かあさんさびしいなあ #スナック麻子
スナック麻子へようこそ。
今日も暑い一日でしたね、皆さまいかがお過ごしでしょうか。珍しく山田家(麻子ママ一家、夫と中学三年生の娘で構成)はメンバーが自宅にそろい、家族ラブな夫があからさまにご機嫌になる。
夕方、近所の焼き肉屋に行こうよと。ちょっと遅れたけれどお誕生日お祝いにおごってあげると言われ娘と二人でいそいそと身支度を。夏の夕暮れ、三人で歩く並木道で娘の小さかったころの話に花が咲く。
彼女は一人っ子なのでとにかくわたしたち夫婦は競って抱っこし、手をつないで過ごした。スーパーでなにか買ってほしいと頼まれても「ダメだよ」というと素直にうなずいてさっさと別の棚に向かうような子どもだった。
いつも目の届くところでにこにこしていたから迷子になったこともないね、とそんな他愛もないはなしをしていたら店についた。わたしが出産したのもこの街だったし、娘がうまれてはじめての家族の外食もこの焼き肉屋だった。たしかまだ生後1か月だったはず。ヒッピーみたいなご夫婦と大型犬、たくさんのアルバイトで切り盛りされている地元の人気店で、ここのカルビとタン塩で娘は大きくなった。
行くたびに娘の成長に目を細め、お会計のあとは必ずそとまで見送ってくれる家族ぐるみのお付き合い。帰り道、夫は娘にお願いしてふたり(夫と娘)の写真を携帯で撮らせてもらっていた。思春期の娘が恥ずかしがるのを拝み倒し、大事そうに画像を何度もみながら保存していた。SNSにはあげず、大切にするのだそう。娘のInstagramに画像がアップされるたびに、私たち夫婦は先を争うように「イイね!」のハートマークをおしている。
家族というのは不思議なもので。
いつでもここにいると思っているけれど、いつかは離れていく。
わたしたち三人がずっとこのままでいられたら幸せだろうなとおもうけれど、自分がそうだったようにいつか子どもは旅立っていく。迷子に一度だってなったこともないくせに、きっと朗らかに世界に飛び出していく日がくる。
抱っこ、抱っことせがんでいた小さな女の子だったのにね。
かあさんさびしいなあ。
今年の夏がずっと続けばいいのに。
かしこ。
トリスと金麦と一人娘(2023 春から大学生になり、巣立ちます)をこよなく愛する48歳。ぜひどこかで一緒に飲みたいですね。