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あこがれ

SNS上で知り合った、音楽の趣味が少し似ている人に、そう言われた。僕をことを憧れだと言ってくれた。インターネットに雑に投げるだけの感情と言葉と趣味を見て、そう言ってくれた。嬉しかった。

その人はマカロニえんぴつが好きらしい。それをきっかけに知り合った。僕より早く見つけていて、たくさんライブに行き、たくさんの愛を感じた。

その人は喫茶店が好きらしい。住んでいる県が同じだった。僕の住む街の、僕が知らない店を愛していた。僕はそれを見て、後を追うようにその店に行った。すごく居心地がいいお店で、店主が気さくで、パフェが美味しかった。パフェにはたくさんのフルーツが乗っていた。僕はキウイが少し苦手だ。

その人はandymoriが好きらしい。後を追うように曲を聴いた。とても好きだった。メロディに高揚し、リズムを刻んで体を揺らした。歌詞を読んだ。何を言っているのかよく分からなかった。

その人は上京したらしい。一人暮らしを始めて、下北沢のライブハウスに通い詰めて、今はインディーズバンドのカメラマンをやっている。僕が好きなバンドのツアーに同行していた。僕の憧れの人たちに囲まれて、僕の憧れの人たちを画面に収めて、インターネットを介して見せてくれた。

僕はその人に憧れている。僕が好きなものを先に好きで、僕が理解したいものを先に理解していて、僕がいたい場所に先にいて、僕がなりたい人に先になっていた。汚れた感情を抱く自分に気付いて、また憧れから遠ざかる感覚があった。

僕はなぜその人の憧れになれたのだろう。少なくともその人にとって、僕の言葉を好いてくれていたことは信じていいのだろうか。そう思って、こうやって言葉を書き連ねている。

せめて、言わせてしまったあの言葉が嘘にはなってほしくないな。

どんなに頑張ったって
あなたにはなれないけど

マカロニえんぴつ『あこがれ』

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