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【エンジニアは読書すべきか?】新卒エンジニアが1年半で本を37冊読んで学んだこと

はじめに

この記事は、1年半で本を37冊読んだエンジニアが、身をもって知った読書の効果を伝える記事である。後半は私が読んだ本の全リストと学びを掲載した。誰かが本を好きになってくれることを祈って。


本に関する記事を書いたきっかけ

嬉しいことに、新人2名が部署にやってきて、私がこのセンターに入って1年になったと気づいた。
ありがたいことに、この1年間で研究からUIUXリサーチ、小さなチームのリーダーなど、いろいろ経験させてもらった。これからはフロントやAWSもがっつり触る予定だ。
いつも迷ってばかりだが、「先輩」「本」「友人」がよりどころだ。感謝しても仕切れない。
拠り所にしているだけあって、私はよく本を読んでいる。そして最近、多読の方法やメリットを訊かれることが多くなった。
なので今回、私の読書経験を言語化することにした。本の良さを知っていただけたら嬉しい。

私が1年半で読んだ本の内訳

まず、私の読書の内訳について紹介する。
私は一年半で37冊の本を読んできた。1ヶ月に2冊ずつ読んでいることになる。
内訳はビジネス系がトップで40%、ついでデザイン系が24%である。一方で技術系は16%である。技術はネットで勉強することが多いが、それでもこの割合はエンジニアとしては少ない方だと思う。
次の章からは、読書で何を得られたか書く。

エンジニアx読書=?

エンジニアが多読するメリット

私はエンジニアに多読を薦めたい。そのためにメリットを紹介する。

エンジニアとして働きながら1年半、多読して良かったことは3つある。

一つ目は、たくさんの考えに触れているおかげで、問題解決ができたことだ。私が直面したR&Dやソフトウェア開発での問題は、実は物事の捉え方や行動パターンに起因していた。なので、技術書以外からの教訓が、問題の認知や改善に役に立った。

二つ目は、先輩などに相談しやすくなったことだ。私には仕事の悩みや失敗が尽きないため、先輩に相談させていただきながら日々を送っている。相談事項を考える際に、本が役立つ。タイムリーな本を読めば抱えている問題自体への解像度が上がるため、何が問題かなんとなく予想した上で相談できるようになる。そうなると、さまざまなバックグラウンドからアドバイスをいただけて、プロジェクトの進捗や、自分の成長につながる。

三つ目は、エンジニアリングを取り巻く社会の広がりを知れたことだ。ソフトウェア開発には、さまざまな人々が携わる。エンジニア、UIUXデザイナー、ユーザーはその一例だ。広くみると部署のマネジメントや上層部、クライアントワークならコンサルやSIer、さらに広く見ればデジタル庁だってそうだ。それぞれが、別々な問いを立ててソフトウェアに向き合っている。例えば、

  • どう実装する?

  • 誰が使う?

  • どう稼ぐ?

  • 予算は?

  • 人材配置どうする?

  • 会社の戦略にマッチさせるには?

  • 世の潮流は?

  • 工数は?

…など、無限の問いがある。本を読めば、少なくとも筆者が向き合う問いが見える。このようにしてソフトウェアを捉える視野が広がり、いまだ未熟ながら、発言の幅も広がった。

このように、読書を通して、判断材料を得たり、コミュニケーションが円滑になったり、視野が広がったりした。これらをひっくるめて、本を読まなかった場合の自分と比べたら、思考様式のレベルで大きく変化しているだろうと感じる。

技術書とビジネス書などのバランスはどう取るべきか

エンジニアは技術を学んでナンボである。なので、ビジネス書等を読むのではなく、技術書やドキュメントの読み込みに注力すべきという人がいるかもしれない。
その意見があれば、半分賛同し、半分反論する。

その理由は、ビジネス書などから得られる学びは、技術書で得られるスキルとは全く性質が異なるからである。技術書から学べるのは、今よりも専門性を尖らせるためのスキルである。一方で、ビジネス書などから得られる学びは、視野を広げ、視野とキャリアを非連続的に押し上げる可能性があるという点が異なる。

なので、どちらも重要で、どちらかしか読まないのは、私は機会損失だと思う。

チェリーピッキングで読書する

読書を継続する方法

とはいえ、読書は敷居が高く、継続しにくいのではないか。
自分も昔そうだったのだが、なかなか続かない。

しかし、読書への向き合い方を変えた瞬間、たくさん読めるようになった。読書の敷居を上げているのは、分厚さである。
Twitterを読めている時点で、文章は読めるはず。なのに本を読めないのは、分厚すぎるからである。本は大抵読みきれない。それが失敗体験になり、読書が嫌いになる。

しかし、読み切らなければならないと誰が決めただろうか? 考えてみれば、飲み会でさえ数時間がちょうどいい。なのに、知らない人の話を何百ページ分も一方的に聞きたいとは思えない。だから、終電で居酒屋を切り上げるが如く、本を投げ出していい。そう思えば気が楽になる。
そしてそのうち読み切る本も出てくる。気づけば、読書の速度も上がり、読み切る本も増えてくる。気づいたら多読している。

私はそれで良いと思っている。
なぜなら、多くの人にとって読書の目的は知見の収集だからである。ならば重要なのは読み切ることではなく、自分にとって有益な知見をどれだけ集められるかだ。だから、途中で読むのをやめて、読みたい本に移っても全く問題ない。しかも、むしろ本を途中で変えれば、色んな人の考えに触れて価値観を広められるというメリットさえある

このマインドになれば読書が気楽になる。私はこう考えるようになってから、読書が好きになった。

【私の読書リスト】 1冊ごとに何を得たか

とはいえ、読書の良さは、読書から得られるものをお伝えすることでしか伝えられないと思う。
なので、私が1年半に読んだ本を、きっかけや学び、素敵な一文とともに全てリストアップしてみる。
ジャンルは独断と偏見によりつけていることをご了承いただきたい。

[2022/4〜2022/8] 研修期間

まずは研修時期に読んだ本から。
この頃は研修期間中でまだ配属先も決まっておらず、日々ITのスキルや会社の知識を詰め込んでいた。UIUXについて学んだり、美術館を巡るうちに、デザインにも興味を持った。
また、何をするにも考え方が重要だと思い、ロジカルシンキングを強化した。

1. 外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック

著:山口周 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

配属半年の発表でスライドを作ることになったため、どうせならスライドの作り方を学ぼうと考えて読んだ。

…情報を解釈し、勇気をもって示唆を出す、「自分はこう思う」ということを主張することが求められます。右か左か、態度を決める。つまり「ポジションを取る」ことが求められているのです。

山口周「外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック」東洋経済新報社

→事実を伝えることも重要だ。だがその先にある示唆を出すことが、独自性につながるという気づきを得た。ポジションを取るかっこよさを知った。

2. 変える技術、考える技術

著:高松智史 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

採用担当の方にいただいた。元々著者がYouTube好きだったため、嬉々として読んだ。

「イ」を「ム」に変えると世界が変わる

高松智史「変える技術、考える技術」実業之日本社

→ネタバレになるので言えないが、これを読んで入社したての緊張がほぐれた。新入社員におすすめ。

3. 「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術

著:高松智史 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

前述の「変える技術 考える技術」が面白かったので同じ著者の別な本を読んでみた。

セクシーなプロセスから出てきた答えはセクシー

高松智史「「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術」ソシム

→本質をついた鮮やかな思考から出てきた思考法が、まさにセクシー!だった。実務で使いこなせたらすごいと思う

4. SwiftUI対応 たった2日でマスターできる iPhoneアプリ開発集中講座 Xcode 14/iOS 16/Swift 5.7対応

著:藤 治仁 (著), 小林 加奈子 (著), 小林 由憲 (著) / ジャンル:ソフトウェア・技術

遊びでiPhoneアプリを作りたくなったから読んでみた。シンプルで分かりやすい。

5. デザイン入門教室 [特別講義]

著:坂本伸二 / ジャンル:デザイン・UIUX

東京に引っ越してきた際、デザインに囲まれて生活できることに感動し、興味を持って読んでみた。

レイアウトを考える際は、「何をどこにおくか」だけでなく、「どこに余白を作るか」という視点も大切です。

坂本伸二「デザイン入門教室 [特別講義]」SBクリエイティブ

→四隅のうちどこか一点は余白を残すと空間的に広がりができると説明が続く。世のデザインを観察すると、そうなっているものが多くて感動した。デザイナーが発見した普遍的な法則の一つなのだろう。

6. デザインのデザイン Special Edition

著:原研哉 / ジャンル:デザイン・UIUX

日比谷図書館で立ち読みした際に感動し、購入した。

白が白いのではない。白いと感じる感受性が白を生んでいる。だから白を探してはいけない。白いと感じる感じ方を探るのだ。

原研哉「デザインのデザイン Special Edition」岩波書店

→これを読んで感性とは何かについて一段階見え方が上がった。対象をロジカルに考えるだけでなく、自分の感じ方そのものを観察するという視点に惚れ惚れした。

7. なるほどデザイン

著:筒井 美希 / ジャンル:デザイン・UIUX

デザイナーの頭の中をより知りたいと思ったため。良書だった。[著:筒井 美希 出版社:エムディエヌコーポレーション]

8. 問題解決ラボ――「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術

著:佐藤オオキ / ジャンル:デザイン・UIUX

佐藤可士和展のVRを見てブランディングや企画に興味を持ち、同様のジャンルの本を書店で購入。

その課題を正直にそのまま受け入れないこと。そもそもなぜその課題に至ったのか、「事の発端」を共有することで、糸口が色々と見えてくるからです。

佐藤オオキ「問題解決ラボ――「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術」ダイヤモンド社

→課題がなぜ発生しているのか、大元を知ることで、多様な解決策が浮かんでくると解釈した。頭の柔らかさの根源ってここにあるのかなと思った。

9. ふつう

著:深澤直人 / ジャンル:デザイン・UIUX

デザイナーの本。表紙が布で綺麗だったので、手に取った。

グランドセイコー (…中略…) これは日本人の生きざまそのものであり、真面目にふつうに生きてきた証として与えられる日本のお父さんの勲章のようなものである。

深澤直人「ふつう」D&DEPARTMENT PROJECT

→グランドセイコーの腕時計に対する深い洞察だと思った。著者の感受性に共感してみて、派手さがないデザインから、日本の成長期を支えてきたお父さんをイメージしてみた。確かに。デザイナーの世界に対する澄んだ目は、気づきと癒しをくれる。

10.  一汁一菜でよいという提案

著:土井善晴 / ジャンル:生活

知り合いに自炊について相談したところ、薦められて読んだ。

食材に触れて料理すると、意識せずともその背後にある自然と直接的につながっていることになるのです。

土井善晴「一汁一菜でよいという提案」グラフィック社

→これを読んだ後に食材に触ると、東京にいるにもかかわらず、生産地の自然との繋がりを意識するようになった。素敵な言葉。

[2022/9〜2023/3] 配属後、最初のプロジェクトに取り組んだ

我流のプログラミングを捨て、ソフトウェアの常識を詰め込む期間だった。ほとんどの時間をプログラミングに費やすことで、Pythonでのスキルベースを構築した。
また、自然言語処理の基礎知識も構築した。
この頃に書いた記事はこちら

この時期は技術書が多めだった。タスクで使う技術をひたすらインプットしていた。

11. 深層学習 改訂第2版 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)

著:岡谷貴之 / ジャンル:ソフトウェア・技術

R&D部署に配属となり、機械学習をとりあえず理解しようと読んだ。

注意機構は、ニューラルネットワークの構造要素の一つです。深層学習の中枢をなす技術の1つに位置付けられます。

岡谷貴之「深層学習 改訂第2版 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)」講談社

→昨今のAI隆盛の原動力に「注意機構」のメカニズムがあると知った。初めて読んだときはシンプルな仕組みが世界を変えたことに感動した。

12. 機械学習エンジニアのためのTransformers

著:Lewis Tunstall (著), Leandro von Werra (著), Thomas Wolf (著), 中山 光樹 (翻訳) / ジャンル:ソフトウェア・技術

自然言語処理を活用するタスクが与えられた際に、右も左も分からず、とりあえず手に取った。綺麗なコードが勉強になる。
[Lewis Tunstall (著), Leandro von Werra (著), Thomas Wolf (著), 中山 光樹 (翻訳) / オライリージャパン]

13. プリンシプル オブ プログラミング 3年目までに身につけたい 一生役立つ101の原理原則

著:上田勲 / ジャンル:ソフトウェア・技術

先輩に、プログラムに対する接し方について相談したところ、こちらを薦められた。

モジュールが、クライアントが知る必要のない内部の詳細部分を隠蔽すれば、インターフェースが小さくなり、やりとりがシンプルになり、コード全体の複雑性を下げることができます。

上田勲「プリンシプル オブ プログラミング 3年目までに身につけたい 一生役立つ101の原理原則」‎秀和システム

→どういった思想に基づいてプログラムを組むべきなのかという思想が垣間見られた。他にも洞察深い記述がたくさんあった。

14. リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)

著:Dustin Boswell (著), Trevor Foucher (著), 須藤 功平 (解説), 角 征典 (翻訳) / ジャンル:ソフトウェア・技術

コードの書き方に困っていて、綺麗なコードを書いて生産性をあげたいと思って手に取った。

コメントにはコードに対する大切な考えを記録しなければいけない。

Dustin Boswell (著), Trevor Foucher (著), 須藤 功平 (解説), 角 征典 (翻訳)「リーダブルコード」オライリージャパン

→後々になってこの言葉の意図を理解した。ほんとうにそうだった。

15. 【新版】日本語の作文技術

著:本多勝一 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

自然言語処理(NLP)という分野に携わる中で、美しい文章とは何かが気になって、過去に読んだ本を読み返した。

長い修飾語は前に、短い修飾語は後に。

本多勝一「【新版】日本語の作文技術」朝日新聞出版

→読みやすい日本語に関する目から鱗の法則だった。この本は、日本語の暗黙知が言語化されていて本当にありがたい。NLPで指摘できるようにしようとしたが、全てがルールベースになりそうだったため一旦退散した。今だったら、GPT4でできるかも。

16.東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法

著:河野 玄斗 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

東大王の河野玄斗さんの学習法を習得して、知識のインプットを早めたいと思った。

「自分が今勉強している箇所」のみに目を向けるのではなく、「全体像」と「それが全体のなかでどういう位置付け」なのかを意識することで、勉強の効率は格段に上がります。

河野 玄斗「東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法」KADOKAWA

→学習の際、目次を頭の中に思い描いておくことの重要性を改めて知った。

17. ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書

著:河原 あず, 藤田 祐司 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

部署をPRする社内イベントでPRを担当した際に、まずはベストプラクティスを知ろうと思った。

「トラフィック(イベントページのアクセス数)」x「申込率」x「参加率」=「イベント参加人数」

河原 あず (著), 藤田 祐司 (著)「ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書」ダイヤモンド社

→イベントの集客では、この方程式の各項をアップせよと書かれていた。それを踏まえてトラフィックを上げるためにチラシ配りをすることにした。イベントの内容が良かったので、認知から集客に繋がった。

18. 転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール

著:村上臣 / ジャンル:キャリア

キャリアについて真面目に考えるため。終身雇用が終わって実力主義の社会になれば、自分の取るべきリスクの方向性が変わってくる。まずは知識をつけて手札を揃えたかった。

いざというときに救いの手が差し伸べられるかどうかは、自分がどれだけネットワークに貢献してきたかによって決まります。ですから、日常的にネットワークの中で情報提供をしたり、人を結びつけたりしておくことが重要です。

村上臣「転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール」SBクリエイティブ

→キャリアにおいても、まずは与えることで人と助け合って生きていけるという価値観に感銘を受けた。

19. 学生 島耕作

著:弘兼憲史 / ジャンル:漫画

校閲部署の同期におすすめされ、借りて読んだ。学生闘争の時代の青春物語。時代とともに人生が流れるようで、雰囲気を味わえる作品として好きだった。
[弘兼憲史 (著) / 講談社]

20. 地球の歩き方 D28 インド 2020-2021

著:地球の歩き方編集室 / ジャンル:旅行

インド旅行のおとも。後から読んだ。(行った場所のみ読んだ)

他の人が同じ物を自分より安く買ったからと言って、自分が「だまされた!」と思うのは正しくない。仮にそれが、10分の1の値段であっても、非難されるべき物ではないし、単に自分にものを見る目がなかったということだ。 

地球の歩き方編集室「地球の歩き方 D28 インド 2020-2021」学研プラス

→ インドで騙されて、相手が悪いと思っていたが、これを読んで自分に目がないのだと感じた。そもそも、資本主義とはそういうものだと気づいた。

[2023/4~] 二つ目のプロジェクトに参加。UIUXに携わった

4月からは、とあるソフトウェアのプロジェクトに加わった。フロントはゼロベースの大型アップデートの構想段階から入り、ユーザーインタビュー等を重ねながら、UIUXの方針などを考えている。その中で小さなリーダーも任せていただいている。
チームの動かし方やUIUXデザインについての知見をひたすら収集した。

21. freeeの事例に学ぶ、新規プロダクト開発の進め方

著:freee株式会社 / ジャンル:ソフトウェア・技術

ソフトウェア開発がどのように行われているか、広く知りたかったから。

昨今のソフトウェア開発において、アジャイル開発とEnd to Endテスト(以降、E2Eテストと呼びます)によるテストの自動化は切っても切れない関係になりつつあります。

freee株式会社「freeeの事例に学ぶ、新規プロダクト開発の進め方」翔泳社

→効率的な開発をするため、どういう形であれテスト文化を取り入れるべきと感じた。

22. 心理的安全性をつくる言葉55

著:原田将嗣 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

小さいチームのリーダーを始める際に、少なくとも心地いいチームを作りたいと思ったため。

X 何かいいアイディアない? →  ○ 〇〇さんからはどう見えているか、教えてもらえますか? 

原田将嗣「心理的安全性をつくる言葉55」飛鳥新社

→心地よいチームにするために使える言い換えの一つ。実際にこう投げかけてみると、自分の視点からは見えていないことを教えてくれて、全体として改善できる。言い方一つで、伝わり方が変わるものなんだなと気づいた。

23. イシューからはじめよ

著:安宅和人 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

チームが進むべき方向性を最初にうまく定めないと開発の工数を無駄にすると思い、コンサル対策以来、再び手に取った。

「今、本当に答えを出すべき問題であり、かつ答えを出せる問題=イシュー」は、僕らが問題だと思う対象全体の1%ほどにすぎない。

安宅 和人「イシューからはじめよ」英治出版

→取り組むべきことのうち、本質的に重要なことは僅かなので、それを見破る思考と行動様式が重要だと再確認した。イシューを第一に意識し続けるのは、本当〜〜〜に難しいが。

24. 論点思考

著:内田和成 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

会議で、論点をブラさないため

簡単にとけ、容易に実行でき、実行すると大きな効果が短時間で表れるのが「筋のよい」論点。

内田 和成「論点思考」東洋経済新報社

→時間の制約がある中でプロジェクトを完遂するには、常にいい論点を追求せねばと思った。主張は「イシューから始めよ」に似ている。

25. 〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略

著:ジョアン・マグレッタ (著), 櫻井祐子 (著), 櫻井 祐子 (翻訳) / ジャンル:ビジネス・社会スキル

ソフトウェア業界の競争に興味を持ち、まずは経営学の一般論から始めようと手に取ってみた。

すべての競合企業が「唯一最善の」方法で競争すれば、衝突コースをまっしぐらに進むことになる。

ジョアン・マグレッタ (著), 櫻井祐子 (著), 櫻井 祐子 (翻訳)「〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略」早川書房

→差別化しにくいフィールドで戦うと改善の競争になり、お互いが苦しくなることが言われている。エアライン業界、ホテル業界など、サービス以外の差別化が難しい業界では、起きやすい。真似されにくい独自性が重要と言っている。独自性を出せたとしても、「真似されにくい」ってのが難しいと思う。

26. 君に友達はいらない

著:瀧本哲史 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

社内報で好きな本を書く機会をいただいた際に、高校生ぶりに読み返した。

人と差別化できないコモディティになるな。

瀧本 哲史「君に友達はいらない」講談社

→高校で刺さった言葉だが、やはり刺さる。今書いてて思ったが、「マイケル・ポーターの競争戦略」で語られる、最良を目指す競争に参加するなという言葉に近そう。

27. コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル

著:メン獄 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

この人のTwitterが好きだったので、サイン会に参加して買った。

正確な見積もりと期待値調整で速さを”演出”する

メン獄「コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル」文藝春秋

→自分であらかじめ宣言した期限を守れば期限を守る人と認識されるので、守れる期限で進めるのが重要だと言っている。私自身、気合いでなんとかなると思って課した厳しい期限を守れないことが何度かあったことを思い出す。今書いてて、これじゃんとなっている。

28. コンサルが「最初の3年間」で学ぶこと

著:高松智史 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

入社して最初に読んだ、「変える技術 考える技術」の人の本。大学の友人が絶賛していたから買った。

議事メモ=「議論前に立てた論点ベース」で構造化

高松 智史「コンサルが「最初の3年間」で学ぶこと」ソシム

→論点が議論を進めるという視点に基づいて、議事録を取る際には論点をベースにすると機能的な文書にできると語っている(と理解した)。実践的ですぐ使える知見だと思った(できてるとは言ってない)。

29. 新 管理職1年目の教科書―外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール

著:櫻田毅 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

知り合いが、「管理職が何考えてるか知りたくない?」と言いながらページをめくっていたのを見て、ふと自分も気になって読んでみた。知り合いの好奇心に超仰天。

正しい権限移譲とは、裁量権と判断基準が同時に与えられるものでなければなりません。

櫻田毅「新 管理職1年目の教科書―外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール」東洋経済新報社

→人に任せる時は目的とゴールを明確にする必要があると知った。確かに教えるのが上手い先輩はゴールを教えてくれるから、作業する側としても迷わない。組織を俯瞰して見た際にも、「やっといて」では自立した組織になるわけじゃないんだな、と理解。

30. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

著:広木大地 / ジャンル:ビジネス・社会スキル

弊社CTOの本だからとパラパラとめくったのがきっかけ。効率的なチーム編成について考えるために必要な本だと感じて読み込んだ。(まだ第1章しか読めてない)

仕事の最初期に、不確実なものを確実に仕上げていくと、全体像が早い段階で見えてきます。それに対して、確実なものから仕上げていくと、全体像がなかなか見えず、最終工程でようやく完成形が見えるようになります。

広木 大地「エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング」技術評論社

→細部にこだわりすぎず、まずは全体像を作ることが重要だと気づいた。チームの中で、細部を作り込みすぎて全体の進みが遅いという課題があったので、グサリときた。細部はある程度任せて、話し合わない方向性に切り替えた。

31. 16歳からのライフ・シフト

著:リンダ・グラットン (著), アンドリュー・スコット (著), 宮田 純也 (監修), 未来の先生フォーラム (監修) / ジャンル:キャリア

未来予測系の本。自分の人生をどう持っていくか、大まかに考えるために買った。

自分の過去と未来をつなぐ一貫したストーリーをもっている人ほど、いくつものステージを移行することにともなうリスクが小さくなる。

リンダ・グラットン (著), アンドリュー・スコット (著), 宮田 純也 (監修), 未来の先生フォーラム (監修)「16歳からのライフ・シフト」東洋経済新報社

→人生100年時代と言われている現代で今の仕事を一生続けられる可能性はあまりないが、自分の核となるものがあればステージ移行がしやすいと語られている。逆説的だが、自分の核とは何かを知るために行動したいと思った。

32. 20代を無難に生きるな

著:永松茂久 / ジャンル:キャリア

上司に仕事の相談しに行こうとしたが、何を相談したいのか分からなくなり、整理のために読んでみることにした。

20代は多くの人に触れ、いろいろな在り方を学ぼう。

永松茂久「20代を無難に生きるな」きずな出版

→自分の生き方の目標は模範からくるから、いろんな人の生き方に触れることは大事そうだと感じた。これだ、だが、そんな抽象的な問いのために上司の時間を奪ってもいいのか..?と思いつつDMを送る。

33. センスは知識からはじまる

著:水野学 / ジャンル:デザイン・UIUX

社内イベントでの本紹介のために読み返した。大学の頃印象に残っていた本だ。

「センスのよさ」とは、数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力である。

水野学「センスは知識からはじまる」朝日新聞出版

→これを読んだ時、「センス」という漠然とした言葉に対する定義を得たと感じた。この本を読むと、センス、才能という手に届かなそうな事柄は、圧倒的な知識量からくることがわかる。

34. UIデザインの教科書[新版] マルチデバイス時代のインターフェース設計

著:原田秀司 / ジャンル:デザイン・UIUX

UIの基礎知識をチームに導入するため、勉強会で輪読した。

サービスを使うときに、ユーザーは指や腕を動かし様々なことを考えつつ、自分自身の目的を達成しようと試みます。ユーザーが受ける負担あるいは支払うエネルギーが、少なければ少ないほど、そのサービスは「使いやすい」と言えるでしょう。

原田 秀司「UIデザインの教科書[新版] マルチデバイス時代のインターフェース設計」翔泳社

→ユーザーが快適と感じるかどうかは、負担するエネルギーがいかに少ないかによると理解できた。良いUIの根底を説明する一つの言語化なのではと感じた。

35. THIS IS SERVICE DESIGN DOING サービスデザインの実践

著:マーク・スティックドーン (著), アダム・ローレンス (著), マーカス・ホーメス (著), ヤコブ・シュナイダー (著), & 他3名 / ジャンル:デザイン・UIUX

UIUXの考え方を知り、チームに活かすため勉強会で輪読した。

進めていくうえで、実装の文脈で機能しない可能性のあるコンセプトに時間と労力を無駄にしないように徹底を図るために、一方で価値、ルックアンドフィール、フィージビリティのプロトタイプを、もう一方でそれらを統合したプロトタイピングを繰り返す。

マーク・スティックドーン (著), アダム・ローレンス (著), マーカス・ホーメス (著), ヤコブ・シュナイダー (著), & 他3名「THIS IS SERVICE DESIGN DOING サービスデザインの実践」ビー・エヌ・エヌ新社

→開発とUIUXチームが協力すれば開発スピードが速くなることを示唆していると思う。これからも意識したい大事な観点。

36.オブジェクト指向UIデザイン 使いやすいソフトウェアの原理

著:ソシオメディア株式会社 (著), 上野 学 (著, 読み手), 藤井 幸多 (著) / ジャンル:デザイン・UIUX

一緒に仕事をしているUIデザイナーの方が読んでいたので、気になって読んでみた。

先に対象物を選んでからやることを選ぶ「名詞→動詞」式の操作はモードレス(モードがない)であり、そのことがオブジェクト指向UIの優位性の本質なのです。

ソシオメディア株式会社 (著), 上野 学 (著, 読み手), 藤井 幸多 (著)「オブジェクト指向UIデザイン 使いやすいソフトウェアの原理」技術評論社

→一見当たり前のことを意識するきっかけとなった。難しいが、コンビニの具体例がわかりやすい。コンビニでは、商品を選んでから購入を決める。もし仮に購入することを決めてから商品を選ぶ形式のコンビニがあったら、おかしい。UIでもこういうことを防ぎましょう、と言っている。オブジェクト指向UIの思想に基けば、前者の名詞(=商品)を先に選び、動詞(=購入する)を選ぶような画面設計が可能になる。

37. 漫画 君たちはどう生きるか

著:吉野源三郎 (著), 羽賀翔一 (著) / ジャンル:漫画

同名の映画を見て気になって読んだ。
(↓ネタバレしない引用)

君が生きていく上に必要な、いろいろなものをさぐってみると、みんな、そのために数知れないほどのたくさんの人が働いていたことがわかる。それでいながら、その人たちは、君から見ると、全く見ず知らずの人ばかりだ。

吉野源三郎 (著), 羽賀翔一 (著)「漫画 君たちはどう生きるか」マガジンハウス

→手にするものの奥にいる、知らない人々との繋がりを感じられる素敵な言葉だと感じた。「一汁一菜でよいという提案」で触れた一節は、食物から大地を想起できると語られていたが、それと近いと感じた。

エンジニアにとっても読書は最高である

読書の魅力が少しでも伝われば嬉しい

読書から得られるものをお伝えするためにまとめてみた。
私は一年半、エンジニアとして悩みながら、本から大事なことを吸収してきた。一見関係ない本でさえ、仕事に通じた学びとなって、繋がっている。

今までに、エンジニアが読書で得られるもの、多読のコツ、読書の魅力などを伝えてきた。この本を読んだ誰かが、読書にハマってくれると嬉しい。
そしていつか、みなさまと読書について語り合いたい。すでに本が好きな人とも、語りたい。

本とともにまだ見ぬ世界線へ行かないか?

本をたくさん読んだら将来どうなるんだろう。私自身楽しみだ。
本は人類の叡智へアクセスするための効率的なインターフェイスだ。人の行動は知識や経験で決まるから、人生に対する本の影響は大きいはずだ。
ともに本で未来を広げましょう。良い読書ライフを!

(メディア研究開発センター・松山莞太)