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製作ノート vol.5 「ZINE で絵本」

絵本をZINEでつくってみた。タイトルは『がまんしすぎたナツ』。

渋谷○○書店「えほん定食」の棚で販売中

ZINEの定義は正確なものは知らないけれど、なんでもありの自由な冊子というイメージ。“magazine”から来ていると聞いたことがある。前から渋谷○○書店で他の棚主さんたちがZINEをつくって売っているのを見て、自分もやってみたいなと思っていた。

ZINE の良いところはなんと言っても手軽に作れるところ、なんじゃないかと思っている。今回私が採用した「中綴じ製本」は、普段自分がおこなっている角背上製本の工程の半分以下で完成する感じだ。そのため、価格もお手頃に設定できる。前作の『ちもとぺーい』を売るときには、さんざん「この子をいくらなら手放せるか」なんて悩んだけれど、その葛藤もなかった。

それから「手軽につくる」にあたって助言者の存在も大きかった。今回の製本工程で生じた疑問は、私が尊敬してやまない製本家に教えてもらい解決した。その方のアドバイスがあったからこそ、初めての絵本ZINEづくりが実現できたといってもいい。本当に感謝している。今回事前に許可をいただいていないのでお名前や屋号を出すのを控えるが、いつか紹介できたらと思う。

というわけで製本は手軽だった。とはいえ、作品を産むとき特有の汗をかく感じはZINEでも変わらなかった。

今回つくった絵本のテーマは簡潔にいうと「共依存からの脱却」。ちょっと重たい。ずっと描きたいと思っていたテーマだけれど、漫画等では既に散々扱われているかもしれない。今さら陳腐かなぁ。こんな風に弱気になってしまうことがある。
でも、絵本ならではの表現や自分にしかできない描き方もあるかもしれない……と自分で自分を勇気づけた。

そしてなんとか出来上がってホッとしている。重たさの中にも明るさがある、自分らしい絵本になっただろうか。なにはともあれZINEづくり、面白かった。

最後に、今回の中綴じ絵本づくりの流れを大まかに紹介。あくまでも自分の場合、になるけれど。
(原画製作の前に内容を絵コンテにしたり、ラフな試作本をつくったりするが、その部分は割愛する……複雑でざっくり説明できないので)

①原画製作→今回はデジタルで描画。ペンタブレットで描いたものを、グラフィックソフトで中綴じ用に構成、編集。

ペンタブレットは紙に鉛筆で描く感覚で描ける

②紙を用意する→本文用と表紙用の紙を選ぶ。私は店で実際に紙を見て触って選ぶのが好きだ。印刷が難しそうな紙も、試してみると意外とキレイに印刷出来ることがある。

いろいろな紙を試すのも「本作り」の醍醐味かもしれない

③印刷→私は家庭用プリンタを使っている。家で出来るのは便利だが、絵本はカラー印刷なのでめちゃくちゃ時間(&コスト)がかかるのが弱点。

ページの順番を間違えないように慎重に印刷する

④ホチキスどめ→印刷したものを二つ折りにして、山の部分を中綴じ用ステープラーで綴じる。位置がずれないよう気を付けながら。

写真は中綴じ用ステープラー。もっと簡易なホッチキス「ホッチくる」も中綴じに使えて便利だ。


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