じん(自然の敵P)/ “オツキミリサイタル”
※本記事は2013年7月3日よりレビューサイト「DAIM」にて掲載していたものです。
私は「如月アテンション」が好きだ。
それはもう、昨年末にセレクトした2012年のVOCALOID10選に選んでしまうくらいに。それはもう、当サイト公開当初にレビューを書いたくらいに。だから、同じ如月モモをフィーチャーした曲がまた公開された(と言っても、曲自体は作者の2ndアルバム「メカクシティレコーズ」で発表済みだが)と聞いて、期待を膨らませて観に行った。それが、ほんの数時間前の話――。
再生ボタンをクリックして数秒、グロッケンシュピールによる「如月アテンション」の主題が静かに流れる。聴き慣れたキャッチーなフレーズを聴きながら、さあここから何が来るかと身構える私。そしてかき鳴らされるギター! 進化し続けているじんさんのバンドサウンドは、かつてよりも刺激的でメリハリがあり、実にロックだ。大好き。
そして飛び出してきたのは、オルガンによるイントロ。更には「如月アテンション」で効果的に用いられていた、あのパターンによく似たシンセフレーズ。この時点で直感する、これは明確に「如月アテンション」を意識した楽曲なのだと! ボーカルが歌い始めると、ますますその傾向は露わになっていく。コード進行もフレーズの構成も、あらゆるところに旧作が踏襲されている。歓喜。
――とまあ、そんな感じで、かなり熱狂的に聴いていたのだけれど、旧作と明確に異なる点に少しだけ気付いたので書いておく。
1つ目は、ブラスセクションの活躍。旧作では全く用いられていなかったブラス群が楽曲全体を華やかに彩ることで、よりブラッシュアップされたように感じる。
もう1つは、転調の多用。こちらも旧作では用いられなかった技法だ。サビのアウフタクトで転調し、9小節目でもう1回転調する爽快感がたまらない。さらにラストサビでは、もう1段上の調で始めるというダメ押しまでなされている。ここまでされたら、もう感動しないわけにいかないじゃないか!
そして忘れずに、映像面も推しておく。これも旧作と同じ、わんにゃんぷーさんによるアニメーションMV。キネティックタイポグラフィを用いた紙芝居的な動画が多い昨今で、このようなアニメーションMVは一見の価値がある。ストーリーを読み取るのが苦手な私でも、このMVのおかげで自然と夢中にさせられた。こういうの何て言えばいいんだっけ?
……ああそうだ、「目を奪われた」。
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■music: じん(自然の敵P)
■bass: 白神真志朗
■drums: ゆーまお
■movie: わんにゃんぷー
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