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[創作]アメリアの4

 パーティをなんとか抜け出したシャーリーは、屋敷に入ると散歩することにした。先程までシャーリーを着飾ってくれていたメイド達はそれぞれの仕事に戻っている。シャーリーを見ると挨拶をしてくれるのでそのまま挨拶をして歩いていた。
 そして、道に迷う。それでも何となくこちらかなと思う方に歩みを進めると、扉をようやく見つけることができた。廊下が長すぎなのが問題な気もするが、気にしてはダメだとシャーリーは言い聞かせる。
 この区画は特に人がいるわけではない。倉庫かなにかで鍵が閉まっていたら諦めて散歩という名の迷子でさまよっているところを最初にあったメイドに部屋につれていってもらおうと思った。

 扉は重そうだが恐る恐るドアノブに触れると特に力もいれずに回すことができた。シャーリーは人がいますようにと思いながら部屋へと入っていった。歩みを進めると、扉が自動で閉まる。がちゃり、鍵が閉まる音もした。もしかして閉じ込められた!?しかし、ドアノブに触れると特に鍵が閉まっているような感じはなく、扉は普通に開いた。気のせいだったようだ。
 部屋は豪華な調度品で飾られて、どこか歴史的なお城の一室を思い起こさせた。でも、窓がないから薄暗くて少し怖い。ゆっくり歩みを進めると、奥右手にもう一つ扉を見つける。シャーリーは今度こそ人がいますようにと願いながら扉を開けた。
 なかに人が眠っている。そこだけは電気がついていなくてもその容姿が女性であるものがわかった。肌は白く、頬が薄いピンク色に染まっている。近づいて顔を覗くと、くちびるもバラのつぼみを思い出させるほどにみずみずしさがあった。そして、寝ているからうねりがあるように見えるけれどストレートパーマをかけたようにまっすぐな金髪は手に取るとさらさらと砂のように手からこぼれる。
 そして、次の瞬間シャーリーに訪れたのは右手首の衝撃だった。そしてすぐ襲いかかる締め付けられた痛み。
 シャーリーは慌てて左手で右手首の衝撃の原因を探る。その先に見えるのは眠っているはずの女性から延びている手であった。次第に強められる力に自分の右手首の骨が握りつぶされるまで止まることはないのだと悟った。
 それならばとシャーリーは女性が寝ているベッドに飛び乗って女性にしがみつく。女性は経験したことがなかったのか、眠っているはずの瞼がばちっと開いた。

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