ささ

文を書き散らします。 フリー台本としてもどうぞ。 一部抜粋でも可です。 使用するにはさ…

ささ

文を書き散らします。 フリー台本としてもどうぞ。 一部抜粋でも可です。 使用するにはささ作と明記をお願いします。 報告は任意です。 ハッシュタグでフリー台本となっていないものは演者様への書き下ろしですので使用は御遠慮しております。

マガジン

  • 雪下の契り

    雪の降る中、契りを交わして。

  • 鈴の音、深い声

    この声にとらわれる

  • yomaigoto

    忘れもしない色はあなたにもありますでしょうか?

  • dream in the box

    思考は夢か、

最近の記事

ニアリーイコール/台本版

U.ちゃんとkirinくんへ ○ 「今更そんなこと言わないで……! 私はあなたから見たらその他大勢なのかもしれない。でも、ちゃんとひとつの数字なの。……私を、見て」 ● 「俺たちは似すぎている。俺は君を見ていると、俺自身を見ているかのように思えるんだ……。だから……」 ○ 「あなたと出会ったのは間違いだった」 ● 「君と出会ったのは間違いなんかじゃない」 ○ 「それでも……好きだった」 ● 「少しでも思っていたかった」 ○ 「……ニアリーイコール」 ーーーーー

    • ニアリーイコール

       今更そんなこと言わないでよ……私はあなたから見たらその他大勢かもしれない。でも、ちゃんと立派な一つの数字なの。……私を見てよ。    あなたと出会ったのは間違いだった。それでも、私はあなたに惹かれたの。    高校一年生、元から理系が苦手だった私は高校数学でつまづいた。真面目に勉強していたつもりだった。なのに、なんにもわかっていなかったらしく、返ってきたテストは赤点。成績は優秀なほうではないけれど、勉強をするほうではある私にとってははじめての経験だった。  私は、数学の先生

      • 夢廃人/KYOⅡさんへ

         俺は夢を見ていた。君と溶け合って、ひとつになる夢。耐えがたいほどの幸福に酔いしれ、起きた後にも余韻が続いていた。一生こんな気持ちが続けばいいのに。 そう思ったことが間違いだった。  俺は絶望していた。何もかもが嫌になり、惰性で生活をする毎日。一日一日が空虚で、嫌気がさして、ほんのりとした希死念慮に囚われていた。もうどうでもいい。この世界のすべてがどうでもいい。ただ俺にはひとつだけ希望があった。思いを寄せてはならない君の存在。君がいるからまだ俺は生きている。底辺を這いずるよ

        • 僕のあいした/㍕さんへ

           僕は草原の上に寝転んだ。たおやかな土の感じ。冷たいけれど、それがまた生きていることを感じさせてとてもこころがぬくくなる。  僕には何もなかった。お金も、定職も、友だちも、恋人も、薬も、お酒もない。なんにもなくなってしまったから、居場所すらない気がしたから、河川敷の近くの草むらに寝転んでみた。  午後十時。本当なら、ほとんどの人が帰宅し、家族と夕食をとり、入浴や就寝をし始めているんだろうけど。僕は違った。僕は寝れない。寝れないから起きれもしない。朝と夜なんて混ざってしまってわ

        ニアリーイコール/台本版

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        • 雪下の契り
          3本
        • 鈴の音、深い声
          4本
        • yomaigoto
          8本
        • dream in the box
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        記事

          イケオジとは/MADOさんへ

          「直人ってかわいいよね」  ……俺は、か!わ!い!く!な!い!の!    昔の彼女から言われた一言が今でも忘れられない。いや、絶対に忘れるものか。昔から、姉の影響で女の子の漫画や服、雑貨が好きだった俺。一人称も僕で弱々しくて女みたいだった俺。そんな自分から卒業するためにめちゃくちゃな努力してきた。細い身体は週5で鍛えて、無理矢理煙草を吸って肺を汚して、飲めなかった酒も浴びるように飲んでいたら強くなって、手にはいかついシルバーのリング。ユニセックスの香水を纏って、シーシャやライ

          イケオジとは/MADOさんへ

          レモンです/ひつじさんへ

           レモンには休日がない。だって毎日生きているから。生きるのに休みなんてないのだ。ああ、この事実が夢ならばどれほど良かったでしょう……。いまだにあなたの夢は見ないけれど、最近レモンは嫌な予感がしていた。それは、もうすぐ収穫されると言うことだ。  まるまると成長した他のレモンは人の手により、収穫され始めている。レモンは成長はしているが、傷が入っている。昔、虫に齧られたのだ。だから大丈夫……なはずだった。  案の定、あっさりと収穫されてしまった。レモンは、俺を食べてもいいことないぞ

          レモンです/ひつじさんへ

          竹とんぼタイムマシーンと赤い糸/透明トローチさんへ

          「あーあ、彼女できないかな……」  僕はそんなことを思いながら、土曜日の朝、二度寝をしようとした。でも、母さんがたまに僕の部屋を覗きにきて、二度寝してんじゃないわよなんて言い出すので僕は机の椅子に座りながら頭を伏せることにした。そして、目を瞑る。  妄想の中では僕はなんでもできる。僕は半分寝ている頭で、妄想の世界に飛び込んだ。まずやること、竹とんぼを出して、頭につける。そうすると僕は過去でも未来でも、はたまたパラレルワールドでも行くことができるのだ。さながら、竹とんぼタイムマ

          竹とんぼタイムマシーンと赤い糸/透明トローチさんへ

          一緒に食べよう/音人さんへ

           コンクリートとコンクリートの狭間で、すがすがしい青空が広がっている。電線に鳥たちがとまってなにかを話している。  そんな中、私は地面に寝っ転がり、どうでもいい気分を味わっていた。少しだけはえている草が、制服をくすぐってちょっと痛い。ああ、今頃好きなんだか嫌いなんだかわからない数学の時間か。私は、人生ではじめてのずる休みをしていた。  なんで休んでいるかなんて本当は考えたくない。でも、勝手に脳が考えてしまう。本当はぼーっとしたい。でも、できない。反芻、反芻、反芻。ずっと、言わ

          一緒に食べよう/音人さんへ

          君と土手と邦ロック

           私は上着を体にまきつけながら一級河川の土手を歩いていた。もう、風は冷たく頬が凍りそうだ。感覚がなくなっている指先にかろうじてコンビニに残っていた缶チューハイ一本。ここは田舎だから、目新しいおいしそうな若者向けのお酒はなくて、それがまた少し悔しい。私は、座れそうなお目当ての場所につくと脱力したようにどさっと座った。  体が重い。自由に動かせない。足から切迫感がこみあげてきて、ふらふらする。頭が自然と項垂れる。  私は、上着のポケットに入っていたスマホからずるりと有線のイヤホン

          君と土手と邦ロック

          僕のことを忘れても

          「僕のことを忘れても」  えっ……と困惑しながら私は彼を見た。彼は明るい口調でこう続けた。 「僕の作品は残るから」  だから忘れられてもいいの?  そんなことないよ、私はあくまでにこやかな彼の表情に固まりながら必死に彼の空いている手を取った。  一年前のことだった。元彼とどうにもうまくいかなくなって別れた。なにもかもいやになって元彼との同棲していた地元を離れ、ひとり関東にやってきた。知らない土地。知らない綺麗な日本語。わからないことばかり。  そんなとき、たまたまネットで仲

          僕のことを忘れても

          ダンスのお相手

           夢を見ていた。  起きたとき、私は久しぶりにあったかい気持ちで胸が熱く頬の上気が感じられた。......手も温かい。  夏のことである。その夏は、持病があり、床に伏していた。親から行かせてもらっている大学も留年間近で、圧縮袋の中に入ったような気持ちでいた。長い時間をまどろみの中で過ごす。生きているか死んでいるかわからないような泥濘の時間。私には地獄だった。しかし、唯一眠っているときは夢の中で体を動かせられ自由にできるのだった。  ーーーーそれを明晰夢だというのはあとから知る

          ダンスのお相手

          甘いたこやき

           とある中学校の調理実習でのことです。たこ焼き器でホットケーキミックスを使い、甘いたこやきを作ろうという課題が出されました。生徒たちは自作のエプロンをつけ、賑やかにたこやき器を囲っています。  卵と牛乳、ホットケーキミックスをボウルに加え、かき混ぜます。具材はチョコレートやチーズを用意しました。とろとろになったホットケーキミックスを油を敷いたたこやき器に流し込みます。みんな、息を飲んでたこやき器をのぞいています。竹串が甘いたこやきを待っています。  ……するとどうでしょう。

          甘いたこやき

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          フリー台本まとめ6

          フリー台本まとめ6

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          月とくらげ

          ※BL声劇台本『真夜中すいぞくかん』に提出 ⚪︎(僕は君に焦がれていた。似ているようで似ていない月とくらげ。僕には君が届かない。海にいるくらげが月に触れられないように僕には君が触れられない。でも、どうしても近づきたくなってしまうんだ) ⚫︎「月と」 ⚪︎「くらげ」 ⚫︎(俺たちは大学のサークル仲間と水族館に来ていた。俺はふわふわしているおまえが心配で仕方なかった。手のかかるやつ。でもどこか魅力的で離れられない。いや、離れたくないし、離れるつもりもない) ⚫︎「おい、ど

          月とくらげ

          はなればなれになる前に

           はなればなれになる前に。  あなたに伝えたいことがあるの。  それはなんてことないことだけれど、とても私にとっては大切なこと。  まずね、あなたのことがすきなの。  ……知ってるって? そうだよね。  いつも言いすぎて、嘘なんじゃないかと思うくらいだものね。でも、伝えられるときはやっぱり少ないから、どうしても少ないから、すきだなあと思ったときはすぐに伝えるようにしているの。あなたがわかってないだけであなたの魅了はたくさんあるのよ。だから、ひとつひとつすきって言ってるの。あ

          はなればなれになる前に

          沢子猫

          「沢子、沢子は今日もかわいいねぇ」  おばあさんは深い笑い皺を寄せながらいろんな色が交じった猫を撫でます。猫はまんざらでもなさそうに、おばあさんの膝の上でのんびりとくつろいでいます。  今日はそんな一人と一匹のお話です。  さわこ、と呼ばれた猫はもともと野良猫でした。沢にたくさん放置されていた生き残った猫たち、だから沢子猫。沢子は観光客には人気はあるものの、地元の一部の人らにはあまり好かれていません。なぜなら、食べ物を荒らしたり、汚したりするからです。この猫もそんな沢子猫

          沢子猫