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修験道、大峯奥駈道をつっかけサンダルで歩いたら左足の甲が腱鞘炎になった話。

あれは2017年の晩春だった。カヤッカーになる夢破れ西表島から本州に逃れるように帰還した俺は、なにか一つ区切りをつけ家に戻りたいという思いに取り憑かれていた。一つ「よし、やったな」という充足感を得たかったのだ。

時間は十分にある。頭の中のやりたいことリストをザーッと眺めて浮かび上がったのは、『大峯奥駈道』を歩くことだった。

『大峯奥駈道』、それは奈良の桜で有名な吉野から山の中を峰々をつなぎ、和歌山の熊野大社まで歩く約80kmの修験道。シェルパ斉藤の「厳選トレイルガイド」を読んでから、いつか歩こうと思っていた道だ。

石垣島からの飛行機で関西国際空港に降り立った後は大阪の心斎橋近くのゲストハウスを拠点にうろちょろしていた。そのさなか、西表島のジャングル源流の生水を飲んだせいなのか、急性胃腸炎を患い、30分間隔で襲ってくる腹痛の合間を縫って点滴をうちに行き、1週間ぐらい病んでいた。

体調が回復して外に出歩けるようになって来た時、買い出しにでかけた。

西表島に持っていった70Lのバックパックは既に家の方に宅急便で送っていたので、登山装備はないにに等しい。まずは装備を揃えなければならない。

まずはザック。家にある普段使いのリュックがボロボロになっていたのを思い出し、世代交代も考慮して、普段使い出来そうでかつ山にも持って行けそうなものを探した。結果、コロンビアの2気室23Lバックに落ち着いた。軽く防水加工で防水ジッパー。スノーボードの板を取り付けられそうなバングル付き。(未だに使いこなせていない笑)

あと大峯奥駈道の地図。ありがたいことに大峯奥駈道専用の地図が山と高原地図が発売されたいた。

リハビリとして六甲山に登った。70歳くらいの背の曲がったおばあちゃんが、背に手を回して急な下り坂を慣れた足つきでひょいひょい下っていたのが印象的だった。ゆっくり歩いてナイトハイクになったが、兵庫、大阪の夜景と大阪湾が綺麗だった。

よし歩けそう。足元の装備はつっかけサンダルと普段履きの靴があったのだけど、修験道だしせっかくだからとサンダルで歩くことにした。(安直だなぁ笑。)

最終的な装備は、ザック、サンダル、ズボン、シュラフ、ヘッドライト、折りたたみマット、上着、食料、地図、帽子、雨具、ジェットボイル、クッカー、米。テントなし。多分こんな感じ。

まだ肌寒くて、雨が降ったら低体温症危うし装備。晴れを祈る神頼み。若気の至り。やったれ、なんとかなる精神。で出発しました。西表島でジャングル暮らししていたから気が強くなっていたよね、この頃。(急性胃腸炎になったこともう忘れている笑)

まずは奈良へ。鹿に会いに。東大寺も見物。

橿原神宮前駅まで電車に乗ってそこからハイキング開始。てくてく20kmくらい。吉野まで歩く。吉野大橋を渡る前後に役行者の像に対面。身が引き締まる。サンダル歩きも順調。夜分遅く、吉野山駐車場近くの休憩所で雨宿り、近くにいた男性とお話。頑張ってねと励ましの声。ありがとうございますと就寝。朝起きると食べ物が近くのテーブルに置かれていた。私に対してのものだろうか。ありがとうございますと頂く。

雨は夜更けすぎ小雨になり、朝方には止んでいた。天気予報ではこの1週間晴れの予想だ。


サンダルで山を歩いたなどと言うと、「おいおい大丈夫か」、「山なめすぎちゃうか」なんて言葉が聞こえてきそうだが、落ち着いて欲しい。素足に近いサンダルで歩くことで体感する知覚世界は面白く、興味深いのだ。

畑仕事に呼ばれたので次回に続く。

旅先で出会った人に渡す花束代とさせていただきます