窓辺飛行

丘の上の産毛がさやさやと泳いでいるのを見て風が吹いていることを知った
私は小さな虫で
紙飛行機に乗って旅をする

簡単な紙飛行機は
スイスイと空気を割って進み
何を見ようかと手帳から顔を上げる

彼女の掌の中
瞬く火花の言葉や
朝露の中で
丸まって回る虹の目つき
蝶の舌に残る
淡い紫陽花色したジュース
ヤカンから出る湯気を
優しく形取る光

まばたきをしたすきに
消えてしまう美しさは
小さく
儚く
しかし宇宙全体にあふれていて
いつでもそれに気がつくと
とんでもない所に来てしまったと思うのです

ここはまるで
夢に見た
くす玉の中ではないかと思うのです

コーヒーをいれましょう
それから
もう一度
手帳を開きます

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