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蛙寄席

まいどバカバカしいお話を一席…。

 蛙の子は蛙なんて申しますが、「蛙の子はオタマジャクシじゃねぇか」なんて声も聞かれますね。まぁ、それはもっともなんすけどね。オタマジャクシを見て「変だな?蛙じゃねぇな。似ても似つかねぇな。」と思ってた所へ足が出て、手が出て、やがて尾びれが短くなるってぇと「ありゃりゃ。やっぱり蛙じゃねぇか。血は争えないね。蛙の子はやっぱり蛙だね。」なんてことを言いたくなるんだと思うんですよ。
 でもね…トンビがタカを生むことはあるんですかね?だとすりゃあ、蛙がサンショウウオを産んだっていいような気はしますよね。ダメなんですかね。

 さて、オタマジャクシはやっぱり蛙になる前の子供ですから、子供なりに色々と悩みもあるわけですよ。

 オタマジャクシってぇのは、黒くて丸っこい頭に尾びれだけがちょろっとついてるでしょ?んで、体全体を使って泳ぐわけですけど、意外に早いですよね。春先なんか、田んぼとか小さな池なんかにそりゃもう数えきれないオタマジャクシが寄り合いしてますでしょ?よく見ようと思って近づくってぇと一斉に逃げ出しますね。まるでクモの子を散らすようだって言うのはこのことですかね。なんで蛙の子を散らすようだって言わないんでしょうね。ややこしいですか?蛙の子がクモの子を散らすように逃げ出したって…もう、何が何だか解りませんよね。
 それにしてもですよ。あれは何を相談してるんでしょうね?寄り合いと言ってもまだ子供ですからね。メダカの学校みたいなもんでオタマジャクシの学校でしょうかね?でもね、あれってもしかして一塊全部が兄弟姉妹ですかね。蛙のお袋さんが一人で…いや一匹で産んだとなればそう言うことになりますよね。てぇことは、家族会議?兄弟姉妹会議?何の相談でしょうねぇ。

「お前、将来何になるんだ?」
「将来何になるって…そりゃ立派な蛙だろ。蛙しかないじゃないさ。」
「まぁな、そうなんだけどさ。心配じゃない?」
「心配って何がさ…。」
「ちゃんと蛙になれるかどうかさ…。」
「そりゃ心配ないだろ。蛙の子は蛙って言うらしいよ。」
「でもほらこのまま大きくなってさ…。」
「うん…大きくなって?」
「順番的には足が出て来るのかな?」
「うん…たぶんね。」
「それから手が出る?…なんか変じゃない?信じられる?」
「いや、だってそうなってるんだからさ。そこは疑わなくていいんじゃない?」
「そうかなぁ。でさ、肝心なのはそこからでさ…。」
「まだあるのかよ。」
「尾びれが短くなって…最後には、なくなっちゃうんだよね?」
「そうそう。それでこそ立派な蛙でしょ。」

「順番を間違ったらどうなると思う?」

「え?どういうことだよ。」
「つまりさ…尾びれが先になくなったらどうすればいいかって話さ。」

「お?尾びれが先に無くなったら…?」


この辺りで丁度お時間となりました。
お後がよろしいようで♪

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 ありがとうございました。

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