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sumikaに居場所をもらった話

失恋をした。初めて付き合った彼女に振られた。このライブの前日に。それはもう信じられないくらい落ち込んで、薄っぺらい19年の人生でおそらく一番辛い出来事だった。
今まで何回も大好きな音楽を演奏するバンドのライブに行った。その中でも、sumikaは初めて好きになったバンドで、今でも揺るがない一番で、そんなバンドのライブが楽しみじゃないなんてことは今まで無かった。でも今回ばかりは、学校で授業を受けていても、会場に向かう電車の中でも、昨日のことばかり考えてしまって、ライブの期待が薄れていた。そんな気持ちで本当に楽しめるのか不安だった。

結果から言うと、人生で初めて、音楽に救われてしまった。というより、sumikaというバンドに救われてしまった。

ステージにメンバーが登場して一音目、「Welcome to My Home」の言葉を聴いた途端に涙が止まらなくなった。ここは僕のいるべき住処で、それを作ってくれている人たちと、今顔を合わせて、心を通わせている。その確信が、わだかまりを少しずつ解いていったような気がした。
『Answer』での「心を叫ぶ」声、『ファンファーレ』での「迎えに行くよ」と伸ばしてくれた手。その全てが、僕の心に届いて、少しづつ安らかにしてくれた。拍手での投票で決まった僕の大好きな曲『坂道、白を告げて』の演奏が始まった時には、我を忘れて飛び跳ねてしまうくらい、ただ音を楽しむことに集中できるようになっていた。
『アンコール』では、やっぱり失恋を思い出して泣いてしまったけれど、その歌声が、悲しみを少し温かい何かで包んでくれたように感じた。

MCで何度も何度も伝えてくれる、僕たちへの愛。その言葉にまた救われた。2時間前まで、僕は世界で独りぼっちだって思っていた。でも違った。僕の愛した最高のバンドが、僕の存在を認めてくれた。一方通行のはずだった僕の愛を、感謝の言葉で返してくれた。大きなステージで、僕の名前を呼んでくれた。思い込みでも、そう思わせてくれたsumikaに、僕は救われ続けた。

『ここから見える景色』で歌ってくれた、sumikaと僕の今までとこれから。離れたくないからこんな日にもここに来たし、君が居て僕が居るからやっと見つかる絆と愛がある。この日にこの曲を僕たちへ向けて歌ってくれたことが、嬉しくてしょうがなかった。大好きな存在に愛されることの幸せを、苦しいくらい噛み締めた。

自分勝手な都合だけど、今日僕にとってこのライブは、世界で一番幸せな時間だった。音楽に救われることなんて無いと思っていたけど、今日sumikaは僕を救ってくれた。大切でしょうがない存在を、あの時間を、住処を、愛し続けると誓った日。

いつか 立ち止まってやがて眠る時まで
よろしくね

『ここから見える景色』

2022年6月13日 Zepp Haneda
sumika Live Tour 2022
『花鳥風月』-第二幕-


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