「デジャヴ」既視感

まず、一般的な「デジャヴ」既視感は、その体験を「よく知っている」という感覚だけでなく、「確かに見た覚えがあるが、いつ、どこで、が思い出せない」というような違和感を伴う場合が多いと言われています。過去の体験は夢に属するものであると考えられますが、多くの場合、「デジャヴ」既視感は過去に実際に体験したという確固たる感覚があり、夢や単なる物忘れとは異なる何かを感じます。「デジャヴ」既視感は神経の“通り道”が違ってくることで起こる脳内の情報処理プロセスに起因するものであると一般的には考えられています。


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この「デジャヴ」既視感の現象を説明しようとする試みが現在まで多数あります。

「デジャヴ」既視感は、統合失調症の発病初期段階の人や、側頭葉てんかん症状を持つ人に現れることも一部ではありえますが、かといって「デジャヴ」既視感全般を精神疾患に結びつけて説明しようとするのはとても無理があります。「デジャヴ」既視感は健全な人に多発することも多数報告されてますし、健常な人が持っている、ごく一般的な感覚でもあります。一般大学生の72%が経験しているという調査結果もあります。

ジークムント・フロイト(オーストリアの精神科医・無意識研究を行った・精神分析学の創始者)は『日常生活の精神病理学』(1901年)において、「デジャヴ」既視感というのは既に見たであろう夢、とした。以前見た夢が記憶に残り、無意識(眠って)のうちに見たものだから意識的には思い出すことができないものなのだ、と結論付けました。

20世紀末から、「デジャヴ」既視感は心理学や脳神経学的研究対象として注目されました。しかし、実験で「デジャヴ」既視感を再現することは非常に困難であるため、実験を通しての研究法は今だ確立されていません。

これらの研究では、「デジャヴ」既視感は予知・予言ではなく、「記憶が呼び覚まされるような強い印象を与える記憶異常」と考えられています。

ほとんどのケースではその瞬間の記憶のみが強く、その記憶を体験した状況(いつ、どこで)についてははっきりしないことが多いです。同様に時間の経過により、「デジャヴ」既視感の経験自体が落ち着かない経験として強く記憶に残り、「デジャヴ」既視感を引き起こした事象や状況の記憶はほとんど残りません。これは「短期記憶と長期記憶の重なり合いが原因」と考えられています。体験している事象は、脳の意識的に働いている部分が情報を受け取る前に記憶に蓄えられ、処理されるからです。

他の視覚に関連づけた説明もあります。『片目がもう片方の目よりわずかに早く見た部分的な視覚が記憶され、ミリ秒後にもう片方の目で見た、同じ光景が強い「デジャヴ」既視感を引き起こす』というものです。しかしこの説明では、「デジャブ」既視感のきっかけが聴覚によるものや指先によるものである場合を説明出来ません。

「人間の感覚から神経を通ってきた信号が、脳内で認識し記憶される段階で、脳内で認識される作業以前に、別ルートを通り記憶として直接脳内に記憶として蓄えられ、脳が認識をした段階で、既に記憶として存在するという事実を再認識することによりおこる現象ではないか」とする説がありますが、今だ明確に「デジャヴ」既視感を論理的に説明出来る研究結果はありません。

個人的には、AI(人口知能)と実際の人間の脳とでは永遠に同レベルにはならないと考えています(当然ですが)。

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