「駆け引きを楽しめるシンプルな格闘ゲーム」は、本当に初心者向けなのか

ダイブキック(操作はジャンプとキックのみ。キックが1発当たるだけで死ぬ)の新作みたいなやつをきっかけに、初心者向け格闘ゲーム(以下、格ゲー)とは、といった話題がTwitterで盛り上がっていたので自分の考えを書きました。

先に結論から言うと、初心者に必要なのはシンプルで分かりやすい格ゲーよりも、同じ腕前からスタートして一緒に上達していける友達です。

決まって言われるのが、コンボなどの難しい要素を排除して、初心者でも格ゲーの駆け引きを楽しめるようにしたというやつ。同じ1発で死ぬゲームなら死ぬまで殴れるAC北斗の拳の方がコンボミスや場外戦の駆け引きがある分だけ面白いぞ。大声で煽ったり相手のブーストボタンを押して邪魔をしよう。

たしかに「打撃」「ガード」「投げ」の三すくみ要素や、「打撃」「間合い」があれば少なくとも「格ゲーのような何か」にはなるだろうけど、今時イーアルカンフーをやらされるみたいで厳しくないですか?世の中はもう令和なのに。カードゲーム初心者にSDガンダムアイスのカード渡して楽しめますか?

初心者が格ゲーを始める動機を考えるに「カッコいいキャラを動かしたいぜ」「派手な技を見たいぜ」「すごいコンボを出したいぜ」くらいの表面的な事がまず目的になるのではなかろうか。サッカー始めたらドライブシュート練習するみたいな。対戦ゲームの動機も加えると「完膚なきまでに相手を叩きのめしたいぜ」「初狩り(初心者狩り)したいぜ」「分からん殺ししたいぜ」「俺の反射神経を見せつけてやるぜ」とか。まとめると要は気持ち良くなりたい。

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ウメハラ FIGHTING GAMERS!のオゴウさん。人は何故格ゲーに夢中になるのかが分かる名作。西出ケンゴロー先生の描く女の子がエロい。

「格ゲーの駆け引きを楽しみたいぜ」っていうのは玄人好みというか、駆け引きはまあ、気持ち良く勝つために覚えることであって、それだけをゲームの目的にされても…と思う。作った人は自然の味を生かした料理って言ってるけどそれ生肉じゃんっていうか。周りは煮たり焼いたり調味料使ったり見た目に拘ったりして美味しく食べてもらえるように努力しているのに、かたや生肉。

「カッコいいキャラ」「コマンド技を出せた方が有利」「ボタンをいっぱい押してコンボが繋がる」「小足見てから昇竜余裕」「名前の覚えられない厨二病システム」「パイオツが揺れたりパンツが見える」など格ゲーの培ってきた物を知っている21世紀の人類に、原子時代の生肉おいしいですよって言うのはなかなかキツいですよ。プリミティブなルールだけ提供して残りは不要って捨てるの、ゲーム開発者が罹る悪い病気だと思う。

だから今から格ゲーを始めたいと思っている人には生肉よりも、素直に流行りの格ゲーを遊んできちんと料理された魅力を味わってもらいたいです。もちろん自分が気に入ったゲームがあればそれを遊ぶのが1番良い。

で、冒頭に書いた通り友達を巻き込んで欲しい。そしてできるならネット対戦よりも家やゲーセンで顔を突き合わせて遊んで欲しいです。

友達と一緒に始めれば上級者にボコられ続ける苦行もないし、負けた友達が悔しがって発狂する様を見るのは……すごく気持ちが良いからね!

範馬勇次郎も「闘いはSEX以上のコミュニケーションだ」って言ってます。やろう、SEX以上のコミュニケーション。

対戦ゲーム、特に格闘ゲームの初心者の扱いについては頻繁に挙がる話題ですが、Apex Legendsが人気な一方でFall Guysのようなカジュアルゲームも当たっているこの頃を見るに、ゲームの複雑さや駆け引きなどは瑣末なことで、みんな流行っているゲームで気持ち良く勝ちたいだけなのだな、と思います。ごちゃごちゃ書いたけどそういうことなのかもしれません。

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