岡本太郎の母・かの子が詠んだ「多摩川」 歌と訣別してもなおその根底には歌が
人間は「どこか」で生まれ、「どこか」に居ながら生きていくもので、土地や場所との結びつきを抜きにして過ごすことはない、と言ってもいいでしょう。その場に居ながらにして世界中とのやり取りが可能な時代に生きる私たちは、しばしばそのことを忘れそうになりますが、この身が「どこか」にあることに変わりはありません。『万葉集』の時代から、歌に地名がさまざまに詠み込まれてきたのは、根源的なことなのです。
歌に詠まれた名所は「歌枕」と呼ばれ、時代を超えて歌い継がれていきます。
歌枕は、都