「ちゃんとした投資勉強会」では何が学べるのか(②凄腕投資家のチェックポイント編)
※勉強会のレポートは全文無料で読めますが、面白かったら100円投げ銭くださいm(__)m。一応ささやかにおまけをくっつけてます。
①の記事では、まずIRセミナーでの企業様プレゼンの内容を元に「実際に事業をしている企業様視点から見て、どういった観点で企業の事業内容を評価しているのか」を説明しました。
8つの視点からその企業の将来性をチェックするということですね。
これはもちろん重要な話であり、これができるだけでも並みの投資家よりは先んじられるものの、「経営学」で言うところの5F分析だとかPEST分析と同じ内容であり、ちゃんとした企業なら「投資家向け説明会資料」できちんと説明してくれている内容なので、もう一歩踏み込んだ理解が必要になります。
というわけで、神戸投資家説明会で実際に行われた「質疑応答」の部分を元に、凄腕の投資家さんたちがさらにどういった点をチェックされているかを紹介します。
これらは、今後企業のIRセミナーに参加されるときに、自分で質問を考えるヒントにもなると思うのでご活用ください。
チェック①企業の資本政策・資金調達について
・過去の資本政策の実施履歴をチェックし、特にMSワラントを実行した、実行しようとしたことがある場合は、資金調達についての考え方を確認する必要があります。
・それ以外にも、自己資本比率が低めで推移している企業、大きめの買収を行ったり新規事業に積極的な企業、大幅な借り入れなどで借入金返済が結構苦しめの企業などは公募増資などの危険もあります。
・逆に、自己資本比率が高すぎたりROEが低い企業についてはもっと積極的に投資する計画はないのか、と問うのもよいいかと思います。
「こんな質問をしてもいいのか?」と思うかもしれませんが、「都合の悪い質問にちゃんと答えられる」企業ほど信頼されるし、実際プレミアグループの担当者様は、この質問への回答もきちんと用意されていました。タブーはないと思って質問していると良いと思います。
チェック②:企業提携などのニュースについて
例えばプレミアグループ様の場合は、今年3月にシンクロフードと業務提携しています。これについての詳細をたずねるもよし、その他の企業提携検討の方向性について聞いてみるのもアリです。
チェック③:中期経営計画の数字の積み上げの詳細
企業が中長期的なビジョンを示したり中期経営計画を立ててくれるのは良いことだと思います。ただし、それについてどの程度具体的な見込みや割合を織り込んでいるのかはせっかくの機会だから確認すべきです。
たとえばつい去年までの〇イキューヴという企業さんは、中期経営計画で毎回威勢のいい数字を出しますがだいたい達成しませんでした。リップサービスで一時的に株価は上がるものの実績は全然だめで需給が悪化して必要以上に売られるみたいなことがしょっちゅうありました。経営者のことを財布としか思ってなさそうな社長ほんと嫌い。
・それぞれの事業分野でどの程度の数字を持っているのか
・それぞれの数字目標についてどの程度の確度を持っているのか
プレミアグループ様の場合、既存企業は高い確度で達成可能であり、新規事業の方は~~~~だと教えてくれています。きちんとこれについて情報発信してくれる企業は信頼度増しますね。
チェック④ 事業リスク管理について
③が「数値目標達成」できるかというリスクの話だったの対して、こちらは「予期せぬ損失」「事業のもろい部分」です。
企業については当然事業リスクがあります。
その事業リスクを企業側がどの程度見積もっているか、あるいはどのように管理しているかという部分は投資家にとっての最大の関心事項です。どういったリスクがあるのかを確認し、気になるところがあれば確認しましょう。
プレミアグループ様の場合は、例えばタイ国で展開しているローン事業などです。
以前にウ〇ッジという企業がタイでやらかしたことがありましたが、やはりプレミアグループ様でも日本とタイでは貸倒率も金利も全く異なります。アフターコロナで金利上昇局面になった時に、昔のようにアジア諸国で金融危機が起きたりする懸念はないかと当然気になります。
また「海外展開」と一口で言っても国ごとにリスクがあります。中国に事業を展開している場合はそのあたり確認が必要でしょう。
チェック⑤:商品優位性の詳細
競合と比べた優位性を企業様側から確認されただけで満足せず、さらに優位性の詳細を確認するのも面白いですね。
実際、「企業としての強み」を、現場の営業やちょくせつのお客様が認識しているかどうかはわかりません。企業がそう言ってるだけかもしれません。強みの本当のところをうかがって、それはちゃんと維持できるのかも感が他方が良いでしょう。特にストックビジネスは注意が必要です。
ストックビジネスといわれてたのにいきなり来季売り上げ予想が5割以上減少して嘆きの壁を作ったAI〇NSIDEの悲劇を忘れてはいけない(戒め)
チェック⑥:成長・拡大ストーリーをどこまで継続できるか
・現在の事業の「壁」「天井」はどこか。
・壁が出てきた時にそれを乗り越える術を持つか
あたりも重要なポイントですね。
特にストック型収益の事業場合は「ここまでは伸びる」と企業や機関投資家たちが判断しているところまでは利益を先取りして株価がスルスルとあがり、そこから思いっきり下がってくることがあります。
三〇サービスとか一時期すごかったよね。なんであそこまで上がったのかほんとに意味不明なんですが。
飲食業だと時価総額1000億の壁だとか、専門SI企業だと500億止まりになったりすることが多くあります。つまり企業の成長もそのあたりから上は頭打ちになりやすい。
そういう壁を乗り越えていく力があるのかないのかは凄く重要なポイントだと思います。最近のマザーズ株、明らかにその壁を無視して上がってたやつありましたけどこの後どうなるのか恐ろしい……。
チェック⑦:成長ドライバーのチェック
成長著しい分野があった時に、その成長の詳細がわからなければ確実にチェックしておきたい。特に、急成長の部分がM&Aによるものでないかどうかは要チェック。小さい規模の時ほど注意が必要です。
例えばプレミアグループ様の場合オートモビリティ事業の売上が6億→17億に成長しています。じゃあ同じように翌年10億つみましたり3倍化したりするのか?と思いたくなりますよね。
しかしこの部分はM&Aによる部分が大きく、翌年度同じ伸びは期待できませんし、買収した企業によってPLにとってしばらくマイナス貢献になる場合もあります(負ののれん)。
ライ〇ップやコ〇ワイドの例もありますし、ホー〇のように成長ドライバが逆流して即死するケースもありますので、要注意が必要です
チェック8:マクロ状況のシフトに関するリスク
海外展開している企業や、特定の企業・業界に依存している企業はこうした大きな要素についても企業側がどうとらえているかを確認しておきたいですね。
プレミアグループの場合、中古のガソリン車を前提とした市場がメイン戦場なので、EV化推進においてリスクとチャンスをどのようにとらえているかを確認する質問がありました。
他にも、先ほど述べた海外リスクなどもそうですね。プレミアグループは中国などには進出していないようなので事業を揺るがすようなリスクはなさそうですが……。
他にも5つくらい質問がありましたが割愛します。
企業様が示す「キラキラのストーリー」を「現実的」に評価する
企業様はもちろん投資家に向けて積極的なストーリーを提示し、その達成に向けて必死に努力されているわけですが、そのストーリーに投資するリスクは投資家個人がきちんと負わなければいけません。
現実的に評価して、それでも行けると思った企業へ投資することがとても重要になります。
とはいえ。
このあたりの質問は、企業で管理職を務めておられる方、つまり事業に数値責任を負って仕事をした経験がある人なら当然のように確認したくなる事項ばかりだと思います。
そういう意味で、企業評価ってあまり難しいことを考えなくても「社会人経験」が凄く生きるところです。
①リスクをきちんと踏まえたうえで、
②自分の会社よりもうまくやってそうな会社が
③割安で売られてたら買う
という割とシンプルな方法で投資するのも悪くないんじゃないでしょうか。
まとめ IRセミナー&質疑応答時間が多めに確保されてるセミナーに参加すると企業をしっかりと理解する視点を短時間で得られるよ
というわけで神戸投資家勉強会の内容紹介でした。
ぶっちゃけこれ1500円で受講出来ていいの?っていうくらい学びがある勉強会なので、もし機会がある人はぜひ参加してみてください。そして、この記事でまとめたような質問を自分でも考えてみて下さい。
実際にはこの後「個別銘柄についてのパネルディスカッション」があり、参加者が出した銘柄について、「愛鷹」さん、「DAIBOUCHOU」さん、「ゆうと」さんの3人が添削指導してくれたり、お三方の投資手法についての簡単な解説があってさらにお得でした。
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