塞いだ耳に嗤う楽園㉗ 惨めさ
この女子たちの会話が聞こえだす少し前。
私は修学旅行の夜の罰ゲームの電話のことを、瀧澤や小曾根に言った。
その後の峯と倉木の電話や男子の部屋の状況のことも。
私があまりにD組のことを辛辣に罵り忌み嫌うので、彼らにはその理由を言う必要性があった。
「それはキツい」
「え、まだあるの」
「お前…よく生きてるな」
高校生にはキツい話らしい。
この話は、私たちの周囲で広がった。
かわいそうな奴、モテない奴、惨めな奴という位置付けになった。
それはそうだろうな。
「アルビン罰ゲームの告白されたんだろ!」
楠木(くすのき)が笑いながら言ってきた。
元G組だが、理系に進路変更をした為に3年から理系クラスに編入した男子生徒だ。
私はもう、3年の全ての行事が終わったこの段階でも受験勉強を全くしておらず、理系とか文系どころの騒ぎではない状況だったが、どうせなら理系に変更してクラスを変えるのも一手だったかもしれない。
「『ごめんね~罰ゲームなの~』って言われたの?」楠木は笑いながら言う。
「そんの軽い感じじゃないよ」多少の鬱陶しさもなくはなかったが、まだ笑いにしてくれる方がありがたかった。哀れみは辛い。
思い描いていた青春…めちゃめちゃになったな…。
私がこの話をしたことは私の周囲には広がっていったが、その中には北嶋がおり、石割たちがおり、堤芽依がいた。