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つながる短歌

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千年を経て愛される和歌と近現代の短歌。二首を比較しながら人々の変わらない心持ちや慣習に思いをはせ、三十一文字に詰まった小さくて大きな世界を鑑賞する『つながる短歌100 人々が心を… もっと読む
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#石川啄木

石川啄木の「はたらけど」誕生の背景と「ぢつと手を見る」の妙味

 5番目の勅撰集『金葉集』は、白河上皇の命により、1120年代に成立しました。「憂かりける」の歌人・源俊頼がその撰者。和歌に新風を吹き込んだとされていますが、上皇からのダメ出しが何度かあっての完成で、ニューウェーブとはそんなに簡単なものではないようです。 『後拾遺集』までは『古今集』の圧倒的な影響下にあり、いわば地続きでした。しかし、『金葉集』が編纂されたのは50年ほどのブランクののち。院政期がいよいよ最盛期に入る時期と重なる、12世紀のまさにポスト王朝時代なのです。歌集に