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フォースのテーマに寄せて


戦い終わって、あるいは敗れて、2つの太陽が沈む。

そんな時、ウルウルと流れて来る。

『Star Wars』のthe force themeです。 24 時間ループ版。


長くながく続くこの映画です。

ふつう、SF物は女子には好まれません。

あなたも、好きではないかもしれない。

イケメン出てくりゃ良いってもんじゃないし。

ロケットに乗って冒険だ、悪と戦いだというSFは、感情を描かないから女子は乗れないでしょう。

この映画もおおよそ、そうなのではあるけれど、しかし、情緒を織り込んでくる。

空しかったり無念だったりする。

明日さえどうなるか分からず途方に暮れる。

そこに、このフォースのテーマが流れます。

と、想いがぐわーっと膨らみ、胸がいっぱいになる。キュンキュンしてしまう。

わたしの胸の中の女子も、ひどく満足する。。


何度も読みたいというお話には、情緒があります。

なぜかっていうと、きっと、わたしたち人間がこの世を情緒フィルターをかけて見るから。

恋をし、子を産み、育てないといけないとDNAに書き込まれている。

他者と関わらない限り、これらは達成されないのです。

社会がどんなに変わろうと、人間がしないといけないことに変わりはない。

その関りのベースが”情緒”というメガネなんでしょう。

だから、期待、絶望、孤独、無念・・・そういった感情から、わたしたちは生涯逃れられない。

わたしたちから、争いと憎しみ、希望と願いが消えることはないでしょう。


でも、きっと、たまたま来たであろうこの地球の景色には、

切なくて、辛くて、苦しくて、そしてとめどなく優しい、、という美があります。

この曲は、きっと、朝ではないのです。

夕暮れか、あなたが寝る間際に聞く曲でしょう。

もう仕方無いさ、と諦める時。

あるいはすべて出し尽くした自分を優しく受け入れる時。

やっぱり、諦めと受け入れの美しい時。


「フォースは君と共にあるのだ。いかなる時も。」

エピソード4「新たなる希望」で消滅してしまったはずのオビ=ワンの声がルークに聞こえてきます。

May the Force be with you.なわけです。

「フォースと共にあらんことを」。シリーズを通して、多くのキャラクターたちがこのセリフを言う。

果てしなくわたしを郷愁に落とすこの曲は、何かを祈ってる。

どんなに辛くとも、命を支えている存在にひれ伏せと言っている。

それを”フォース”というスーパーな存在に仮託している。

それを神といってもいいし、森羅万象と、あるいは宇宙といってもいい。

すべて出し尽くした自分なのです。

けっしてわたしたちには知り得ない、unknownな存在にコウベを垂れる時だと。


わたしが他者の話を読んで、うるっとする時、

それは、健気なあなたがそれでも生きようとふんばるからです。

ぜんぜん、1つもうまくいかなくて、全部焼野原のようになっても、

くすぶる煙の中にまた立ち上がろうとしている。

朝に生まれ、夜に死ぬといいます。

わたしたちは生きる意味、書く意味を問うのですが、その日一日を全力で生きよというのです。

その1日に集中できなければ、もうあとは意味が無いということです。

だから、日が暮れ、カタナ折れ矢尽きてしょぼくれるあなたの姿は、とても神々しい。

あなた自身はずたずだだったとしても、それは哀愁を帯び、美しい。


うまく行く為にここに来たのではないかもしれません。

勉強できるようになり、良い学校、企業に入り、素敵なパートナーと生涯、仲良く暮らすためではない。

たったこの1日にすべてを尽くす、尽くせないときは祈る。

たったそれだけをしたくて来たように思うんです。

なぜ、そう言い切れるのかというと、この2つは誰に依存もせずに、じぶんで出来ることだからです。


今日も、日が暮れるでしょう。

その寂しい夕暮れに、あなたが見る街並み、空、鉄橋、川原に、この世のすべてが織り込まれ、

悲しみを帯びた美が暗闇に染みて広がって行くでしょう。

あなたがほろほろと雨の夕暮れを見ている姿が浮かぶ。

梅雨はみなに嫌われるでしょうが、あなたとのわずかな思い出は雨の街なのです。



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