環境再生型養殖の可能性がすごい#DRAWDOWNを読み解くvol.1
私の愛読書『DRAW DOWN』を読んでいると、本当に地球温暖化は逆転できそう、と思って色々なアイディアが生まれてワクワクする。
そしてそのアイディアは、日本の田舎で、森の国で実現できそうなことばかり。
最近の私のトレンドは#サステナブル・シーフードなんだけど、それについて色々調べたりとかしている中で、漁業も養殖ももうむりじゃん・・・もう数年後にはお魚は食べられないんかな、と半分諦めていた。
そんななかDRAW DOWN様は一筋の光を差してくれた。
『環境再生型養殖』
要は、貝と海藻を養殖すれば海も陸も綺麗になって最高!!っていう話なんだけど、その前に海の問題について簡単に触れておく。
1、お魚とり方問題と、消費量増えすぎ問題
『FAO世界漁業・養殖業白書』の2020年版によれば、人類が世界の海で漁獲し、消費しているさまざまな魚種のうち34.2%が「獲りすぎ」の状態にあり、この割合は、1970年代と比べて、3倍以上に増えているという。
こうした問題の背景にあるのは、単なる「魚の獲りすぎ」だけではなく、漁獲や養殖の方法や、沿岸の自然破壊も、資源状況に大きな影響を及ぼす。
ざっくりいうと、今の漁業・養殖業の問題点は以下のようなものがあげられる。
1、消費量の増加
2、資源量の減少
3、トレーサビリティの分断
4、IUU漁業、児童労働、奴隷労働
5、漁業の乱獲、混獲による環境破壊
6、養殖の投薬、魚粉(餌)による海洋汚染と養殖場の設置による生態系の破壊
漁法については、同じ魚でも、用いる網やその方法によって生態系へのインパクトが異なる。海底に袋状の網をおろして曳いて、海底付近にいる魚(カレイ、ヒラメ、スケトウダラなど)、エビ類、カニ類、貝類を捕る「底引き網漁法」は商品価値のない小さな魚まで獲ってしまったり、大型の網を円形に広げて、泳ぎ回る魚を群ごとすばやく包み込むようにして獲る「巻き網漁法」や「トロール漁法」は、資源の減少の一因になっていたり、海底の環境を壊したり、海鳥やウミガメなど他の生物をも獲ってしまう「混獲」などの問題があったり。
養殖についても、養殖場を作るために自然の環境を破壊したり、餌の食べ残しや排泄物が海を汚染する。また、養殖場で育てるため天然の稚魚を獲りすぎたり、餌の原料とするため大量の小魚を獲ることで、海の生態系にも影響を与えたりするという。
人口増だけでなく、一人当たりの魚の消費量増加によって、漁獲量は右肩上がり。
2、希望の光!?環境再生型養殖
そもそも海の資源は有限なのでこの人口増に伴う乱獲に生態系の修復スピードは追いつかない。
かといって食べる魚を養殖しまくれば良いわけでもない。
えーじゃあ魚食べないようにするしか道がないじゃん。。という結果にいきついてしまいかけたのだが、『環境再生型養殖』というものを見つけた。
農業だと、アグロフォレストリーや、自然農法・協生農法という生態系に負荷をかけない自然環境に合わせた農法が広まりつつあるし、消費者の意識も高い。それにくらべて漁業の世界はまだまだ。。。
そんな時にこんな物を発見した。
カキやアサリなどの二枚貝類は、海水をろ過し、プランクトンや有機懸濁物を餌とすることで海水を浄化する働きがある。特に養殖のカキやホタテ貝、アコヤ貝(真珠)などは、筏からカーテンのように吊るされているため、効率よく海水をろ過する。
3、牡蠣と海藻のメリット
牡蠣と海藻のポテンシャルはこんな感じ。
・海藻は成長効率が良い。
・海中、大気中の炭素を固定する。
・牡蠣は、1日に114〜189リットルの水(窒素)を濾過する。
・亜酸化窒素はCO2の300倍近く強力な温室効果ガス。主な窒素汚染源は農業肥料の流出。この窒素の多くは海に流れ着き、水中の酸素濃度を減少させる。
・牡蠣は、天然の防波堤となる。
・ムール貝、牡蠣、アサリなどの貝類は、餌、肥料、新鮮な水といった材料が全く不要で、地球上で最も持続可能な形で食物生産を可能にする。
・複作ムール貝、牡蠣、昆布を海中に縦に並べて養殖する。
・海藻が海水中のリン、窒素を吸収し海の浄化が進む。
ニューヨークのTEDでケイト・オルフさんが牡蠣の素晴らしさにおいて熱弁をしており、わかりやすいのでみて欲しい。
4、食当たりの原因?
問題は、牡蠣が吸収した窒素は分解されているのかという話。牡蠣の食当たりが多い原因がこの海洋の毒素を吸収し分解しきれず体内に蓄積している可能性もあるのだ。
もしその場合、闇雲に牡蠣を育てて食べていけば良い、という単純な話では無くなってくる。
この辺りについては、もう少し調べる必要がありそうだ。
【参考サイト、資料】
●ポール・ホーケン(2020)『DRAWDOWN』山と渓谷社
●WWFお魚ハンドブック:https://www.wwf.or.jp/campaign/pamphlet/SeafoodHandbook_200914_Watermark_lock.pdf
●Patagonia『環境修復型養殖:史上最高の漁業』 https://www.patagoniaprovisions.jp/pages/regenerative-ocean-farming-the-least-deadliest-catch
●水産庁『漁業活動による環境保全』 https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/tamenteki/kaisetu/gyogyou_katudou/
●Green wave : https://www.greenwave.org/
●都市の環境汚染を解消する鍵は牡蠣にあり:ケイト・オルフ https://www.tedobu.com/entry/oyster-city
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