見出し画像

カナヅチが夢見る水中世界

こんにちは。朝霧です。
ふと思ったことを。
サクッと読めるよういつもより短く書いていきたいです。


カナヅチの記録


これを読んでいるあなたは泳げるだろうか。
私は泳げない。
どれぐらいのレベルかというと、まず水に潜れない。
あれは小学一年生の時。初めての水泳の授業。
さっそく水の中に潜ってみようと言われ、他の子たちと違って私はできなかった。怖くて。
それによって完全に機会を逃してしまった。
それ以降、水に潜るという行為が怖くて仕方なくなってしまった。
以来、高校卒業まで約12年間、プールの端の方でなんかぱちゃぱちゃやってる人として参加した。
もはや最後の方はカナヅチとしての意地を通した感すらある。

泳げないからこそ

昔はただ恐れているだけだったが、今は水の中の世界に少し憧れもある。
泳げない私でも、水面で揺れる光や水底に透かし見る影が漂う様子はとても綺麗だなと思っていた。
その中に潜って光や影と自由に踊れたらきっと気持ちいいだろう。
水中では体もいつもより軽く、音も届きにくい。
ちょっとした異世界のようだ。
そういえば、私は水中の無音さが特に怖かった。
何度か頑張って潜ってみた後、耳の中に水が残って音が聞こえづらくなった時は、ずっとこのままじゃないか…と怖くなってやっぱりダメになった。
今思うと異世界に呑み込まれそうで怖かった、のかもしれない。
世界は一つではなく、少し視点を変えるといくつも他の世界が見えてくる。
日常だと、例えば猫の世界とか。猫が見ている世界は人間にとっては想像しかできない異世界である。虫の世界とか鳥の世界なんかもある。
水は生命に欠かせないものであり、地球上全ての命の源でもある。
最も身近にある異世界だからこそ、恐れと同時に憧れを抱かずにいられない。

そんなことを考えながらバスタブの底のゆらゆら揺れる影を眺める冬の夜だ。
水中で遊ぶのを楽しむ時期はまだ少し先。


余談

泳げない人をカナヅチに例えるのって、金槌が水にすぐ沈んでしまう様子からだったと思う。
でも私の場合はそもそも沈むことすらできないのだが………何か他に良い形容はないものだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?