見出し画像

【ネタバレなし】春ゆきてレトロチカを遊んだ

※気が向いたら章ごとに感想を書くかもと思ったので、簡易版です。

Steam/Switch/PS4/PS5版があり、私はPS5でやりました。

実写でミステリでゲーム! へー! とりあえず音楽は林ゆうき(がメイン)だし、OP見る限り映像は結構好きだから値段分は楽しめるといいな〜、ぐらいのゆるい感じで始めたんですが、ラストはべちゃべちゃに泣いたので、映像美と音楽の相乗効果もありますが、シナリオが大変良かったです。

自宅で映画なりドラマなりを見る時は、基本的に脳が暇すぎて手持ち無沙汰のあまりパズルゲーをしながら動画を見るタイプなんですが(最悪)、本作は相当にギュッと詰まっていたからか、余計なことをしていると推理パートで「そんなこと言ってたっけ?」となったので(無駄なシーンがほぼない)、3章からは真剣に見ました。2章までは推理パートで該当シーンを見直しながら解くという感じでやっていたので、ちょっと人より時間がかかったかなと思いますす。推理パートですぐ該当シーンが見直せるのも良かったです。
 飽きることなくずっと面白かったので、動画作品としてもかなりよくできていたと思います。

シナリオでは私は終章を除くと3章が一番好きで、この話が終わった時が(終章を除くと)一番興奮していました。
 終章はミステリというジャンル上なにも明確な感想が書けないんですが、とにかく最高だったし、終章のための全6章だったので、最初から最後までずーっと製作陣の掌の上で転がされていたのが本当に気持ちよかったですね…。いやもうね、ゲームでも小説でもなんでも、制作側の思うように転がされている時が一番幸せだなと思います。

映像が美しく(現代パートは緑がつよく、過去は赤みがつよい映像なのでやや好き嫌いはありそうですが)、音楽もエモくてよかったんですが、それら全てが役者の芝居を引き立たせるように作られているように感じられたのがとても良かったです。
 お芝居はどなたもよかったんですが、私は久坂如水と桐生先生と弥生さんが特に好きでした。

推理パートは推理しなくても勝手に仮説が提示されるような仕組みになっていました。
 ただ、全てが正しい答えではなく、半分程度、フェイクやミスリードを誘うもの、明らかにそれはないだろ! と笑ってしまうようなトンチキが含まれていたので、この辺りが楽しめるかどうかにちょっと適性があるかなと感じました。
 推理をミスると探偵役が「あれ? もう一度考えてみます!」といったり、作中人物たちが呆れ顔をするのはメタ的に楽しめましたが、ここもちょっと人によるかなと。

日本のゲーム会社では全編にわたってリアル寄りの質の高いCGを維持するのは(予算の都合上)難しいと常々思っていたので、実写にしたのはかなりの英断かなと思いました。
 CGより断然撮影制約は多そうですが、実写は「リアル」を追求しきれない日本で作るゲームの一つの答えでもあるのかなと感じたので、ちょっと流行ってほしいなと言う気持ちもあり、是非続編が欲しいです。

とても面白かったんですが、唯一どうしても擁護できない点があって、推理パートの操作性の悪さだけは、今でも改善してほしい。本当にこれだけはちゃんとテストプレイしたんですか? と疑問でした。
 多分、Steam版でのみこのイライラは発生しないと思います。

動画作品として見ると値段以上に良く、私は「安い!!!!」と思いましたが、一本道のアドベンチャーゲームとして見ると高いと感じる人もいるかもしれない。

◆買うきっかけ
・タイトルとパッケージイラストが良い
・音楽担当に林ゆうきがいる
・フォロワーが面白いといっていた
・実写でミステリやっているらしい

個人的に大きかったのは「音楽」と「実写」のところです。
 林ゆうき、昔「トライアングル」というドラマを見ていた時に流れていたcocoonという曲がとても好きで、あの印象が非常に強いんですが、レトロチカの主題歌も似たタイプの感傷的な曲で気に入った。
 パッケージがイラストだったからなのか、かまいたちの夜みたいに輪郭しかない系かと思っていたので、ちょっと調べて実写ドラマなことを知り即買いました。今時実写でゲーム作る人なんているんだ? しかもスクエニで? と。
 それ以外はキャスト含めて全く調べずに買ったので、佐野岳が出てきてひっくり返った。

PVだけでも見てってほしい。林ゆうきは天才。
ちなみに本編映像もPVのままです。最初から最後までこのテイスト。
https://youtu.be/Yhfniq4mfQc

◆シナリオ構成
・全7章(第1章〜第6章+終章)

一本道シナリオで分岐はありません。基本的に推理ミスで即エンドになりますが、すぐ戻れます。
 ただし「終章」が終わるまでチャプタースタートは解禁されません。まず終わりまで通しでやる必要があります。
※6章が終わるとタイトル画面下に追加シナリオを示す文言が出てきますが、気付きにくいので私は一回スルーしました。

◆あらすじ
 公式サイト(https://www.jp.square-enix.com/retrotica/about/)からの引用

《令和4(2022)年、春。
 ミステリ小説家の河々見(かがみ)はるかは、科学者の四十間(しじま)永司の依頼を受け、編集者の山瀬明里とともに、富士山麓にある永司の実家、四十間邸を訪れる。
 永司の依頼は、桜の下で見つかった白骨死体の 正体究明と、四十間邸に眠ると言われる“不老の果実”の捜索。
 大真面目に語る永司と、半信半疑のはるか。
 そんなはるかに明里が一冊の古書を差し出す。

そこに掲載されていたのは永司の先祖、四十間佳乃が書いた “不老の果実”をめぐる、百年前のある物語。
 それは小説の体裁をとった、実際に起こった殺人事件だという。
 古書を読み終え、事件の謎を解き明かしたのも束の間。
 はるかの目の前で四十間家を揺るがす殺人事件が起きた…》

簡単に書くと「ミステリ作家が100年前の事件の真相を今現在起こっている事件現場で紐解いて行く」という話。
「不老」がテーマの一つなので、ちょっとだけファンタジー要素があります。犯人は双子だったのだ! とかそう言う禁じ手自体はない。

「不老」がテーマなのに「春ゆきて」というタイトル、モチーフが桜と灯籠というのはプレイ前はやや違和感(※)がありましたが、テーマとモチーフへの疑問に対する回答がきちんと本編で提示されたのがとても美しくて良かったです。
※「桜」は「散るまでが美しい」ものなので、「不老になりえない」ものでは? ビジュアル採用? と感じていましたが、最後までプレイすると(直接的な回答はありませんが)理由がわかります。
 ここ、本当はもっと詳細に「天才すぎる…」と思ったことを書きたいんですが、どうしてもネタバレになってしまうのでこれ以上言えなくて辛いです。

下記の感想がとてもよかったので、是非どうぞ。
《【ネタバレほぼなし】情趣溢れる実写映像が彩る『春ゆきてレトロチカ』が全面的に好きだ | ゴジライン》
https://goziline.com/archives/49614

また、開発者インタビューをやる前に読んだ方がいいのか、やった後のほうがいいのか判断がつかなかったのですが、私はやった後にこれを読んで「なるほどね」と思う部分が多かったので載せておきます。
《スクエニが挑む実写ミステリ『春ゆきてレトロチカ』開発者インタビュー。ゲームファンに届ける“新本格”ミステリ作品制作の経緯や、同じ役者が時代を越えて複数の人物を演じる意味を訊く》
https://www.famitsu.com/news/202202/10250372.html

◆個人的に特におすすめするユーザー
・金田一少年の事件簿や名探偵コナンが楽しめる人
・ミステリは好きだけど基本は推理しない(苦手な)人
・情緒や感情の流れを読むのが好きな人
・ゼロ年代講談社メフィスト系ミステリが好きな人(西尾維新、清涼院流水が好きだとなおよし)
・同じ役者が話によって違う役を演じるのが楽しめる人

一つでも当てはまればおすすめだと思います。
 逆に「個人的には合わないからやめた方が…」と思うのは「作者からの挑戦状」を真剣に解いてミステリ小説読むタイプかなと。

舞台作品だと同じキャストが2役以上演じる場合は、作品全体を通して配役の効果が妥当か? 等考えながら見るタイプなんですが、本作においては明らかに単なる思考の妨げになるため、これから遊ぶ方はどうぞ気にせず遊んでください。
 人物ごとに全く違うお芝居をされる方が好きなので、何人か「えっこれさっきと同じ人?」ってなるのが気持ち良くてよかったです。

■良かったところ
・シナリオ
・映像
・音楽
・キャスト陣の芝居
・用語集、平面図、人物相関図、解説等の情報系のまとめかたと出し方
・ムービーパートの巻き戻し、停止のしやすさ、テキストログの確認のしやすさ、既読スキップのしやすさ
・トンチキ仮説が面白い
・推理をミスった時のコメディの空気
・推理は手がかりのピースを当てはめるだけでいいので、わからなくても画面に表示されている手がかりの「模様」を見ながら埋めることか可能。

■悪かったところ
・とてもパッドユーザーを想定しているとは思えない推理パートの操作性の悪さ(UIもイマイチ)。
 これが耐えられなくてプレイをやめたと言われても仕方がないまである。ストレス過多。
 とにかくR2でヒントを掴ませた上でRスティックで画面上を移動させて嵌める、と言うのがストレスでキツかったです。仮説の上下は十字キーのみにして、素直にLスティックで移動させて欲しかった。
 掴んで移動させるのが辛かったので、連続で犯人当てをミスった時にまた「解けた」を掴んで嵌めるのはだるかったです。

・4章の推理パートの仮説が要領を得なすぎてイライラした。

■悪いとまではいわないがちょっとに気になったところ
・「新本格」ミステリと書いたのは悪手だったかなと感じる。トンチキ仮説等や結論から考えても、ゼロ年代講談社メフィストミステリ好き向けなので、「本格」程度がよかったかなと…。

・連作短編の体を取っているが全てが繋がっているシナリオのため、章の途中では全てが明かされず、「えっ、犯人はわかったけど、それ以外なにも解決してない…」と4・5章はかなりモヤモヤした。
 最後で全部明かされるので結果的にスッキリはするんですが、短編の体をとっているといいながら現代パートは過去パートと違って明確につながっていて、ちょっと切り方のバランスが悪かったかもと感じていますが、好みの問題かもしれません。

・5章だけ他の章と色々毛色が違いすぎるので、もう少し解き方の導線がほしかった。
 基本的にヒントは使わなかったんですが、5章で1つだけどうしても解けないものがあり、シナリオ進めたさに使用しました。
 謎解き「ゲーム」として一番作り込まれていたのが5章だと思うので、もう少し丁寧だとさらによかったかなと思います。

◆購入
公式サイト
https://store.jp.square-enix.com/CATEGORY/RETROTICA/

Amazon(アフィリンクじゃないよ)
春ゆきてレトロチカ -Switch https://amzn.asia/d/csUYdFl

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?