公務員の副業(農業)

 公務員(北海道の消防士)が許可なく農作業アルバイトで副業をして処分されたという記事。北海道は農業が盛んだが人手不足であり、公務員にも戦力になって欲しいが、公務員の副業禁止規定が足かせになっている。公務員が副業として農業を行うためにはどうしたらよかったのか。

 副業の処分対象になった理由は、許可なく行ったことと、妥当か分からない利益を得たことだろう。

>副業の許可

 「地方公務員は、地方公務員法で任命権者(市長など)の許可を得なければ副業が禁止されている。」(記事より)。この規定が当職員の職場にも当てはまるかは不明確だが、許可を得れば公務員も副業ができるともいえる。

 なぜ許可制なのかを考えるために、職員の副業によるリスクにはどのようなものがあるのかを考える。

 まず、公務員の信用を傷つけるリスクがある。本業に関係する企業で副業として働くことは信用を失う可能性がある。つまり、副業している企業を身贔屓するのではないかといった、公平性が担保できるかを疑われかねない。公益性がある企業であることが望ましいだろう。

 また、職員本人の本業に対する影響として、副業が公務の時間に重ならないかといった時間的な問題がある。さらに、本来休みに充てる時間を副業に充てているので体力的な問題がある。今回の記事のような消防士の方であれば、休日に体力を回復するどころか副業で疲労を溜め本業に支障をきたすことがあり得る。

 これらのリスクを回避するためにも許可をもらう必要がある。

>利益を得るということ

 国家公務員の規定ではあるが兼業について記載している。https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/kengyou_gaiyou.pdf

 もし、利益を得ずに農業をしていたのなら処分はされなかったと考えられる。そうであっても、それは双方にとって良い解決方法にはならない。やりがいという意味では解決方法にはなりえる。

 副業で得られる利益が社会通念上適当といえる額か否か、が判断の一つになり得そうだ。本来であれば、副業の許可を取るときにこのあたりの判断をされることになるのだろう。その点、今回の記事で言えば1万円程度/日は妥当だと言えそうだ。

 事前に許可を取り、妥当な金額で週1程度の副業であれば既存の規定からも許容範囲であり、農業の副業はできるのではないか。

>農業の副業

 一般の副業とは違い、農業を副業にすることは違った観点が必要である。農業は公共性の高い業界だ。農業は地場産業であり、農業の盛んな地域は大抵人口の流出が多く人手不足な地域だ。農業が立ち行かなくなることは食糧安全保障にも関わってくる。

 各自治体が何の政策も行っていないとは思えないが、公務員の法律、規定をそのまま当てはめるのではなく、柔軟な運用を行えたら良い。副業を行う側はこそこそ行うのではなく、必要な手順を踏むべきだ。

 


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