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「灰の中から立ち上がろう!」イラクの歴史学者はなぜ本を集めるのか?

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(インタビュー:2019年2月)

”街に本を。灰の中から立ち上がろう!” 
“Let it Be a Book, Rising from the ashes”-Mosul Eye

みなさんは、世界には紛争によって苦しんでる人々がいるということを知っていますか?そんな中、砲撃された図書館を建て直すため、身を危険に晒してまで行動した歴史学者のオマーンさんにインタビューをしてきました。

ムハンマド・オマーンさんの紹介

1986年生まれの32歳です。イラク共和国の中のモスルという街で生まれ育ちました。Mosul Eye(モスル・アイ)というブログの執筆者で、歴史学者でもあります。

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子供の頃、学校は刑務所のような建物と怒った先生がいる怖い場所だと思っていました。小学校の入学式の日に学校の壁に植物や動物の絵が描いてあるのをみて、先生も優しく友達もできてその日から学校が大好きになりました。

家族は、両親と自分をいれた十人兄弟、合計12人です。オマーンさんは丁度真ん中の5番目で男5人、女5人の兄弟姉妹です。

・歴史学者になる前は?

歴史学者になる前は、電化製品のお店、グローサリーストア食料雑貨店やパン屋さんで働いたことがあります。本を読むのが大好きで過去の歴史、特に中東の歴史について知識を得るのが面白くて歴史学者になりました。

オマーンさんの歴史学者の定義

歴史学者とは、過去の歴史から未来のことがみえる人だと思います(歴史学者の仕事をしているうちに未来がみえるようになります。)
実際にやるのはリサーチをして論文を書き、他の学者と意見交換や討論をしたり、大学生に歴史を教えてコーヒーを頻繁に飲み(注:全ての歴史学者はコーヒーなしでは生きられません!)、夜は図書館から借りた多くの本を読み、時には本を執筆します。今も中東の歴史学の博士号をとるために日々勉強中です。

オマーンさんは、歴史学者は未来を変えられる知識、責任を持っていると考えています。そのため自分の知識を未来が良くなるように活かし、行動する必要があると思っています。

イラクってどこ?

イラク、またはイラク共和国は中東の国です。トルコの南、イランの西、シリアの東にあります。日本からイラクの首都バグダットへは、ドバイやイスタンブールで乗り換え約16〜17時間のフライトになります。
人口は約3800万人です。日本の人口が約1億2千万人なので日本の約3分の1の人口サイズになります。

イラクはどこ?

モスルってどこ?

モスル(英:Mosul)はイラクの北部にあるイラク第2の街のことです。モスルは、紀元前からの古い歴史があり、交易も盛んで様々な人種、言葉、文化がまじりあう場所です。アラブ人、トルコ人、クルド人、アッシリア人、アルメニア人などが住んでいます。
モスルは、首都のバグダットから約400km離れています。日本でいうと東京ー大阪(約500km)の感覚になります。

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戦闘前のモスル

Mosul Eye(モスル・アイ)の紹介

モスル・アイとは、ISIS(イスラム国とも呼ばれるが実際の国はない)に支配されたモスルの街の様子を世界中に発信するブログ、ウェブサイトです。ISISとは、イスラム教を独自に解釈した集団で、攻撃的な考え方を持っています。ISISがモスルを支配していた2014から2017年の間に、多くの破壊活動がありました。オマーンさんの大学の図書館も爆撃で中にあったほとんど全ての本が焼けてしまいました。

私は、飯野真理子さんの記事(記事はコチラ)を読んだことをキッカケに、本を読めない状況をなんとかしたいと思いました。なぜなら私も本を読むのが大好きだからです。通っている学校で”モスル・アイ プロジェクト”を実施して生徒や先生、保護者から寄付する本を集め、ダンボール3箱をイラクへ送りました。

その連絡のやり取りの中で今回、TANQ-JOBのためにインタビューする時間をオマーンさんにもらえることになりました。

ISISがモスルを支配していた時のことを尋ねてみましたが、話すのが難しそうでした。反対に日本の戦争時のことをオマーンさんに聞かれましたが戦争を経験した曾祖父母は私が生まれる前に亡くなっていて戦争を知っている人から直接話を聞いたことはないと返事しました。「戦争の怖さをしらないのはいいね」、と言われました。

ISISとイラク軍とのモスルでの戦いは、たくさんニュースが出ているので”モスル奪還作戦”などのキーワードで見てみてください。描かれている場所は違いますが、アニメ映画『The Breadwinner(原作邦題:生きのびるために)』も参考になるのでNetflixなどで探してみてください。


"Mosul Eye"は「モスルの目」という意味で、ISISがモスルに来た2014年6月から、モスルの状況をを世界に発信しています。

オマーンさんはISISについての噂やモスルでの行動を見て”文化がなくなる”、”将来の人々のために文化を守る必要がある”と思いモスル・アイを匿名で始めました。しかし、それは自分の身を危険に晒す行為です。すなわち、ISISから狙われるということです。

危険があるのは承知で、自分がやらないと自分たちの文化、モスルの文化がなくなると思い行動したそうです。今も身の危険があるため、故郷に帰りたいけど帰れないそうです。そのためイラク国外で生活しており、貯金が続けばいいな、と言っていました。

オマーンさんよりメッセージ

日本の皆さんへ、私たちは現在モスルの図書館を立て直すために世界中から本を集めるためのキャンペーンを行なっています。どの言語、ジャンルでもいいので、あなたが送ってくれた本がモスルの図書館たちの復興に繋がります。

モスル・アイのホームページはこちら

(イラクの人々は日本語が読めないので簡単な絵本、紙芝居、折り紙と写真入りの折り紙の折り方が説明されている本、漫画やアニメなどが一番喜ばれると思います。)

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モスル・アイへ本を送りたい人たちへ

Addressと書いてあるところが送り先です。送った後に(できれば英語で)メールアドレスに送った本の数と簡単な自己紹介を入れて送信してください。その後ここのRegister Your Donations.というところで名前、国籍、本の数、本の言語とモスルへのメッセージを入力してください。

モスル中央図書館は戦闘中になんども攻撃のターゲットになり、2016年にISISに砲撃、破壊されて中にあった約80万冊の本の内70万冊が焼けてしまいました。その図書館の復興作業は主にモスル大学の生徒たちや、街の中の若者たちによって進められています。

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モスル中央図書館の復興作業の話を聞いた子供達

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 砲撃を受けて破壊されたモスル中央図書館内部

オマーンさんからのメッセージ

"Make sure that you have the freedom of thought, action, develop, to change.
Make sure that you feel you are free! Many children doesn’t even have the freedom to think what they want."

日本語:毎日、あなたが考え方の自由、行動の自由、作るもの・替えるものの自由があることを確認してください。
あなたが毎日自由だと感じられることを確認してください。世界には考え方や感情の自由さえ持っていない子供たちもいます。

世界には今も紛争によって苦しんでる人々がいます。この記事を読んで、みなさんが少しでもこのような問題について、考えるきっかけになるといいと思います。
この記事を通して日本でもモスル・アイの本を集めるキャンペーンをサポートしてくれる仲間が増えることを願っています。

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