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最後の海賊

 遠くで雷鳴が轟いていた。真っ黒な空はまるで私の行く手を阻んでいるようだ。ポツポツと降り出した雨はみるみるうちに豪雨となり、次第に強くなる風とともにうねりだした波が容赦なくこの小さな帆船を揺らし始め、やがて床に立っていられない程船体を大きく傾けた。

『転覆』
 
 
 脳裏に浮かんだ危機を回避するため、帆を畳もうとデッキに出た私は目の前の景色に慄然とした。大きな波が壁となり、まるでビルのようにそそり立っているではないか。

もうダメだ.....

 大きな波によって木っ端微塵に打ち砕かれた小舟。
私は恐怖と共に、暗い海へと飲み込まれていった。


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「おい、兄ちゃん大丈夫か おい」
暗闇の中、朧気おぼろげに声が聞こえる。これは夢なのだろうか。自分が目を開けているのか閉じているのかさえ分からない。
「おい、しっかりしろ兄ちゃん 分かるか おい」
今度ははっきりと声が聞こえた。助かったのか、、私は!
「船長!この兄ちゃん生きてます!生きてますぜ!」
ぼんやりながらも段々と男の姿が見えてきたことに私は安堵した。
助かったのだ。しかしあんな嵐の中、どうして助かったというのだろうか。「一体どうして......」
私の問いかけを遮るように男は穏やかにこう言った。
「兄ちゃん、危ねぇとこだったんだぜ。俺たちが通りかからなきゃ恐らく助かっちゃいないだろうな。まあいいさ、ひとまずこれで体を温めるといい。極上のラムだぜ」
「ありがとうござ.....」

「そんなこたぁいいんだよ兄ちゃん。とにかく体を温めるのが先さ。あっ!ほら、あれがこの船の船長さ!」

 

「ま、、まさかあなたはあの有名なジャック......」



「え?ワシ??いやいやいやいやそんなんちゃうわ。ジャックはジャックやけどもな、ジャック違いやんか。」











最後の海賊の図


「ワシ、ジャック☆スパ郎ゆうねん」







【おしまい】