マガジンのカバー画像

つながる短歌

11
千年を経て愛される和歌と近現代の短歌。二首を比較しながら人々の変わらない心持ちや慣習に思いをはせ、三十一文字に詰まった小さくて大きな世界を鑑賞する『つながる短歌100 人々が心を… もっと読む
運営しているクリエイター

#与謝野晶子

与謝野晶子の真骨頂 「金色のちひさき鳥」で表現する“秋の発見”

 歌の世界では、季節を表す新しい風物は、誰かに見いだされて詠まれ、それに伴って言葉もまた磨かれていきます。 「夕されば」の歌の「門田の稲葉」「蘆のまろ屋」には、“田園の発見”と言ってもいいような新しい感覚が込められています。源経信が、京の西、梅津の里にあった源師賢の山荘を歌人たちと訪れたときに「田家秋風」という題で詠みました。 「夕されば」は、夕方になると、という意味です。秋の夕べがやってくるのを、歌人は感覚を鋭くして待っているようです。  家の門の近くに田んぼがあって