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Amazon 24'1Q決算内容,Press Release,カンファレンスコール内容

Amazonが24’1Qの決算を発表しました、小売り部門は?広告部門は?注目のAWSは?そして生成AI市場への投資計画は如何に!?。内容を深堀りしていきたいと思います。※個別銘柄に言及する内容が含まれますが筆者の経験と知識を基に見解を述べているもので売買を推奨するものではありません。この先に進まれる方はこの件に同意されたものとみなさせていただきます。


24’1Q決算内容及び2Qガイダンス

Revenue 143.3B(1430億3000万$)Consensus 142.54B Y/Y+12.5%
EPS 0.98$ Consensus 0.83$ Y/Y+216%
北米売上 86.3B Y/Y+12%
国際売上 31.9B Y/Y+11%
AWS売上 25B Y/Y+17%
24’2Qガイダンス
Revenue 144B~149B Consensus 150.1B Y/Y+7%
Operating Income(営業利益)10B~14B Consensus 7.7B


Amazon 部門別売上推移


Amazon サービス部門売上推移


Amazon online,thirdparty 売上推移


Amazon AWS 売上推移(棒グラフ)

まずは北米市場ですが毎期2桁成長と堅調な伸びを見せており安定した収益源になっております。次に海外店舗やアマゾンプライム、アマゾン配送、マルチチャネル・フルフィルメントのThird Party sellerサービスも前年同期比+16%とこちらも堅調。そして2022年から始めたAdvertising services(広告サービス)が前年同期比+24.3%、Subscription services(継続課金ビジネス)も2桁成長、注目のAWSは前年同期比+17.2%の伸びとなった。

Press Release

Amazon.com傘下のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は本日、ソフトウエア開発を加速し、企業の内部データを活用するための最も高性能なジェネレーティブ人工知能(AI)搭載アシスタントであるAmazon Qの一般提供を発表しました。Amazon Qは、精度の高いコードを生成するだけでなく、テスト、デバッグ、マルチステップの計画・推論機能を備えており、開発者のリクエストから生成された新しいコードを変換(例:Javaのバージョンアップ)して実装することができます。Amazon Qはまた、企業データリポジトリに接続し、データを論理的に要約し、傾向を分析し、データに関する対話を行うことで、従業員が企業ポリシー、製品情報、業績、コードベース、従業員、その他多くのトピックのようなビジネスデータ全体の質問に対する回答を得ることを容易にします。また本日、AWSはAmazon Q Appsを発表した。これは、従業員が自社のデータから生成的なAIアプリを構築できる、新しく強力な機能だ。従業員は、欲しいアプリの種類を自然言語で説明するだけで、Q Appsが目的のタスクを達成するアプリを素早く生成し、日々の業務を簡単かつ効率的に合理化・自動化することができます。Amazon Qの詳細については、aws.amazon.com/qをご覧ください。

AmazonがついにGenAIの一般提供を発表しました。これまでの情報が少なかったため、どのようなAIが開発されているのかは不明でしたが、推論性能や処理速度に関する注目が集まっています。また、Amazonは自社データを使用して生成AIアプリを構築できる新ツール「Amazon Q Apps」を発表しました。Amazonの多岐にわたる職種に適した業務効率化アプリは、豊富な経験とノウハウを活かして、マルチタスク処理も可能になりそうです。

  • Qは、現在利用可能な他のどのジェネレーティブAIアシスタントよりも多くのデータソースを統合します:Amazon Q Businessは、Wiki、イントラネット、Atlassian、Gmail、Microsoft Exchange、Salesforce、ServiceNow、Slack、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)など、一般的に使用されている40以上のビジネスツールに簡単かつ安全に接続します。Qを企業のデータリポジトリに向けるだけで、すべてのデータを検索し、論理的に要約し、傾向を分析し、データについてエンドユーザーと対話します。これにより、ビジネス・ユーザーは、データの所在を問わず、すべてのデータにアクセスすることができます。セキュリティとプライバシーを念頭に置いてゼロから構築されています:Amazon Q Businessは、顧客の既存のID、ロール、アクセス権限とシームレスに統合し、最高レベルのセキュリティを維持しながら、個々のユーザーごとに対話をパーソナライズします。企業情報に基づいて正確な応答を生成し、顧客は機密性の高いトピックを制限したり、キーワードをブロックしたり、不適切なコンテンツをフィルタリングしたりすることができる。Qはまた、顧客のコンテンツを他の人のために基礎となるモデルを訓練するために使用することはありません。Amazon Q Businessは、一般的なQ&A(MultiHop-RAGデータセットを使用)だけでなく、金融(FiQAデータセットサンプルを使用)やテクノロジー(LoTTEデータセットサンプルを使用)などの業界においても、正確性、真実性、有用性において、他のアシスタントの公表されているすべての結果を上回っています。

Amazon Qの顧客とパートナーの声

GoDaddyは、世界中の何百万人もの起業家のビジネスの開始、成長、拡大を支援しています。「QuickSightのAmazon Qのおかげで、アドホックなダッシュボードに常に依存することなく、データに文脈に沿ったビジネス上の質問をすることができます。GoDaddyのデータ&アナリティクス担当シニアディレクターであるエド・サラウサッド氏は、次のように述べています。「このシフトは、当社のプロセスを合理化するだけでなく、分析能力を向上させます。私たちが最もわくわくしているのは、これまで問われることのなかった深遠な質問から洞察を解き明かす機会です。これにより、より迅速に、より深く対応できるようになり、データ学習の旅がより充実したものになります。

Novacomp社は、品質保証自動化、ソフトウェアテストサービス、ニアショアアウトソーシングを専門としながら、多様なIT製品とサービスを提供しています。「Novacomp 社の CTO であるGerardo Arroyo 氏は、次のように述べています。「Novacomp 社のアプリケーションの近代化は、歴史的に時間のかかる作業であり、他の開発イニシアチブよりも優先順位が低くなりがちでした。「私たちのチームは、Java 8で実行されているプロジェクトを1万行を超えるコードでJava 17にアップグレードするために、Amazon Q Code Transformationを利用しました。これは通常、専門家が手作業で2週間以上かかる作業ですが、Amazon Qは数分でシームレスにプロジェクトを最新化しました。Amazon Qを組織全体で採用して以来、技術的負債の平均が60%減少しました。"

〈この発表だけでも配当並みの価値があるように思えるのですが・・・
小売り業者という特性を活かした企業が開発するAIはMicrosoftやGoogleのAIよりも製造業や小売り業社向けには適していそうなイメージが湧きます。その内日本でも政府や主要機関などが導入しそうな気もしますね〉

決算カンファレンス

Andy Jassy - Chief Executive Officer
私たちはNVIDIAのコンピュート・インスタンスを最も幅広く取り揃えていますが、カスタム・シリコン、トレーニング、推論に対する需要は、利用可能な代替品と比較して有利な価格性能の利点があるため、非常に高くなっています。

最新世代のTrainium 2は、2024年後半から2025年前半にかけて大量に出荷される予定です。また、SageMakerを使用することで、目を見張るような結果を得ている企業も現れ始めています。当社のマネージド・エンド・ツー・エンド・サービスは、AI用のデータの準備、実験の管理、モデルの迅速なトレーニング、推論のレイテンシーの低減、開発者の生産性の向上において、開発者のゲームチェンジャーとなっています。

Perplexity AI は SageMaker よりも 40% 高速にモデルをトレーニングし、Workday は SageMaker を使用して推論のレイテンシを 80% 削減し、NatWest は SageMaker を使用して AI の価値を高めるまでの時間を 12 ~ 18 か月から 7 か月未満に短縮しています。この変化は、独自のモデルを構築することがいかに困難であるかを示しており、SageMaker を標準とするモデルビルダーが増えていることがわかります。

AWSが優位に立っていることは、AWSにAIのフォーカスを移す企業の数を増やしている。我々は、AWSの再加速する成長とGen AIへの高い需要の組み合わせが、2024年に前年比の資本支出を有意に増加させると予想しており、AWSのビジネスモデルの仕組みを考えると、これは将来の成長のポジティブな兆候である。AWSの需要が増えれば増えるほど、新たなデータセンター、電力、ハードウェアを調達しなければならない。念のため申し上げておきますが、私たちは資本の大半を先行投資しています。しかし、ここ数年でおわかりのように、需要が安定するにつれて、営業利益とフリー・キャッシュ・フローでその分を補うことができます。また、この方法で収益化できるという明確なシグナルがない限り、資本を投入することはありません。

〈これはAmazonのFCF推移を見れば一目瞭然に分かります、24’1Qの設備ファイナンスリース調整後のフリーキャッシュフローは前年同期比53.2B$増の48.8B(488億$、四半期でFCFが532億$も回復するので収益化が見えるものに投資をしているという点も納得できるかと思います)

2023年には、全体の設備投資額は484億ドルでした。先ほど申し上げたように、AWSの需要はジェネレーティブAIと非ジェネレーティブAIのワークロードの両方で旺盛であり、顧客はより長期的な契約を結び、より大きなコミットメントを行っています。ジェネレーティブAIや、より広範なクラウド領域では、まだ比較的初期の段階であり、私たちは成長のための大きな機会を見ています。

私たちは、2024年に資本支出全体が前年比で大幅に増加すると予想していますが、これは主に、ジェネレーティブAIを含むAWSの成長をサポートするためのインフラ設備投資の増加によるものです。※ちなみに24’1Qの設備投資額は約14B$(140億$)

AIはすでに数十億ドルの収益を上げていると申し上げましたが、まだ比較的初期の段階です。まず第一に、現在もモデルを作り続けている企業は非常に多いと思います。Anthropicのような最大手の基礎モデルビルダーから、12ヶ月から18ヶ月ごとに新しいモデルを構築する企業まで様々です。これらのモデルは、大量のトークンを使って信じられないほどの量のデータを消費します。

その多くはAWSの上に構築されており、時間の経過とともにAWS上に構築されるものが増えていくと予想しています。なぜならNVIDIAの運用パフォーマンスとセキュリティ、そしてチップの両方がAWSで提供されているからです。しかし、Anthropicを例にとれば、彼らは将来のモデルをTrainium上のカスタム・シリコンでトレーニングしています。トレーニングは定期的にしか行いませんが、予測や推論は常に行っているため、推論にはトレーニングよりも多くの時間を費やします。そのため、AWS上で推論を行う生成AIアプリケーションを構築している企業も多く見られます。そしてその多くはサービスと関係している。その主な例は、多くの企業、何万もの企業がすでにAmazon Bedrockの上に構築していることです。Amazon Bedrockは、大規模な言語モデルの最大の選択肢を持ち、高品質でコスト効率の良い低レイテンシー、プロダクショングレードの生成AIアプリケーションを構築するのが非常に簡単になる一連の機能を備えています。※このAmazon BedrockはAPI(Application Programing Interface)を通じてAnthoropicのAIを使えたりAmazonが提供する基盤モデル(テキスト生成、画像生成、チャットボットなど)を利用できる新しいサービスです。また全ての開発者が利用可能でAWS内で日本国内でも一般利用が可能の様です。

一通りガイダンスを読みました、AmazonがGenAIのAmazon Qを一般公開した点はGoogle、Metaと肩を並べた形だと思いますが使いやすさや性能に関しては正直わかりません・・・GoogleやMetaは自身のアプリの中で効率的に広告効果を打ち出す様にする用途がメインに思えるのに対し、AmazonのQは実務作業を効率的にこなす為のアプリを作っちゃうというそんな発想今まであったのかなと非常に斬新的なアイデアの様にも思えます。
設備投資に関してもAmazonは1Qの14Bを大きく上回る事を示唆してますし、それを行う為のFCFも数字が付いてきているので各社とも目が離せません。今後もAmazon Qには注目していきたいと思います。長くなってしまいましたがここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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