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チャンスを引き寄せる力は「脳番地」にあり! 1万人の脳を見た脳内科医が教える脳の仕組み

加藤俊徳『イラスト図解 脳ドクターが教える 脳とココロの引き寄せルール』(朝日新聞出版)
加藤俊徳『イラスト図解 脳ドクターが教える 脳とココロの引き寄せルール』(朝日新聞出版)

「ここで働き続けるのは厳しいかも」

 4月に入社した会社で、あるいは異動した部署で、そう感じている人は少なくないのではないか。大きな環境の変化から2カ月が過ぎた6月は、思考が後ろ向きになったり、やる気が出なくなったりしがちな時期だ。「自分はなぜ、ここに入ってしまったのか」と入社を後悔している人。異動先の職場で活躍するはずが、当てがはずれて空回りしている人。そんな時こそ、「引き寄せの法則」を思い出してほしい。

 どんな人も、「これは何かの力が働いて引き寄せられたとしか思えない」という体験が一度や二度はあるだろう。「引き寄せの法則」は簡単に言うと、ポジティブな思考はポジティブな体験を、ネガティブな思考はネガティブな体験を引き寄せるという考え方で、20年ほど前に世界中で大流行。以来、量子力学、心理学、スピリチュアルなどさまざまな文脈で語られてきた。

 これまでに1万人の脳を見てきたという脳内科医・医学博士の加藤俊徳さんは、脳科学の視点でこの「引き寄せの法則」について探究してきた結果、こう話す。

「引き寄せる力は脳にあって、その力は脳でもっと強くできると考えています。仕事、人生において、あらゆる場面で大切なのは自分の脳の引き寄せ力です」

 その理論は2022年6月に刊行した『イラスト図解 脳ドクターが教える 脳とココロの引き寄せルール』(朝日新聞出版)に詳しいが、ここでは、「引き寄せ脳」を作るために知っておかなければならない「脳番地」という考え方について解説したい。

「脳には、右脳と左脳に60ずつ、全部で120の脳番地があり、望みを決定する、チャンスを逃さないなど、引き寄せに必要な機能を持った各脳番地が連携して働いているんです」と加藤さん。

脳に存在する神経細胞は、似たような働きをするもの同士で集団を作っていると加藤さんは言う。脳のどの場所にどのような働きの細胞集団があるのか、地図を模して示したのが、上図の「脳番地」だ(図版 『イラスト図解 脳ドクターが教える 脳とココロの引き寄せルール』から)

 120の脳番地はその機能系統によって、「思考系」「感情系」「伝達系」「理解系」「運動系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」の8つにまとめることができる。脳の神経細胞は複数の脳番地をつないでネットワークを形成し連携して働くため、そのネットワークが緊密であればあるほど脳のパフォーマンスがよくなり、結果として引き寄せ力が強くなるという。

 8つの脳番地それぞれの機能と、その脳番地が強い人に向いている職業は以下のようなものだ。

■思考系脳番地
 物事を考え、判断し、創造するといった高度な機能をつかさどっている。集中力、決断力、行動力のほか、自制心、意志の強さといった精神的な要素にも深くかかわっている/プログラマー、小説家、イベント企画、人事担当など

■感情系脳番地
 快・不快、好き・嫌いという情緒をつかさどる部位。長期にわたってゆっくりと成長していくのが特徴/保育士、介護職、看護師、俳優・演出家など

■伝達系脳番地
 発信する=誰かに何かを伝えるのが仕事。話し上手といわれる人は左脳の伝達系脳番地が発達しており、出来事や思考の言語化に優れている/接客業、手話通訳、記者、営業職など

■理解系脳番地
 理解系脳番地が発達している人は、言葉の裏に隠れた意図をくみ取る力、物事の背景を見抜いて先を読む能力が優れている/弁護士、エンジニア、栄養士、公認会計士など

■運動系脳番地
 実際に体を動かす行動力をつかさどっている。行動の指令を出す運動系脳番地が弱いと、筋肉は指示待ち状態になるので、動きだすのが遅くなる/調理師、農業、プロスポーツ選手、家事代行業など

■聴覚系脳番地
 耳のすぐそばの側頭葉にあり、耳から入ってくる情報を扱っている。情報のインプットに重要な役割を果たす脳番地/通訳、医師、カウンセラー、受け付け業務など

■視覚系脳番地
 目に映った情報を視神経を通じて受け取り、処理するところ。感情系脳番地と連動して喜怒哀楽を刺激する/デザイナー、気象予報士、美容師、YouTuberなど

■記憶系脳番地
 喜びや恐怖など過去に知覚した「感情の記憶」と、「読んだ」「聞いた」などの情報を覚えておく「知識の記憶」が入っている/教師、銀行員、ソムリエ、税理士、公務員など

 脳のしくみを理解し、日々脳番地トレーニングを実践すれば、脳の「引き寄せ力」は確実にアップする、と加藤さんは言う。

加藤俊徳(かとう・としのり)/脳内科医、医学博士。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。加藤プラチナクリニックを開設し、独自開発した加藤式脳画像診断法(MRI脳相診断)を用いて、小児から高齢者まで1万人以上を診断・治療している(写真/本人提供)

「年齢を重ねて神経細胞の数が減っていても大丈夫。脳番地同士のつながりはトレーニングで強化することができるので、いつ始めても遅すぎることはありません」

(構成:生活・文化編集部 端香里/タイトル写真:植田真紗美)


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