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decent

decentなパン

慶子さん、こんにちは!
今日はdecentという言葉についての質問です。
私が初めてこの言葉を知ったのは、友人がワッツアップで送ってくれたメールからでした。
その友人はその日の朝、パン(カンパーニュ)を作って
わざわざ我が家に届けてくれたところで
それが中はモチモチ、外はぱりぱりという、途方もなくおいしいパンと
わざわざもってきてくださったことに感動して
御礼のメールを差し上げたところ、このようなメールが返ってきました。
そこには…


Hope you enjoy it. It's not my best bake,but hopefully is decent enough and makes your family happy!

そこで、decentという言葉を辞書でひいたところ、私の辞書には、満足できる、立派な、親切な、優しい、寛大な、きちんとした…と出てきて
それ以来、decentは、あの素晴らしいパンと紐づけて覚えられているのですが、なんかちょっと違うものと紐づいてしまった感覚もあって 笑
慶子さんのイメージが聴いてみたくなりました。
慶子さんにとって、decentって、どんなイメージなんでしょう?
また聴かせていただけたら嬉しいです。
そして、いつも役立つだけじゃなくて、元気になるエッセイを
本当にありがとうございます。
日本は明日からGWですよね。
こんな時期ですけれど、素敵な時間がたくさん詰まったGWになりますように!
いつも愛と感謝を込めて!
藍子 拝

追伸
このねこちゃんは、あの絵画界の巨匠ゴッホが描いたねこちゃんです。
立派なねこちゃんということで選んでみました笑



decentはちょっとクセもの?

あいちゃん、こんにちは!

「中はモチモチ、外はパリパリという、途方もなくおいしいパン」を届けてくれるお友達がいるなんて、羨ましい〜!

そしてそのお友達は、この途方もなくおいしいパンのことを「decent」と表現し、あいちゃんの中で、このパンとdecentが紐づけられたけど「なんかちょっと違うものと紐づいてしまった感覚」もある。

うーん、なるほど・・・。


あいちゃんが辞書で調べた通り、decentは一般的に「良いもの」を示す意味で使われます。例えば「he is a decent man」(彼はきちんとした人だ)など。

お友達からもらった「途方もなくおいしいパン」は、恐らくwonderful! delicious!  very good! など強調してビックリマーク「!」つきで素晴らしさを表現するくらい美味しいのであろうと想像するのだけど、私はdecentにビックリマークがついているのを一度も見たことがありません。あいちゃんが感じた「なんかちょっと違うものと紐づいてしまった」感覚は、なかなか鋭いです。さすがです!


“decent”の思い出

このdecentという言葉を聞くと今でも思い出すことがあります。

私はもともと不登校で、逃げるように海外に飛び出しアメリカの大学に進学したことは以前にも書いた通りです。入学したのはアメリカ最古の女子大のMount Holyoke Collegeという大学。別に女子大に行きたいと思った訳ではなく、奨学金を出してもらえるのが唯一その大学だったから進学したのだけど、あの時期をアメリカの女子大で過ごしたことで自分の人生観も随分と変わったと思います。

さて、私が入学したMount Holyoke Collegeの隣町に同じく女子大でライバル校のSmith Collegeという学校がありました。ライバル校と言われるだけに女子大である以外にも共通点が多く、常に比較され、「似てるから」と両方の学校を受験する人も結構いました。私の同期の友人もその一人。彼女はMount Holyoke CollegeとSmith Collegeの両方を受験し、結局Mount Holyoke Collegeに進学することを選んだわけですが、それをSmith Collegeの入学事務局に告げた時、返信に「I am sure you will receive a decent education at Mount Holyoke College」と書いてあったと入学後に思い出しながらプリプリ怒って話していたんです。

「Decentって何よ!失礼な!」みたいな剣幕でした。

アメリカ人って日本人に比べてpatriotic(愛国的)な人たちだなといつも思うのですが(歴史的、文化的背景が関係していると思うのですが、それを語り始めるとまた長くなるので本日は自粛いたします・・・笑)、自分の母校に対しても愛着と誇りを素直に表現します。Mount Holyoke Collegeで共に学んだ人たちもそれは同じで、私の友人も在学中から既に自分の母校が大好きだったんですね。そして、自分が愛する母校を「decent」と表現されたことにプリプリ怒っていたのです。

decentは、「良い」という意味を表す言葉の中でも、「悪くない」とか「まあまあ」というニュアンスを伴って使われる言葉です。「良いんだけど、最高とか素晴らしいという程ではない」みたいな。私のお友達は、ライバル校の入学事務局担当者が、愛する自分の母校のことを「decent」という言葉で表現することで、「そっちの学校でも、まあ悪くない教育は受けられるんじゃないの?(我が校ほどではないでしょうけどね)」などという意地悪な返事をよこしたと怒っていたのでした。

注:冷静に考えれば、ライバル校の担当者が本当にそんな意地悪な意味でdecentという言葉を使ったとは考え難いです。ピュアな大学生なので、大好きな母校がけなされたと感じて過剰に反応しちゃったのでしょう。でも、そういう意味にも取れるニュアンスがdecentにはあるという事です。


褒めたいときはdecentは要注意?

ずいぶん脱線しましたが、あいちゃんのお友達の返事に戻ると、きっとその方は謙虚な人で自分が作ったとっても美味しいパンを、控えめにdecentと表現したのでしょう。

なので、あいちゃんがお礼を書くときにはdecentではなく、wonderful!!!!とかsuper!!!とかdelicious!!!などの言葉にビックリマークをたくさんつけて、とーっても美味しかったことを思いっきり表現してあげましょう。

そんな訳で、decentが持つニュアンスを考えると、人に対して使うときは、ちょっと注意が必要です。でも、実は自分のことを語るには便利だったりします。例えば、人から褒められたときに、自分で「Yes,  it is wonderful!」(そう、素晴らしいでしょ!)とはなかなか言いにくいじゃないですか。そういう時は、「Thank you. Yes, I think it is decent.」(ありがとう。悪くないと思ってます)などの言い方をすると、褒めてもらえたことを受け入れながらも控えめな印象を出すことが出来ます。

decentっていろんなところで意外に多く使われているので、アンテナを張り巡らせて面白い使い方を発見してみてね。

では、またね。
Have a great Golden Week!!

追伸

ゴッホが描いた猫ちゃんは何を考えているのでしょう。思慮深い様子がnobleな雰囲気ですね!

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