地域メタバースのUI・ならではさ・サービス
地域メタバースは派手なUIで勝負しない
地域メタバースに求められるUI/UXの要素はどのようなものか。
地域メタバースでは派手さや一般的な演出、創造性やユニークさで勝負するのは困難であると感じている。
なぜなら、地域メタバースのベースになるワールドは物理的な空間である現実世界の建物や道路、空き地と決まっているからだ。
ベースになる物理空間にゲームエンジンで装飾をつけていく方法は主に2つある。
1つ目はわかりやすくARによる演出だ。
カメラで物体検出や距離計測をした上で、判別した物事に別のエフェクトをかけたり、ものの前後関係を考慮した上でリアルなアニメーションをスクリーンに映し出す。
2つ目はゲームエンジンに組み込んだ地図になる。
Googleマップなどの地図タイルをUnityやUnreal Engineに読み込ませて、3D空間に現実世界の地図を表現する。
ゲーム内に読み込まれた現実世界の地図上に、アバターやアイテムを載せたり建物や空を色分けしたりしてゲーム感覚で主に屋外を楽しめるようになる。
一方で、完全に0から開発された3DCGのメタバース空間では、どんな体験をさせたいのかという思いを都市計画に組み込んだ上でワールドが作られる。
その上でアバターができることや、トッピングとしてのアイテムやゲーム性などを付加していく作業になる。
一般的なメタバースでは、現実世界での見た目や行動範囲、できないことを体験できる or 当たり前にできることが目的になっている。
一方で、地域メタバースと敢えてポジショニングを取ると、派手な演出として空を飛んだり闘ったり跳ね回ったりする非日常体験を求めるユーザには響かないことになる。
どんなユーザに地域メタバースの世界は響くのか?
私はあってもよかったものの視覚化だと考えている。
視覚化といっても、基本的に2DでのUXでこれまであまり普及しなかったということは、あってもよかったが、なかったものの中で3Dで効果的に表現されることで初めて魅力が発揮されるサービスということになる。
Web1.0からWeb3.0まで最近のインターネットの進化は非常に速い速度で進んできたが、あってもいいのに今なぜかないサービスは、おそらく思い付かれて実装はなされても世に普及していない時点で魅力がないのだ。
Web3とメタバース要素が組み合わさって初めて価値があるサービス、むしろそれがないとできないサービスを作らなければいけない。
Web3.0の文脈では、1つ1つのアイテムやゲーム内通貨などを買う対象としての価値がつくことで、主に経済的な面で効果を発揮する。
今回はメタバース要素で考察したい。
地域メタバースでは、SNSやその他のWebサービスを使っても表現できなかった体験ができる場にしたいと思っている。
問題解決型のサービスとしてメタバースを扱わない
モバイルアプリケーションやWebサービスで何か新しい事業を構想するときに出てくるのは、「問題解決」だ。
しかし、メタバース体験と問題解決にはあまり接点がない。
メタバースを使う理由は、どちらかというとマイナスを0に近づける節約的な感覚ではなく、0からプラスに向かう効用や気持ちを高めるような部分が大きいのが私の感覚だ。
それはおそらく3Dで表現することによるゲーミフィケーションの要素が見た目として全面に出ているからだろう。
コミュニケーションの始めやすさ
私が重要視している体験の1つが、会話の始めやすさだ。
要件ややることが決まっている仕事と異なり、一般的なコミュニケーションでは相当関係が深い人間関係や、ゲームなど、刺激的な体験があるものを共有している人間関係にある人同士でしか簡単にコミュニケーションに発展しない。
人が話を始めるには実はハードルが高いのだ。
電車であったり、道ですれ違ったりしたからといって話しかけるのは不審者になってしまう。
そのため、アバターを介したコミュニケーションが前提にあるメタバースで工夫するべき点はコミュニケーションの始めやすさを極限まで高めることだ。
いい意味でのコミュニケーションの発生率を高めるにはいくつかの方法や原則がある。
1. 近い年齢・同じ趣味など、属性の近い人同士を集める
2. ゲームやメディアなど、話題を積極的に提供する
3. 一緒にやることを明確にする
4. ユーザが積極的に話題の提供をしたい場所を作る(SNS)
5. 投稿のしやすさを簡単にする
まだまだ挙げられるはずだが、地域メタバースではこの中で私は2と3が重要だと考える。
地域メタバースの具体的なサービス
2で地域という現実空間で共有している公共な場に対して、3で何か生産的な活動を地域メタバース空間ですることができれば非常にいい。
3の一緒にやることとは具体的に何だろうか。
何ができるだろうか?
私が考える中で一番可能性が高いのが、メディアである。
街のメディアをメタバースという人間関係がフラットな場を利用して3Dの仮想空間場に展開する。
街のメディアに対して広告をつけることで経済的価値をつけることで、意味やモチベーションを高めたいと思っている。
メタバース時代の具体的な広告の在り方などは、3D体験を阻害しない、自然にメタバース空間のアイテムの1つとして現れる広告が最近では発明されている。
街のメディアをいかにメタバース上でバックエンドを含めて運用、設計するのかが私の今後の興味がある部分だ。
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