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湯種と湯ゲルとお粥と甘酒(パンにおける日本とドイツの穀物の下処理の方法)


製法コースの4回目の内容をリニューアルしました。
いわゆる「湯種」(熱湯でお湯をこねるいわゆる「狭義の湯種」ではなく、
澱粉をアルファ化させた種という「広義の湯種」として伝えるために内容を追加して再構築しました。文章で読むと理解しにくいのですが、色々なレシピを挙げたりしながらレッスンでは考えていきたいと思います。

「湯種」とはいったい何をしているのでしょうか?上にも記載しましたが澱粉をアルファ化させるわけです。アルファ化とは何?というと「糊化(α化)とはデンプンを水と加熱することで,デンプン分子が規則性を失い,糊状(α状)にな
ることです」と定義づけされているようなのですが、要は、人間が食べやすい状態になっているというのが分かりやすいでしょうか。
生米と炊いた米(アルファ化したでんぷん)の違いです。
湯種の作り方もすごく色々あります。
・粉は?
・お湯の量は?
・お湯の温度は?
・どれぐらいの量を湯種にするの?

現在、ネットなどで「湯種」のレシピは本当にたくさんあります。
じゃあどれが良いレシピなの???
どのレシピで作ったら良いの???

などなど。情報が多いということは迷う要素も多いのです。

「湯種」と呼ぶ人もいれば「湯捏ね」という人もいる。
何が違うの?何が違うっと思いますか?

どんどん湯種が進化しています。
そして「湯ゲル」というものが出てきました。
湯ゲルって一体何?

そもそも、湯ゲルみたいなゆるい湯種は志賀シェフがやっていました。
その名はなく「あえていうならスープ湯種かな」と言っていましたが、ネーミングがイマイチでバズらなかった・・・。その後、満寿屋商店と帯広畜産大学の共同研究で開発された(『炊き種®』の名称を許可なく商業利用することはできない)がありますが、商標登録ということでみんな敬遠してしまうことになる。(商標登録ならそんな製法やらないってわけです)。

ドイツには穀物の下処理として色々ありました。
メールコッホシュトゥックはスープ湯種や炊き種みたいに水が多く自らじっくり均一に火を通していくやり方です。

志賀シェフは温度が大切ということをおしゃっていた気がします。
要は、その「湯種」に何を求めるか。
「アルファ化」なのか、アルファ化を程々にして「酵素」や「グルテン」を残したいのか。それによって選ぶ粉も違うし、澱粉の種類も違うのかもしれない。

要は穀物の種類、穀物以外の澱粉をもつ植物の澱粉の下処理という広い考え方をすると色々面白い。
糊化する温度も、完全糊化の温度も違う。

「酵素」というキーワードが入ってきて色々考え方が変わるのです。
敷島(パスコの超熟は湯種)の企業の特許の論文があって読むと温度についても色々言及してあった。

完全アルファ化すると何が良いのか。
消化吸収という観点からすると「おかゆ」と言ったところでしょうか。
完全アルファ化ではなく、
均一に不完全なアルファ化という考え方をするのが「湯ゲル」なのだと思う。
均一に不完全なアルファ化をして酵素を働かせる。
それがアロマシュトゥック(ドイツの製法)がある。パンに使うということでなければ日本にも「甘酒」がある。要は酵素で澱粉を糖化させてから、酵素が失活する温度で似ていくのです。

湯ゲルは酵素をわざわざ失活させないので、パンに入れた時に「酵素」に動いてほしいという願いなのでしょう。そのためには「何度」で行う?「どのこなを使う?」などなどをまとめました。

湯種に何を期待するのか。
湯種と呼ぶべきか
湯捏ねと呼ぶべきか
湯ゲルなのか
アロマシュトゥックなのか
甘酒なのか。

自分でその判断ができたら、すごく有効的にでん粉を糊化させた種が出来上がるのだと思います。

そんな考え方をアルーチではしっかりと伝えていきたいと思います。
その後の理論コースや、食パンコースでも「湯種」「湯ゲル」の考え方は出てきます。

実は、湯種は「そんなもちもち好き??」とか「高加水」疲れしてしまって必要最低限しか作ってきませんでした。でもドイツの製法を学んだりすると、ちゃんと向き合った上で少量入れる隠し味程度に使うなどの色々な可能性を感じるようになりました。

また、たるてぃんべーかりーの本には「おかゆ」みたいなアプローチがありました。広義で捉えると本当に可能性のある湯種(あえて湯ゲルも湯種の一部としてとらえる)ととても面白いと思います。

そのためには、糊化開始温度・糊化完了温度をちゃんと把握して、
その中でどれぐらいの温度でどのように湯種(広義)でを作ったら良いのか。

小麦の温度が
60度以下
60〜70度
70〜80度
80〜90度
それ以上で湯種の考え方がかなり変わります。皆さんは何度で湯種を作りますか?
何度が正解で何度が間違いということはありません。
自分がどのような種を作りたいかによって違ってくるのです。

レッスンでは、いわゆるシンプルな「湯種の食パン」と「湯ゲルを使った食パン」を作ります。湯ゲルの食パンの動画を作ったり、新たに穀物の下処理(湯種・湯ゲル・メールコッホシュトゥック・炊き種・湯捏ね・アロマシュトゥック・甘酒・ご飯・・・・・などなど)をまとめて話した復習用の動画も作りました。

そんなことをアルーチの製法コースでは伝えていきたいと思います。
ご興味のある方はお問い合わせください。


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