を行っているのか
・投資家に対してどの数字を強調したいのか

がわかります。

今回の場合は
・ROE30%以上を継続していること
・BSの健全性を確保するために将来収益を意識していること
・配当性向についても常に増配を目指していること

などから、自社ビジネスをストックビジネスとしてとらえ、安定成長を実現しながらその利益を還元するというサイクルを意識していると強調していました。


自分が投資しようとする企業について最低限チェックしておきたい項目がきちんと網羅されている


投資の入門書などを読むと、チャートだとかPERといった指標ばかりが目につきがちです。

しかし投資の際にまず最初に大事なことは、きちんと自分が投資しようとしている企業について理解することです。

割安だとかチャートが良い良くないというのは、これと併せて考えるべきでしょう。


そういう意味で、企業のIRセミナーに一度参加することによって「企業説明会資料」の読み方がわかってきます。

また、今回のプレミアグループ様はかなり「わかりやすく強みがあり、成長が持続している」企業であり、資料の内容も網羅的です。そういう意味でベンチマークとしてもとても優秀だと思われます。

「プレミアグループの資料と比べて必要なことが書かれているか」という意味でいろんな企業の「投資家向け説明会」の資料と見比べてみると面白いでしょう。


ここまでが最低ライン。ここからが投資家の腕の見せ所


もちろん、これらの要素をきちんと抑えるだけでも指標だけ見てる投資家や四季報だけ見て割安割高チェックをしている投資家さんよりも優位性を持つことができると思います。

ただし、これだけで終わったら「企業様側からの一方的な情報発信」を受け取っているだけになります。

「神戸投資家勉強会」など「良い勉強会」の醍醐味はこの次の「質疑応答」の部分にあると思います。


「投資家の人たちがこうした企業からの情報発信に対して、どういうチェックを入れているか」を次にご紹介します。


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