Potage
~プロローグ~
男はキッチンの片隅に立ち尽くしていた。
虚ろな目でただ一点を見つめながら。
【Potage】
「ナニカコマッテイルノカイ」
僕が困っているように見えるだって?
ああ、そうさ。
確かに僕は困って、
いる。
なんだって?
何に困っているのか?
僕にそう聞いたのかい。
それはつまり、僕がどうして困っているのか。君はそんなことが聞きたいっていうのかい?だとしたらどうかしてるぜ、君は。
だってそうだろ。そんなこと、今の僕を見たら直ぐに分かるじゃあないか。
いいかい。僕は右手に何を持っている?
ああそうだよ。ポタージュさ。玉ねぎをたっぷりと使ったポタージュを僕は右手に持っている。
そして左手にはトーストさ。外はカリカリ中はフワッとしたトーストをね。
そして今僕は困っている。とても。
だってそうだろ?両手が塞がっちまってるんだぜ。
これから僕はどうしていいのかさっぱり分からないんだよ。
ポタージュはいいさ。スープ皿によそっているからね。問題はトーストなんだ。ほら、今僕はトーストを直に持っているだろ。僕はこのトーストを皿に乗せたいんだ。ところがどうだい?この、両手が塞がった僕は食器棚から皿を出すことさえ出来やしないんだよ。これで僕の困っていることが分かっただろ。
「ソンナノカンタンナコトジャナイカ」
なんだって?君は簡単なことだって言うのかい?
この状態で皿を食器棚から出すことが簡単だって言うのかい?だとしたら教えて欲しいもんだね。
その解決法とやらをさ。
「コウスレバイインダヨ」
その手があったかァァァァ!!!
~エピローグ~
いや、テーブルに置かないでそのまま食べた方がよかったんじゃね?
【3秒ルール的なやつ】