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“コラボ”コンピレーションアルバム「キメラ」全曲試聴実況感想


はじめに

 本記事を読んでいる方には説明不要かもしれないが、10/15に「キメラ」という12名のボカロPの“コラボ”コンピレーションアルバムが出た。これはかなり有名な方々が集っているもので、ちょっとした事件でもある。ボカコレでボカロ熱みたいなのも入り音楽の一部としてボカロを聴いている端くれとしてふいに思い立って、全曲のレビューを書いてみたのがこれです。全曲通しても30分くらいで聴けてしまうので、実況形式で感想を書きます。かなり荒ぶっている感じですが、臨場感があるということでご了承ください。



フランケンX/煮ル果実×はるまきごはん

 イントロを聴くと煮ル果実氏よりのはるまきごはん調声だろかという印象。ねっとりしたリズムやアコースティックギターが煮ル氏っぽいですね。2番Aメロでちょっとはるまき氏っぽくなった!この切り替わり方が違和感なくてすごいです。アコギの音もあっていると思ったら2番のサビでまた戻った。掛け算だ~。宇宙人感を出すこともできる煮ル氏もはるまき氏もすごい


スーパーノヴァ/Aqu3ra×かいりきベア

 作詞はAqu3ra氏らしい。最初からゴリゴリのギターがかいりき氏で笑ってしまった。BメロでちょっとAqu3ra氏になる。2番の入り、ささやくようなリリースカットピアノと強いビートがあっていてすごい。Cメロすごい、完全にAqu3ra氏か、と思ったけど徐々にかいりき氏っぽい疾走感で終わっていく。アウトロがギターソロじゃなくてシンセソロなのAqu3ra氏っぽさがある。これは本当にどちらかひとりでは作れない曲ですね。ピアノの旋律とバキバキのギターリフがこれほど綺麗に融合してしまうの、とんでもない


ニュートンダンス/ナユタン星人×Chinozo

 イントロの旋律から中毒性がすごく、これは両者のいいとこどりをしたようなメロディーですね。ナユタン氏はバンドサウンド、Chinozo氏は打ち込み主体でギターリフがすごいという印象ですがここからどうなるんだろう。Aメロのドラムとベースだけ、Bメロの手拍子、サビの後の掛け声、天文用語入りの歌詞、ラスサビ転調がナユタン節ですが、裏でなってるピアノがChinozo氏っぽい。ミクとflowerが掛け合いしてるみたいなのも愉快でよい。間奏のギターソロやばすぎる。これは打ち込みギターのナユタン氏では絶対に見られない軽快なリフですね…!ナユタン氏のエッセンスが詰め込まれた中毒性、Chinozo氏のギター技術やピアノリフなどの良さが融合してる。


サクラノタトゥー/一二三×ピノキオピー

 実は事前にMVで聴いてましたが、書きます。和風っぽいメロディーに力強さと軽快さを伴うギターが一二三さんらしいけど、歌詞の皮肉はピノキオピー氏。サビの裏で鳴ったり、イントロのコロコロした旋律は音の質感はピノキオピー氏で、メロディーは一二三氏。皮肉な歌詞を一二三氏のウナの声に乗せると自然とあっけらかんとした響きに聞こえるの、不思議な味わいでよい。Cメロの混沌感よいですね。サビの繰り返しで耳から離れなくなるのはピノキオピー節。ここまで和風っぽいメロディーに振っているピノキオピー氏もなければ、電子音を多用する一二三氏の曲もなかったわけで…すごい


共犯/和田たけあき×てにをは

 歌詞はてにをは氏、作曲は和田氏なんですね。ゆっくりめのテンポなの、ここまでの曲の流れでいい感じです。Bメロ入り前のピアノリフ、てにをは氏らしい~。サビで加速して解放されて和田氏らしさが入ってくるのよい、2番で和田氏の調声になったの、2人の関係性で「共犯」っぽい。たぶん鏡音リン?と音街ウナ?の声質って結構合うのだな…。2番のBメロ後の旋律、てにをは節と和田たけあき節の効いたひねくれ感・奇矯さがあるな。絶えず和田氏のギターが右のほうで鳴っていて、怪しさと軽妙さがあるのよい。実物は買ってないのでぜひ買って、てにをはさんの歌詞を見たいです。


ロールレスウエポン/稲葉曇×Neru

 イントロのシンセの旋律が稲葉氏、でもギターの感じはNeru氏らしい。Bメロで歌愛ユキの声に切り替わるの鳥肌立つ。サビもそのまま鏡音レンより声の主張弱めな歌愛ユキが担当するのやばすぎる。抑え目なサビいいですよね。2番のBメロ、コード運びは稲葉氏っぽいけどギターリフがNeruさんらしい。Cメロ?のギターの音、ミュートの音は完全にNeru氏、ラスサビでついに鏡音レンになるのやばい。「残念なお知らせ」という歌詞の語彙、稲葉氏っぽさがあるけどどうなんだろう、両者作詞を担当しているらしい。ラスサビの解放感でNeru氏らしさが増してる、でも終わり方の唐突さは稲葉氏を感じさせる。全体的にコードの感じ(音楽理論は詳しくはないけど)が稲葉氏らしいけど、ギターのリフはNeru氏を感じさせる曲ですが、この灰色感と増された疾走感の融合があまりにも魅力的な曲だった。衝撃。


運命/はるまきごはん×煮ル果実

 これはすでにMVがあったので何回も聴きましたが、改めて書きます。これは「フランケンX」と対比してかなりはるまき氏色の強い曲ですね。1番Aメロでflowerに切り替わるのは初めて聴いた時の鳥肌がすごかったですね。一気に盛り上がり、これがサビなのか、という衝撃も強い。右と左で2人でギターを担当するのもまさに合作の醍醐味がありますね。ブレイクビーツっぽい複雑なドラムはいま聴くと煮ル氏っぽい。最後にかけて爆発していくようなギターの高まり、本当にすごいな…そこにはるまき氏の神秘的な声のミクが融合するという発見、素晴らしいですね。


ダンスロボットダンスアレンジメドレー(キメラver)/はるまきごはん×煮ル果実×和田たけあき×栗山夕璃(蜂屋ななし)×じん×かいりきベア×てにをは×Chinozo×ピノキオピー×稲葉曇×一二三×Aqu3ra×Neru×ナユタン星人

 イントロははるまき氏、響くギターが良いですね。煮ル氏は声の癖がすごい。和田氏、ギターの密度と緩急すごい。蜂屋氏でいったん別物になる感じ、この長さでスイングっぽさを入れてくるのすごいですね。じん氏はミクの声、蜂谷氏とのつなぎで際立つ解放感、最後のドラムのはじける感じがいい。かいりき氏もギターリフの密度がすごいのと、掛け合いのリズム感もよい。(ここから未知の領域)てにをは氏は間奏だけなのにここまで妖しい個性が出せるのすごいな。Chinozo氏はキラキラしてるのと、裏の小さなギターカッティングとピアノがよい。ピノキオピー氏はまさにぴったりな電子音とミクの機械っぽさのある調整が際立ってる。ここから稲葉氏になるのやばすぎるしかなり短いけどギターの音作りなどで一気に氏らしくなった。一二三氏の重めな疾走感、、ここまでの流れるようなつなぎ素晴らしい。ここからAqu3ra氏のビルドアップ、Cメロに幻想的な氏を持ってきた采配良い、Neru氏、ストリングスのアレンジと最後のクリシェっぽい感じがよい。ナユタン星人に戻ってきた!


さいごに

 寝る前に書きましたが、大興奮して眠れなくなりそうである。どの曲もどちらか片方では絶対に作れなかったものばかりだと思うので、とても価値があると思います。ほかのボカロPの方々も軽率にコラボしてアルバムを作ってほしいですね。かつてバルーン氏と有機酸氏が一緒にアルバムを作って互いにアレンジしたり、東洋医学氏とアボガド6氏がアートワークで互いの作品をオマージュしていましたが、ああいうのがもっと見たいです。そのアルバムはまだ聴けてないのですが…。当然作る側は楽でないだろうし、お金がなければ企画できないのはそうだし、裏側を見たいのでアルバムを買おうか真剣に考えています。ありがとうございました、おやすみなさい。


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