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小田原で起業したい人の駆け込み寺! さがみ信用金庫(さがしんさん)にARUYOと関わることで得た変化を本音トークしてもらった

小田原地域に密着した企業で、地域活性化の役割もになっているさがみ信用金庫(通称さがしんさん)。ARUYOに立ち上げから関わり、ローカルサポートパートナーでもあるさがしんさんをお招きして、ARUYOとつながったことでどんな変化があったのか、詳しくお話を伺いました。

さがみ信用金庫 常勤理事・営業統括部長 中村知裕さん(左)、営業統括部 地域元気創造課 川口和善さん(右)

さがしんさんと小田原の深いつながり

ーさがみ信用金庫(以下、さがしんさん)はその理念に「地域社会との共生」を掲げるなど、地元愛がとても強い印象を受けますが、その想いはいったいどこから来ているのでしょうか?

中村知裕さん(以下、中村):当金庫は1923年の関東大震災で被災した小田原の復興支援を目的に、2年後の1925年に「小田原信用購買組合」が母体となって設立されました。その翌年に、二宮尊徳の教えを受けた「報徳購買組合」と合併したことで、「報徳思想」が受け継がれており、相互扶助の考え方が根付いております。もともとの設立のきっかけが小田原の復興にあったということと、地域のみなさまが培ってきたことを引き継いで、次の世代に渡していく業種であるということ。こういった背景から、地元小田原への想いが強いのかなと思います。

ー社員のみなさまも小田原出身の方が多いのですか?

中村:多いですね。全体の割合としては、依然として地元出身が多い組織ですが、やはり人口減少が進んでいますので、より広く人材を求めるようになり、最近はけっこう離れた地域からの採用も増えました。社員のなかには、地元出身ではなくても「小田原が好きだから」とか、「学生のときに小田原で過ごして気に入ったから」といった理由で就職を決めた人もいますので、内外問わず小田原の魅力というか、この少し暖かい雰囲気がみんな気に入っているのかなと感じています。

ーこれまで抱えていた課題はありますか?

中村:金融機関に求められるサービスというものが、年々大きくなってきていると感じます。もともとうちは地元の中小企業や零細企業の社長さんと、堅苦しくならない距離感でやり取りをさせていただいてきたのですが、時代の流れで、企業としておさえておかなくてはいけないポイント、金融事情が高度化しています。そこに対応できる人材の育成であったり、知識の醸成であったりという部分には課題があります。例えば、コロナ禍で補助金などの制度の説明をすれば、お客様の役に立てたという感覚になりはする。しかし、それがお客様の「この先やりたいこと」に必ずしもつながるわけでないんです。短期的な部分と長期的な部分、両方をしっかりとお客様と話して、それに合わせたお手伝いをするということが簡単なようで難しい。それが目の前の課題かと思います。
 もう1点は、やはり人口減少が避けては通れないので、もっと多くの若い世代の方々に、小田原の魅力を知っていただいて、就労も含めて携わってもらえるようにするというのが課題ですね。

さがしんさんがARUYOというコミュニティに感じた価値

ーARUYOとのつながりのきっかけとは?

中村:構想の時点から少なからず関与はさせていただいておりました。うちの中小企業診断士が、ARUYOを事業拠点とする構想があった、小田原市の「新しい働き方環境整備事業」で協議会の構成メンバーになっていたことがきっかけです。そのあと、信金中央金庫の地方創生推進スキームである「SCBふるさと応援団」を活用して、この事業に1千万の寄付をさせていただいた経緯がございます。

ー現在、さがしんさんはARUYOの法人会員ですが、なろうと思ったきっかけはあるのでしょうか?

中村:うちの理事長・遠藤康弘から「せっかく携わっているのなら会員になって、集まっている人々の輪にもっと入っていきなさい」というような指示が出たんです。実際には我々のなかでも会員になりたいという声はあって、特に川口はその思いが強かったので、ちょうどその話をもらって「是非やりたいです」と手を上げたんです。

ー川口さんが会社から提案される前に、会員になりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

川口和善さん(以下、川口):ここ何年かで小田原に移住してくる方がすごく増えているんです。その流れで、小田原に住みながら仕事を始めたいという人も増えています。小田原市にとっても、うちにとってもありがたい話ですね。ただ、やっぱりこれまで我々がイメージしてきた、「お金を借りて、店舗を構えて、商品をそろえて売る」というビジネスとは形が異なるんですよ。話を聞いてもどんなビジネスなのか、イメージがわかなかったりするものもあるんで。そういったケースが今後も増えるだろうなって。であれば、ARUYOはそういう人たちが多く集まる場所だし、自分の知らないことも勉強できる。マッチングすることで既存のお客さまの助けにもなるなって考えたら、ここのみなさんと繋がりを持つって、すごく価値があることだと思えたんです。

ー移住者がここ何年かで増えたのは、コロナの影響で働き方ががらりと変わったことが影響していますか?

中村:そうですね。もともと小田原はアクセスの利便がいいのに、有効に使われていなかった面があり、小田原より熱海とか三島のほうが、新幹線通勤が流行った時代がありました。ところが、コロナでリモートワークが浸透したら、小田原って意外と都心に近くてアクセスもいいってことが再認識されたのかなと思います。海が近いのもあって気候も温暖で、箱根のような観光地が近くて自然も豊か。こういった要素が魅力ではないでしょうか。

顧客の緊急事態をARUYOに相談して解決

ー実際にARUYOとのつながりが顧客の役に立ったケースを教えてもらえますか?

川口:金融機関なので、もともとは「お金を借りたい」という相談がほぼ全てだったんです。でも、最近はお金に関わる相談だけではなく、事業に関する相談もすごく増えています。例えば、「売り上げを伸ばすには何をしたらいい?」とか、「人を採用するにはどうすればいいのか」とか。つい最近の話でいうと、旅館を経営しているお客様が、予約システムを担当していた人間が急に辞めてしまったと。しかも、システムが初期化されて全く触れない状態になってしまったという相談がありました。

ーえっ! それは大変な事態ですね。

川口:すぐにお客様のところに行って、全体像はある程度見えたのですが、これ以上は我々では対応できないなと。そのとき、ARUYOコミュニティマネージャーのコアゼさんの顔が浮かんだんです。さっそく相談したら、翌日にはお客様とオンラインで話してくれて、状況を整理して適任者を紹介してくれました。その方に遠隔でシステムを直してもらえました。それがちょうど年末前で、これから繁忙期という時期だったので、スムーズに解決してもらって本当に助かったということがありました。

ー予約システムの不具合は企業にとっては死活問題ですものね。

川口:あと、ARUYOに粘土で作られたクラフト盆栽が飾ってあるじゃないですか。あれ、元々はうちの顧客が扱っている商品なんです。お客様から、「クラフト盆栽を売るための販促用のツールがないので、素敵なチラシを作れる人がいないか」という相談があって、ARUYOに紹介してもらったんです。そのとき、クラフト盆栽をコミュニティマネージャーの椿谷さんが気に入ってくれて、ARUYOに入れることになったんです。お客様的には、素敵なチラシを作りたいということが叶ったうえに、売り上げにもつながり、とても喜ばれました。このように、我々だけでは解決できないことも多いので、かなりARUYOには助けられていますね。

ー地域との繋がりが功を奏した理想の形ですね。ARUYOが掲げる「ローカルドリブン」の好例だなと感じました。困ったことがあったとき、川口さんの頭にパッと浮かぶような存在にARUYOはなっているんですね。

川口:そうですね。特にAURYOにいる人たちって、金融機関の我々からすると不得手な分野を得意とされている方が多いので、私自身が全くわからない領域の話に直面したときに、誰か教えてくださいって、甘えさせてもらっていますね。

ー顧客の方が、困ったときに最初に相談する先として、さがしんさんが浮かぶのもすごいですね。

川口:本当に困ったときに相談をしてもらえるのって、すごい価値ですよね。

中村:ひと昔前は、決算書をお預かりして財務的な分析をして、「ここを改善しないといけないのではないですか」って話だけで終わってしまっていたんです。お客様から見ると「問題点はわかったけれど、売り上げを伸ばすのにはどうしたらいいのか」って疑問があったと思います。そこから我々も、テクニカルな話しだけではなく、実際にどうすれば改善するのかという点にまで言及できるように、ときには専門家の力を借りるような流れを築いてきました。ただ、実際に専門家にお願いすると、手続きやスケジュール調整で、来てもらうのに早くても3日、下手すると1週間とかかかるんです。
 その点ARUYOは、その日に相談して早ければ当日、遅くても翌日には方向性を示してくれる。仮に解決できなくても答えがすぐ出るから、できなければ他の方法を考えるといったことができるんです。そういう意味では、ARUYOというひとつのコミュニティが地域のブレーンとして機能していて、そこからいろんなアドバイスがもらえるのが、非常に助かっています。

ーARUYOの利用者から、起業に関する相談を受けることは?

川口:もちろんあります。

ーARUYO経由で相談に来られる方と、既存の顧客層とは、年齢層やニーズが異なるのでしょうか?

中村:ケースバイケースですが、ARUYO経由で来られる方は、みなさん若い傾向はありますね。今までのイメージですと、小田原で起業したい方って、「やりたいことがあるから、働いて技術を身に着けながら資金を蓄えていく」というようなイメージだったんです。けれど、ARUYOさんに限らず最近お話をいただくケースでは、やりたいことはこういうことだけど、「資本金はない、地理感もありません。ただ、小田原っていいところだから事業を起こしたいです」みたいな人も多い。昔ですと「いや、いったん冷静になりましょう」ってケースだったんです(笑)。今は我々も「では、何が武器ですか? どういう形で営業をやっていきますか?」と、そんな風にお話させていただいています。ARUYOみたいな場所があれば、施設やお店を構えなくても実現可能なビジネスもあると感じています。

法人会員になって感じたARUYOの持つ力

ーARUYOの会員となったことで、何か、これまで抱えていた課題が前進した例がありますか?

中村:まさに今お話したケースなんですが、リアルな店舗を持たずに仕事をやりたいというお客様へのアドバイスというものが、従前に比べてできるようになったかなと思います。我々の考え自体も柔軟にはしてきたつもりですので、そういった相談があったときには、入り口で話をしっかりと伺えるようになりました。そこが大きな違いですね。どちらかというと、我々が変わったのかもしれないですけれども。

川口:それはあるかもしれないですね。

中村:今までは、こういったご相談があるけど、「我々では無理だよね、応えられないね」と解決策がなかったものが、ARUYOと交流することによって、「こういう価値を評価させていただくと、こういうお手伝いができる」みたいに、考え方の切り替えができてきたかなと思っています。

ー解決できた経験・知見があると、類似の依頼が来た時に「これは解決できる課題なんだ」と思えますよね。

中村:そうですね。

川口:お客様からの相談が「課題が明確な状態」ではなく、アイディア出しの段階からご相談を頂くことが昔よりも増えたんです。そういうアイディアの話ができる相手がいることもARUYOの良いところです。ARUYOにいる人たちと普段から会話をすることによって、我々もお客様に対して「こんな発想もあるよ」って言えるようになりました。
 ARUYO会員である恩恵は、ここのミーティングルームを使わせてもらって、社員の研修とか勉強会をするときにも感じますね。普段、金融機関の建物のなかで「さあ、言いたいことを言って」ってやっても、意見なんか出てこないんです(笑)。ところが、研修でここを使わせてもらうと若い社員なんかは「こんなとこあるんですね。なんかいいですね」ってなる。で、実際に活発な意見交換ができたりするんです。ARUYOの施設が持つ力というのもあって、いろいろ新しいことをやってみたり、発想を変えられたりするきっかけになっている。
 こういったことが、だんだんとお客様に還元できるようになっていくのかなと思っています。

ーミーティングルームを変えるだけで、意見交換が活発になったという事例には、びっくりしました。場の力ってあるんですね。

小田原独自の距離感が成功の秘訣?

ーARUYOのコミュニティが地域のブレーンになっている、というのは非常にありがたい評価です。さがしんさんが地域コミュニティとどうやって良い関係を築けたのか、秘訣があれば教えて欲しいです。

中村:むしろそこを我々も知りたいんです。こういうコワーキングスペースの運営は、いろんな自治体がチャレンジしているんですけれど、うまく行ったという話をあまり聞かないんですよ。そんな状況で、神奈川県内で金融機関の会合に出席して「小田原はARUYOさんがあって、うまくいってますよ」みたいな話をすると、「え、どうやってやっているの?」って聞かれる。だから、我々も「なんで、ここはうまく回っているの?」って質問をしたいと思っていました。

川口:小田原にはARUYOのほかにも、例えば移住してくる方のコミュニティとか、いくつかそういう場所はあるんですけれど、それぞれカラーが違うと感じます。なので、ひとつのコミュニティに入って「違うな」と感じたら、徐々に別のところに移動したりする。変に意識しなくても、そうやってなんか居心地のいいところに結局人って集まるんだなって。

中村:そういう観点から考えると、都心に近くなればなるほど、人との距離が遠くなるのではないかな。そして、もっと地方へいくと今度は距離が近すぎる。結局、色んな意味での「距離」が、小田原ってちょうどいいのかなと、そこは感じるんですよ。付かず離れずで、面倒くさくはないけれど、さみしいときには人は側にいるって風土的なものかもしれません。

ー無理やりグイグイくる感じの距離感ではないですものね。いい距離感で人付き合いができるっていうのは小田原ならではなのかもしれません。それをARUYOが再現できているのかもしれませんね。

中村:「雑談」っていう言葉が正しいかはわからないですけれど、普段している何気ない話が自然とできる環境が、一番大事なのかなって思います。

ー相談ありきだと、それを解決する手段として相手を使ってしまう部分がある。そうではない関係で話をするっていうことですよね。

中村:はい。それが多分「いい付き合い」なんだと。

ARUYOに期待することと、こうなったらダメだなって思うこと

ー改めて、これからのARUYOに期待することをお聞きしたいのですが。

中村:ARUYOって、全国的にみても成功事例だなと感じます。これってお世辞でもなんでもなくて、周りの話を聞いていると、そのように感じざるを得ない。引き続き、ここの環境を大事にしていっていただきたいというのと、ARUYOはなんでうまく行っているのか、そのポイントを見つけて、「小田原モデル」みたいな形で全国に広めていただけると、非常にいいなと思っているので、期待しています。

ー逆に、こうなったらARUYOはおしまいだよってことありますか?

川口:今、私はふらっと来て相談させていただいてるんですけど、「最近、なんか相談しづらいな」って思うようになっちゃったら、多分、来ないと思うんですよ。結局人だと思うんです。コミュニティのカラーでいうと、ここに集まっている人たちって、何となく「お互い一緒にやったらこんなことができそうだね、面白そうだね」って、そんな発想でビジネスの話を進めているじゃないですか。だから、各々が自分のことだけを考えるようになってきたら嫌だなと思います。

ーそれはARUYOの中心メンバーも「テイカー(taker)は入れたくない」ってはっきり言ってますね。

中村:実際に会員の皆さんとお話をさせていただいて、私自身が結構わくわくするんですよ。ただ夢を語るというのとは違って、それを実現するために必要な情報や繋がりがARUYOにはあるので、リアリティがあるんですよね。何気ない会話のなかで、それってすごく楽しそうだなって気持ちになる。そういう話をたくさん聞けるんですよ。

ースピード感も大事かもしれないですね。

中村:そこは絶対ですね。お話をするだけでアクションが起こせないと、ただの評論家になってしまうので。

ーARUYOもこれまでルールも含め色々走りながら、見直しながら作ってきたので、それが会員の皆さんのスピード感にも繋がっていたのかもしれません。これが動きが止まって硬直してくると、もしかしたら魅力が減ってしまうのかもしれないですね。

中村:よく伺う話ですが、人が固定化すると上手くいかない。例えば、座る席でも「ここはこの人の席」みたいに決まってしまうと、そこは上手くいかないと聞きます。そういう意味では常に人も動き続けているのが良い状態なのかもしれません。

ー最後に、さがしんさんの率直な意見をお聞きしたいのですが、ARUYOと関わりを持つ前の期待値に対して、現状のARUYOとの関係って、その期待値を上回っていますか?

中村:私の個人的な意見ですと、大きく上回っています。ARUYOに助けていただく事が思った以上に多い状況ですので。今後も良い関係で、一緒に小田原を盛り上げていきたいと思います。

ーお互いいい効果が生み出せている関係ということですね。今後もさらに良い展開が生み出せるように、ARUYO自体も、これからも覚悟を持って動き続ける必要性があるなと思わされました。ありがとうございました。


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