日記 #44

もう10年ぶりになる。前に個展を観たのが2008年。京都伊勢丹の“えき”で開催されていた時だ。規模感で比べても、今回は大阪の天保山にある“大阪文化館”ということで大きくスケープアップしている。

今日、前の職場の先輩と『木梨憲武展 timing -瞬間の光-』に行ってきた。

歴史に名を残した画家の作品や現代アートの作品を鑑賞すると、技巧に圧倒されたり、前衛すぎて咀嚼できないまま飲み込むことになったりして疲れてしまうこともある。でもそういった、アーティストの「ストイックさ」が観る人の心を打ったり、創造力の源泉になることも事実だ。

ノリタケさんの作品には、ルーブルに飾られている肖像画のようなえげつないほどの立体感や、原美術館で開催される個展を観るときの脳みそが汗をかく要素はない。観ていると、技術的な高みを目指すとか新しい表現を突き詰めるといった気負った感じはなくて、とにかく楽しみながら、ワクワクしながら創作していることが伝わってくる。そう、ノリタケさんの作品の1番の魅力は「ストイックさのなさ」なのだ。

他のお客さんの様子をみてもムズカしい顔をして作品とにらめっこしている人なんかはいなくて、やっぱりみんなニコニコしていた。多分テレビでノリタケさんをみる時も同じような顔をしてみているんだろう。「芸人」と「アーティスト」、僕らはついつい別の仕事としてみてしまうけど、本人からすればやり方が違うだけで、人を笑わせたり、喜ばせたりするっていうのは変わらないんだろうな。

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