指先だけが繋がる手と手。前に伸びる大小の影。
少し肌寒いが暖かい風は頃合いだというように私たちの間を通り過ぎた。
どちらともなく手が離れ、影は別々に歩きだす。
一歩一歩離れるたび決断を鈍らせ、私はつい振り返る。
自分の将来へ迷わず進む彼の背中はそのまま雑踏の中へと消えていった。
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