とある詩人のTさんへ

すごく怖い人です、あなたは。
けれど、とても好きでちまちまツイートを眺めては偏食気味な信仰を強めていくばかりです。私はそう思っていますが、あなたは「なんで私はこんな人に好かれてるの」と思っているんじゃないかなと考えています。もしくは、私の存在をとっくに忘れてしまったかもしれない。でも、ツイートから溢れる教養とか、サブカルに喧嘩売ってそうな姿勢とか、純粋な美しさには容易く傾倒してしまっていることとか、聡明な女の子が好きなこととか、喫茶店で簡単に好きを語っちゃうこととか、それから、大学生の苦しさを煮詰めて文学へ落とし込もうとするその眼差しとか、それら全てにやんわり溶け込んだ少女性とかが好きです。あなたの詩が好きです。あなたの言葉が好きです。あなたの、自分自身にしか向けられていない鬱くしい切っ先が、月光に照らされて綺麗です。私には向けられていない、後生向けられることのないであろうそれだけが全てです。あなたはそれを喉元に押し当てて、じんわり滲んでくる鮮血まで象って、まるでそこから漏れ出るような言葉が、私を揺さぶってしまって仕方ないのです。さながらドストエフスキーの小説を20ページ程、無造作に破ってライターで燃やしてしまった後の、あの、称号を獲得したみたいな、あの感じ。バイトなんかしなくていいのに、別れてしまった男の子のことなんか考えなくていいのに、将来なんか思い描かなくてもいいのに。学生時代のパパ活の思い出さえ美しく語ってしまえるあなたに赦されないことなんてない、神だってひと撫でで殺してしまえると思うんです、私は。あ、また結末が見えなくなった。書き始めた時は見えてたはずなんですけど。でも、こうやってあなたがこれを読んでくださることに意味があって「ふーん、そうなんだ」と言わずとも思ってくださるだけで、私は今繋がれていく言葉が頭から今の文字まで導通して光っています。これはあなたへの言葉ですが、私への言葉でもあるんです。私は今、醒めない陶酔状態で、いかんせん無敵を振り翳しています。だから、優しい言葉を忘れてしまった。その度にあなたの言葉を思い出そうとするんです。あなたがいつかの夜「私が一番私に疲れてるんですよ。そろそろ正気に戻りたい」と結びで綴った言葉。その言葉、まるごと、永遠に抱きしめていてもいいですか。今日は月が大きいです。きらめきの意味が違うみたいな大きさなんです。これを書き終えましたから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?